知りたいことと真似ること
「挑戦かーどんなことやろうかな?」
「おとねちゃんの好きなことや興味のあることから始めてみたら?」
ミュリューさんの言葉を皮切りにみんながやりたいことを言い始める。
「失敗が怖い……」
「最初はだれでも初心者ですよ。歌でもお絵描きでも踊りでもそうでしょう?」
)ぼくのつぶやきに先生が答え、そのとき初めて気がついた。
「最初は真似からです。知ろうとすることから始まりますよ。素人なだけに」
先生が言葉で遊んでいる。
「それはそうと、男の子と女の子ってどう違うの?」
聞き流して、気になっていることを聞く。
「体のつくりが違いますね」
先生が端的な答えを返す。
「ご家族やご友人を見て、自分の体がどちらかを知ることが始まりです」
みんな静かになり、先生の次の言葉を待つ。
「その上でどうするのかどうしていきたいのかを、決めていってくださいね」
先生はまたお茶を口にして、ぼくを見た。
「ぼくは……知りたいです。いろんなことを」
「そうですね。でしたら知ることから始めましょうか」
ぼくの答えに先生は優しくて温かい柔らかな笑みを見せ、席を立つ。
この場をどう引き継げと、ミュリューさんが途方に暮れていた。
「私知りたい!服に合う髪型とか!あと魔法とか!」
リン姉の声でミュリューさんの顔が輝き、授業が始まる。
「さあて!魔法の授業を始めるよ!」
「今回はミャリャウさんが持っている種を咲かせてまた種を回収してね!」
「ただこの種は、花を咲かせると周囲の人に変身してあちこち動き回るぞ!」
ミャリャウさんがお日様に種をかざすと、種が芽吹き花を咲かせる。
出てきたもう一人のミャリャウさんにミャリャウさんが抱きつくと種に戻った。
森の世界に移動したぼくたちはお日様にかざして複数の種を芽吹かす。
何人もぼくたちが生まれ、木に登ったり穴を掘ったりして森の中を移動する。
「花と音色と言葉たち!ともに探そうキリンソウ!」
キリンさんとリン姉の占いで、何人ものぼくたちを見つけては抱きついた。