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魔法と魔法のマジョレット  作者: ぷらすとぷらす
第2話 幕と出会いとタンポポと
4/100

魔法の杖を取り出して




「最後に杖の説明をするわね」

 服装を決め終えると、眼鏡の先生はケースをひとつボクたちの目の前に置く。

「魔法を使うには杖が必要なの。必ずこの専用ケースに入れて持ち運んでね」

 一目で魔法使いとわかる工夫よ、と眼鏡を光らせて先生は話す。

 ケースを開けると、先端に透明な宝石のついた白い杖が中に入っていた。

「杖は明日まで待ってね。幼稚園で渡すからね」

 今欲しいとおとねちゃんが、リン姉も明日になる理由を質問する。

「形や色を決めてほしいの。この杖と自分で決めた杖、どっちが欲しい?」

 相談の結果、形は一緒でおとねちゃんが赤でボクが青リン姉が薄緑を選ぶ。

「はい、これで全部終わりです。皆さんお疲れ様でし――」

 おなかが大きく鳴る。それもみっつ。

「みんなでご飯にしようか」

「わーい!」

 お母さんの声に返事をして、病院近くの喫茶店に歩いていく。


 食事を終えてリン姉たちを見送ると、呼び出しベルが鳴り響く。

 おとねちゃんを預け、診察室へ急ぐ。


「何らかの魔法が発動したのでしょう。魔法は怖いものですから」

 お母さんから話を聞いた白衣の先生が、ボクに説明する。

「えとあのそのボクはお兄ちゃんなはずなんです」

 しどろもどろになりながらも、ボクは話す。

「大丈夫よアニーちゃん。アニーちゃんはアニーちゃんだからね」

 お母さんが見せてきた写真がボクの目に飛び込む。

 そこには透明感のある黒髪と黄色い髪をした赤ちゃんがいた。


(お父さんとの写真……そう、ぼくとおとねちゃんは双子――あれ?)

 また記憶が混乱してくる。

「魔法、使いますね」

 先生はケースから杖と小瓶を取り出して、なにかをつぶやいた。


 その直後、ボクの中から(もや)に似た何かが出てきて小瓶に吸い込まれていく。


 小瓶の中に靄がすべて集まると、急に体が楽になった。

「どうかなアニーちゃん。まだ混乱する?昨日のこと思い出せるかな?」

 白衣の先生に聞かれて少し考える。

「えとえとえーと昨日……昨日はおとねちゃんと眠る前にお話ししたよ」

 ぼんやりと思い出せることを口にして、先生に伝えた。

「先生、()()になんの魔法をかけたの?」

「アニーちゃんの中にあったお兄さんをね、この小瓶に移動したんだよ」

 白衣の先生は手に持つ小瓶を軽く振って説明してくれた。


「どうするの、それ?記憶もまだある気がする……」

「お兄さんの中に戻すよ。少し調べてから、ね」

 研究所でよく調べてからと、先生は優しい口調で教えてくれた。

 捨てると思っていたぼくは、ほっと胸をなでおろす。

「記憶がまだあるのは、お兄さんの記憶が混ざっちゃったのよ」

 看護師さんが手にした看護師のぬいぐるみが教えてくれた。

「お母さん、記憶はアニーちゃんぐらいの年齢で始まるんですよ――」

 白衣の先生の話をよそに、ぼくは夢中でぬいぐるみの動きを追い始める。


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