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魔法と魔法のマジョレット  作者: ぷらすとぷらす
第7話 夢と兄姉(けいし)と愛情と
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バトンのように受け取って

「あのね、あのね。おとねちゃんがずっと眠ったままなの」

 朝の時間、ぼくは少し遅れてお兄ちゃんに会い相談する。

 ことの顛末(てんまつ)を聞いたお兄ちゃんは、急いでお母さんにと(うなが)す。

 お母さんが魔法を使っても、おとねちゃんは寝息を立てていた。


「キスしたら起きるかな」

 王子様のキスでお姫様が起きたおとぎ話を思い出す。

(お兄ちゃん帰ってきてよう。おとねちゃんの王子様はお兄ちゃんなんだよ)


 王子様になろうかと考えている間に、お母さんはおとねちゃんを車に運ぶ。

「お母さんはこれからおとねちゃんを病院に連れて行くわね」

 そういうとお母さんはいったんお庭に出てすぐ戻ってきた。

「アニーちゃんが幼稚園に行ってもし起きている子がいたら、これを渡してね」

 お母さんはこの間咲いたヒナソウを容器に移し、袋に入れて渡してきた。

 ぼくはそれをバトンのように受け取って、幼稚園のカバンの中に入れる。


「え、エリーちゃんだけ?」

 エリーちゃんは驚きの声を上げるぼくに挨拶して、状況を聞いてくる。


 二人だけで朝の会をやっていると、シイちゃんが遅刻してきた。


「目覚ましの音聞いて耳ふさいだんじゃね?」

「お母さんが病院に行くから早起きしたの」

「エリーちゃんのお母さん、病気なの?」

「さあ。もうすぐお姉ちゃんになるのよって言われた」

「エリーちゃんも?こっちはお兄ちゃんって言われたぜ」

 楽しそうに話す二人に、お母さんから渡されたヒナソウを渡す。


 いつも賑やかな教室ががらんとしていて、寂しさのあまりつい下を向く。

「先生、ピアノ弾いてよ。音楽を楽しみたいの」

「まずは楽しもうぜ。なにやるにしてもさ」

 ピアノの演奏と兄や姉になる二人に励まされ、ぼくは元気を取り戻す。


 魔法の時間はミャリャウさんたちもお休みで、その分お昼寝タイムが増えた。


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