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魔法と魔法のマジョレット  作者: ぷらすとぷらす
第16話 雨と思いと約束と
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回る世界にリフレイン

「大丈夫だよ。世界は」

 ダグさんの落ち着いた優しい声に導かれ、ぼくは平静さを取り戻す。

「世界は直るさ」


「例えば、アニーちゃんには海外に留学中のお兄ちゃんがいるだろう?」

 この時に世界は一度滅んでいると、ダグさんは僕にやさしく話す。

「お兄ちゃんと暮らしていた世界は滅び、オンラインで会う世界に直ったんだよ」

「あ!」

「こんな感じにね、世界は滅びと再生を繰り返して回り続けているのさ」

 循環していると、ダグさんは指で空中に大小の円を描いて示してくれた。


「一緒なんだ世界は、どれも。大なり小なり大きさが変わるだけで」

「お父さんの世界も?」

「ああ、全部直すさ。約束しよう。なにかあったらまた会いに来るよ」

 戻ってきたミャリャウさんたちとも約束して、ゆびきりの歌を口にする。

「このパンダは双子なの。まとめてお母さんに渡しておくね」

 最後にミュリューさんと約束すると、三人の背中は光の中に消えていった。


 魔法をしっかり勉強しようと心に決めると、どこからか風が吹く。

 また本がパラパラとめくりだし、マスクや仮面のページで止まって消える。

 その瞬間世界に色が戻り、雨とおとねちゃんたちが呼ぶ声が聞こえた。


「いっぱいカードもらったね。普段も着替えるの?」

「色は一緒にしていろいろ着てみようよ。変えられるところだけでも、ね?」

「自分にあう服を探すことを楽しめ、ってお父さんもお母さんも言っていたし」

 ハーフパンツをキャロットとかなら、と説得に心が揺れる。

 ふとリン姉の言葉を思い出し、あえてお父さんを口にしたことに気づく。

 それを受けてぼくたちは魔法の言葉を紡ぐ。


 ぼくたち三人は頭の上で杖を重ねる。

 ふたつの言葉にひとつの言葉が加わり、みっつの声がひとつの言葉を紡ぎだす。


「発表会の日が来たら、見に来てほしい!お父さん!」


 杖の光が消るのを確認すると、ぼくたちは顔を合わせて笑いあった。


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