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魔法と魔法のマジョレット  作者: ぷらすとぷらす
第10話 兄と動きと紡ぐこと
29/100

大切にしていきましょう

「なんでよー!ちゃんと魔法使ったのに!」

 雲に落っこちて跳ねあがっていると、おとねちゃんの声がこだまする。

「この間はちゃんと飛べたのに」

「みんなは空にいるから……魔法のホウキが原因かな?」

 肩を落としたぼくの肩を戻すためか、リン姉が肩に手を置く。

 空にはエリーちゃんとシイちゃんとあともう一人の姿が見える。

 あの子はミコトちゃんでシイちゃんと仲良しの子、とリン姉が教えてくれた。


「配っているホウキを使えば飛べるのかな?」

 エリーちゃんたちが乗っているホウキを見て、ぼくはリン姉に伝える。

「聞きにってみようか。おとねちゃーん、ミャリャウさんに会いに行くよー」

 おとねちゃんがこっちに来る間に、エリーちゃんたちは空から落っこちた。

「ものを長く大切に扱うと、ものは答えてくれるぞ。あとは練習かな」

 ミャリャウのさんの言葉と年代物のホウキをミュリューさんから受け取った。


「そろそろお茶の時間よー」

 飛んでは落ちてを繰り返していると、舞台から先生の声が聞こえた。


「実はねさっき雲の中のあちこちに、こういう水晶玉を落っことしちゃったの」

 お茶とおやつを終えると、先生が困った様子で話す。

「私、捜す!」

「わたしもー」

「魔法で見つけようぜ」

 みんなが次々に声を上げ、グループごとに分かれて水晶玉探しが始まった。


「とは言うものの……」

 ロップールが持ってきてくれた杖を見て、大きく息を吐く。

 杖の輝きは半分以下に減っていた。

「空を飛ぶのにも魔法の光は使うのね……どうしたものかな」

「言葉紡ぐだけで足りるかなあ」

 リン姉とおとねちゃんの沈んでいく声が耳に届く。

(あれ?昨日メガネの先生はなんて言ったんだっけ?言葉を紡いでね、と――)

 気づいてほしくて、の言葉が思い浮かんだぼくの耳に誰かがささやいた。

 少し前から頭を使うと、頭痛が痛くもとい頭が痛む。

 一部の字をカタカナにすると落ち着くふしぎがここにある。


「あのねあのね。おとねちゃん、リン姉。気づいたことがあるの」

「なにに?」

 杖を見ながら、おとねちゃんは落ち込んだ様子で答えた。

「んとねんとね。魔法の言葉を紡ぐときにね、動いてみたらどうかな?」

「動くの?なんで?」

「ミャリャウさんは魔法を使う時マントでミュリューさんはシルクハットなの」

 おとねちゃんとリン姉は顔を上げて、ぼくを見る。

「だからね、こうするの」

 誰かのささやき声が教えてくれた通りに、ぼくは体を動かす。


「清楚で優美に麗しく!回る姿を美しく!魔法を紡いでみませんか?」


 一回転して足を雲につけ、おとねちゃんとリン姉の顔を見る。

「そうね!それでいこう!」

「うん!難しいことは置いといて、まずは体を動かそうよ!」

 宙に舞うマントが落ちついた直後、リン姉とおとねちゃんの顔が(かがや)く。

 よかった伝わったと、ぼくは恥ずかしさでいっぱいの胸をなでおろす。



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