タネは芽を出し実りゆく
「ありがとうみんな。改めてお世話のやり方教えるね」
帰ってきた先生から赤ちゃんたちのお世話を教わり、実践する。
そのあと広くて大きなお部屋に集まり、曲芸師さんをお迎えした。
「まずは手品だよー!見破れるかなー?」
曲芸師さんはどこからかボールを出すと、大きくして玉乗りを始める。
片手で逆立ちしてボールを転がし、空いた手で足にもボールを出す。
杖を手にしてボールの上に分身を出すと、すぐに杖を手放して進んでいく。
「お次はジャンプだよ」
曲芸師さんはまた杖を手にして分身を出し、床を柔らかく変え杖を手放す。
三人が同じタイミングで宙に舞う。
足を伸ばして回転し、足は天井すれすれをかすめて着地する。
「最後はジャグリング」
曲芸師さんが道具を宙に投げ、舞う道具は消えては増えを繰り返す。
「投げてほしいものはあるかい?」
曲芸師さんの質問にみんなから積み木やぬいぐるみの声が飛ぶ。
それらが投げ渡されると、曲芸師さんはジャグリングを続けていく。
天井の出っ張りに積み木がぶつかる。
その直後、お庭のスプリンクラーを思わせる勢いで水がふき出す。
「天井からの水止めて」
曲芸師さんは何度謝って、幼稚園を後にした。
「ありがとう、未来のお兄ちゃんお姉ちゃんたち、か……」
「ぼくたちもいずれお兄ちゃんお姉ちゃんになるんだね」
「そうね、リン姉みたいにすてきなお姉ちゃんになろうね」
隣のおとねちゃんとの会話に、エリーちゃんも振り向いて参加する。
「みんなでなろうよ!お姉ちゃんに!」
明るい笑顔でエリーちゃんが言う。
うん!とぼくははにかみ、おとねちゃんは満面の笑みを浮かべ同時に答えた。