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魔法と魔法のマジョレット  作者: ぷらすとぷらす
第11話 冬と季節と妖精と
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炎と雪と起こし方

「ありがとう、おとねちゃん。心が温まるわ」

 花はもらっただけでうれしくなれると、先生の言葉に冬将軍さんが続く。

 ぼくも渡せばよかったとひとりじめしたスノードロップを見て思う。

「ぬらりひょんさん、おうちはまだ遠い?」

 勇気を出してみんなに渡そうとすると、リン姉が先に口を開く。


 するっ。

 がしゃ。

 ぼぉっ。


 振り向いて答えようとした矢先、ぬらりひょんさんの提灯が棒から外れた。

 一気に火は枯草に燃え広がり、あたりを炎に包む。

「ぐるぐる回り舞い踊り浮かせてすぐに、今すぐに!」

 リン姉の言葉の魔法で魔法の文字が周回し、ぼくたちを宙に浮かせた。

 熱にやられた冬将軍さんを、先生は魔法で冷気を出して介抱する。

「アニーちゃんおとねちゃん!魔法で火を消すよ!」

 浮くだけならできるとぬらりひょんさんに言われ、ぼくたち三人は言葉を紡ぐ。


「言葉よ、言葉、言の葉よ」

「音色よ、音色、音の色よ」

 みんなで杖を合わせ、宝石の光が重なり一気に輝く。

「銀で彩る冬景色!雪よ!ふれふれ雪模様!」


 世界は雪に覆われ、火は消えた。

 先生は懐中電灯を取り出し、その上にペットボトルを乗せてランタンを作る。


 光が周囲を照らし、その中を歩いていくと雪で潰された家にたどり着く。

「なあにかえって好都合です」

 雪だけを冬将軍さんは圧縮し、姿を見せた家の中の様子をうかがう。

「冬将軍さーん、冬を強めすぎですよー」

 壊れた家の中から、氷に包まれた春の精霊さんが声をあげる。

「精霊には精霊の起こし方があるのです。冬を強めてくださって助かりました」


 元の世界に帰るとぬらりひょんさんは挨拶して、スウッと姿を消していく。

 その気配の消し方にあこがれを覚え、冬と春の精霊さんを見送った。


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