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魔法と魔法のマジョレット  作者: ぷらすとぷらす
第13話 花と掃除と冷春と
38/100

花の会話とまほヒナと

 動き回ったおとねちゃんの巫女服は少し着崩れしていて、魔法で整える。

 神社の清掃が終わったら裏参道を抜け、遊歩道を通り駐車場に向かう。


「あら風花(かぜはな)?」

 晴れているのに降る雪を見てお母さんはつぶやく。

(そういえば、ぬらりひょんさんからもらったのも湯の花って名前だったよね)

 冬将軍さんの一件でお礼にと、昨日お風呂で使ったことを思い出す。

 遊歩道に咲くウメとアブラナとフクジュソウがぼくたちを見送る。

 会話の花を咲かせて駐車場につくと、車から防寒具とコンパクトを取り出す。

 そしてお母さんと一緒に公園の集合場所まで歩く。


「みんなーこれがなにかわかるかなー?」

「ゴミ拾うやつー」

「焼き芋や栗も拾えるのー」

 短髪の人が金属のはさみをカチカチと鳴らし、周囲の子が答える。

 おそろいのポンポンニット帽とマフラーと手袋をして、説明を聞く。

 しましま模様のマフラーが風になびき、同じ色と模様の手袋で押さえた。


 リン姉はエリーちゃんと一緒にすべり台やブランコあたりの清掃に向かう。

 ぼくたちも噴水近くに到着して、清掃を始める。


「パートナーの見た目は何度も変わってきたんだよ」

「最初は動物でね、宙に浮いて顔が人っぽくなって宝石がついたの」

「パートナーって一目でわかる工夫なのさ」

 清掃中にまほヒナたちが、パートナーについて教えてくれた。

 周囲には背の高い子たちもいて、おとねちゃんの後ろに隠れてお話を聞く。

 次は宝石の場所が一緒になると、まほヒナたちは予想を口にする。


(ポビーは胸、ミュレットは首に宝石がついているのに一緒にしちゃうんだ……)

 背負うウサギさんリュックに目をやって、パートナーたちを思い浮かべる。

(ポピーは結構人に近いよね。ミュレットはトラ模様をした銀色のネコ……)

 目の前のくまさんリュックに目を移す。

 その中にいるポビーは燕尾服(えんびふく)と蝶ネクタイとシルクハットのはず。

(普段リュックやカバンにいるのは思いやりなのかな)

 おとねちゃんがペットボトルが拾い、ビニール袋の口を開けて待つ。


「あと教えておくことは……男の子はお兄ちゃんで女の子はお姉ちゃん――」

「そんなの当たり前でしょ!まほヒナといると魔法に目覚める子もいるとか――」

「まあまあ、いずれわかることだし。そうだ!パートナーって今いる?」

 最近おとねちゃんがリン姉っぽく話す理由がわかった気がした。

 ポビーとロップールが木の枝で掃き掃除をする中、金属ばさみを鳴らす。


 カーチカチ、カーチカチ、ゆるゆる速く速く。ゆるゆる速く速く。

「踊ろうぜ!」

 肌寒い中、ぼくとおとねちゃんが奏でるリズムで踊りながら清掃していった。


 踊りのリズムが噴水の反対側からの声にかき消される。

 見れば風や水が鞭のようにしなり、人を捕まえていく。


「協奏曲の鐘が鳴る」

 お母さんの魔法が聞こえ、周囲が落ち着きを取り戻す。

 まほヒナたちがみんなの誘導をはじめ、ぼくたちは水と風に向け音の魔法を紡ぐ。

「ゆるゆる緩む水と風」


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