ナゾの気持ちと服選び
「はい、三人ともお疲れ様でした。次は魔法を使うときの服装を決めるわね」
眼鏡をかけた先生が小箱をボクたちに見せてきた。
「この箱にカードを入れると、入れたカードの服装に着替えられるよ」
「もっと可愛いのがいいな」
「私も」
「……ボクも」
リン姉の意見におとねちゃんも賛成し、ボクも合わせる。
「これは鞄の中に入れておく用よ。普段はこっち」
腕輪、ベルト、手袋、コンパクト、指輪、さまざまな中からボクたちは選ぶ。
「コンパクトにしようよ!」
「うん!そうしようか!」
おとねちゃんの声にリン姉も賛同する。
ボクも流されるままにコンパクトを受け取り、開く。
そこには黄色い髪で青い目の子どもが映っていた。
(ボクは黒い髪で青い瞳のはず――)
鏡に映った子はボ戸惑いの表情を浮かべ、ボクと同じ動きをする。
「アニーちゃーん。服決めようよー。帽子やマントの色もー」
混乱してきたボクの耳に、リン姉の声が届く。
「私はこのスカートとパンツが一緒になったスカパンにしようかな」
「わたしも。アニーちゃんは?」
リン姉は本を開いてボクに見せ、おとねちゃんが聞いてくる。
ボクは隣のズボンにするよ、と答えようとした瞬間目の前が真っ暗になった。
(二人と一緒……?目立つのは恥ずかしい……?)
芽生えてきた思いが心の中にわだかまる。
「どうしたのアニーちゃん?」
なんかモヤモヤすると、心配そうなおとねちゃんに答えた。
「大丈夫、大丈夫。わたしがいるから、ね?」
握ってくれた手から伝わるぬくもりが、わだかまりを溶かしていく。
「どうしたの、アニーちゃん。私も手伝おうか?」
聞いてきたリン姉とおとねちゃんと一緒に、ボクは服を選び始める。