まどり段取りつみ重ね
「お父さん!」
リン姉の声がすると、ぼくの体は宙に浮く。
杖から伸びた光の鞭が魚釣りのごとくしなり、ぼくを助け出していた。
「理由はあとで聞くよ。今は魔をなんとかしてみようか」
リン姉のお父さんがぼくの服を魔法で乾かす。
「わたしたちがやるの?あの虹、かなり強そうよ」
「大丈夫、できるよ。虹にいる魔を許す感じで、悪い部分だけを取り払おう」
ぼくたちはリン姉のお父さんに背中を押され、新しい魔法の服に着替える。
リン姉のお父さんが杖の光を増し、それを手に三人同時に魔法を紡ぐ。
「あの虹にいる魔を払え」
「まほタマは物分かりがよくて助かりますね」
フードを外したフードの人がきて、ひきつった顔でリン姉のお父さんと話す。
「魔が差したんですよ」
ひょうひょうとリン姉のお父さんは言葉を返す。
「魔にとりつかれる前でよかったと思いましょう」
リン姉のお父さんが元フードの人に説明を始めた。
「とまあ、なにがなんでも見習いに会いに行こうとしたのは魔の仕業なんです」
魔が差した状態が続くと魅入られる。
そして最後には魔に取りつかれ、意のままに操られるという。
(お城の中のエリーちゃんとシイちゃんを思い出すなあ……)
「車って飛べるのね!ありがとうお父さん!」
「ホウキも空を飛ぶからね。その応用さ」
発想を逆にしたとも言い、車を飛ばしてぼくたちは中学校にたどり着く。
そこには懸命に魔法を練習している人たちがいた。
「何事も順番。魔法を知る。外に出る。仲良くなる。ひとつずつさ」
身の程を知ったぼくたちに、リン姉のお父さんは温かな言葉をかける。
「さあ、幼稚園に帰ろう。発表会の時間はなんとか作るよ」
リン姉のお父さんの言葉で、助手席のリン姉は喜びの声を上げた。