表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法と魔法のマジョレット  作者: ぷらすとぷらす
第19話 昼と思いと学習と
55/100

遅刻した子と悩める子




 お母さんたちに送られ、幼稚園に着いたのはお昼過ぎだった。

「回収にうかがいました」

 お弁当屋さんが幼稚園から重箱を回収し、トラックに積む。

 三段重ねの重箱は園長先生が食べたのだろう。たぶんきっとおそらく。


「こんにちは、リン姉。おとねちゃん、アニーちゃん」

 玄関でミコトちゃんと挨拶する。

 慣らし保育を終えた子がひとりいると教えてくれた。

 その子は今、お外にいてミコトちゃんは紹介するという。

「ぼくは後にするよ。急にいっぱい覚えるの、大変だろうから」

 おとねちゃんとリン姉はミコトちゃんとお外に行き、ボール遊びに合流する。


(エリーちゃんとシイちゃんと遊ぼう。今日はなにをしようかな)

 たまご組にいる二人と会いに、お部屋の中に入っていく。


「どうしたの?エリーちゃん、シイちゃん」

 お部屋の中で二人は()だるそうにため息をついていた。

「こんにちはアニーちゃん。実はね、弟が生まれたの」

 悩める声でエリーちゃんが挨拶してくれて、忘れていたぼくも返す。

 シイちゃんのところも生まれたらしく、お祝いの言葉を言いそうになった。

 げんなりしている二人を見て、言葉を飲み込む。

「お母さんたちとられちゃった……」

 寂しげなエリーちゃんとシイちゃんの声が同時に耳に届く。


「ああ、そうそう。魔法の練習はお昼過ぎだぜ……」

 シイちゃんが気落ちした声でぼくに言う。

 幼稚園は午前中はお勉強で、午後はお昼寝してのびのびと遊ぶ。

 魔法の時間はこのどっちかで行っていて、今日は午後からと教えてくれた。


(ここはぼくがなんとかしよう!)

 友達のために心を奮い立たせる。

 思い立ったが吉日と、ぼくはすぐ行動に移す。


「お茶いる?一息入れようよ」

「ありがとうアニーちゃん」

 水でも飲んで落ち着けとはよく言ったもので、少し元気な声が返ってきた。


「あ!そうだ!魔法の時間のお茶のとき、ぼくの分のお菓子も食べる?」

「それはアニーちゃんのよ」

「アニーちゃんも食べて大きくなるんだぜ」

 ふたりの元気がまたしぼんでいく。

「それなら先生に相談しようよ」

「もうしたぜ」

「お父さんとお母さんにも言ったわ」

 みるみるしおれていく二人の元気を呼び戻そうと、ぼくは声をかけ続ける。

「えとえとえーっと、文字やお絵かき、ぼくがやるよ。そうしたら休めるよ」

「自分でやる」


「うみゅう……またお茶入れてくるね」

 困ったに出る言葉を口にして、とぼとぼとお茶のポッドにまた足を運ぶ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ