三者三葉パートナー
「前みたいに魔法で矢印出して行こうよ」
「それをやると光がね……」
代わりばんこでやっても魔法の光はいつか切れてしまう。
なにかあったときのために、というリン姉の意見にぼくたちは賛成する。
先頭は任せてというおとねちゃんを引き留め、どうするかをリン姉に聞く。
「こんなときのために、マンカラのおはじきを持ってきたの。これで占おう」
リン姉の小箱には赤・青・黄・緑・紫・白・黒・透明のおはじきがあった。
「こっちの対応した紙に合わせると透明は――北ね」
「え!?リン姉字が読めるの?それに北ってどっち?」
「わたし分かるよ!切り株を見れば北がわかるの!」
お姉ちゃんだから、と胸を張るリン姉とおとねちゃんの背中を見て北へ向かう。
おとねちゃんが先陣を切り、かき分けた草むらをリン姉、ぼくの順で進む。
「アニーちゃん真ん中行く?私後ろにいるからさ」
おっかなびっくり歩いていたら、リン姉の誘いに乗り場所を入れ替わる。
「そういえばさ、アニーちゃん。先生の話どう思う?」
「朝の会のあとの話?」
「そういえば前にお父さんから『の』は二回までって言われちゃってさー」
朝の会の後、ぼくたちは先生にみんながどんな魔法を使っているのか聞いた。
「発表会があるからね、それまで内緒よ」
それまでに自分の魔法をしっかり身につけようねと、先生は口に指をあて話す。
「ミュリューさんの優先順位の話もそうなのかな?」
「ぼくたちの魔法はみんなには内緒ってことだよね?」
そういう意味よね、と答えるリン姉の声におとねちゃんのおなかが返事をした。
「飴玉持ってきたから、みんなで食べよう」
リン姉がポケットから飴玉を全員分取り出す。
「うさー」
「くまー」
「にゃあ」
近くを飛んでいたロップール、ポビー、ミュレットが急に騒ぎだした。
パートナーたちは飴玉の袋に向かい、地面に落とすと踏みつけ始める。
「あーあ、ぐしゃぐしゃ……」
飴玉を粉々に粉砕すると、パートナーたちは落ち着きを取り戻した。
「もー!なんでこんなことするのー!」
おとねちゃんがパートナーたちに向かって声を張り上げる。
「うさ!うさうさ!」
「くまくま!くーま!」
「にゃおにゃーお!にゃお!」!
おろおろしているぼくの耳に、リン姉が言葉の魔法を紡ぐ声が聴こえた。
「集い集って集まって、言葉の壁を飛び越えて」
「のどに詰まるから砕いた、の?」
「くまー」
おとねちゃんとパートナーたちが仲直りする。
そのあとでぼくたち三人とパートナーたちは小さくなった飴を口に入れた。
マンカラの占いは架空のものです(2023.6.1現在)