朝の時間と男の子?
「おとねちゃん、朝だよ。起きる時間だよ」
次の日、ボッポウの歌に似た鳴き声で目を覚ましておとねちゃんを揺さぶる。
ロップールとポビーの力を借りて、ようやく半分起きた。
パジャマの上に一枚羽織り、おとねちゃんにも羽織らせてリビングに急ぐ。
ロップールとポビー、ボッポウと寝ぼけ眼のおとねちゃんと一緒に進む。
「お、おはようお兄ちゃん」
「おはようアニーちゃん。あれ?おとねちゃんはまだおねむ?」
「う、うん。それでね、昨日はえと昨日はね――」
うとうととするおとねちゃんに代わり、昨日のことをたどたどしく話す。
半分ぐらい話すとおとねちゃんが目覚め、元気に挨拶して会話を引きつぐ。
話が終わるとお兄ちゃんに頭をなでてもらい、ダイニングに急ぐ。
お母さんに挨拶と食事、準備をして幼稚園へと向かう。
幼稚園に着くと、おとねちゃんはたったかたったか荷物を置きに行った。
お母さんと別れるのが悲しくてぼくは泣きそうな気持ちを抑え、下を向く。
アリさんがぼくの足元で列をなして行進している。
しばらくジッと見てたら、リン姉の声を聴き顔を上げて振り向く。
ロップールとミュレットが挨拶を交わしていた。
「おはよう、リン姉」
気が明るくなったぼくはリン姉に挨拶を返し、一緒にお部屋に向かう。
お部屋の前でドギーちゃんをきょろきょろとさがす。
「だれか探してるの?男の子?女の子?」
「男の子。ぼくっていってたし」
「アニーちゃんもぼくでしょ?」
「ズボンだったし」
「私たちもズボンはくよ」
リン姉の返す言葉に、なんだか混乱してきた。
「う、運動とか得意そう」
「それおとねちゃんの前で言える?」
(ぼくがぼくなのとズボン好きなのはお兄ちゃんの真似なんだよ……)
言葉に詰まっていると長い髪の先生がやってきて挨拶を交わす。
「アニーちゃんぐらいの年齢だと、性別を見た目で判断してるからね」
リン姉が意味を聞くと先生は杖を取り出し、魔法を使うと髪が短くなった。
「問題です。先生の性別はなんでしょう?」
わざと低い声で話す先生に、リン姉は固まりぼくは混乱して泣きそうになる。
「こんな感じ。隣の小学校に通う頃にはどの性別かわかるから、安心してね」
魔法を解いて髪を戻し、さらに先生が魔法を唱えると気持ちが安心してきた。
「びっくりした……」
「私も。見た目って大切なのね」
「うん。今度ドギーちゃんに性別を聞いてみるよ」
朝の会と歌を終えると、先生は魔法使いの服装に着替える。
そして新しい宝石を取り出して、みんなの宝石と交換していく。
「今日は魔法についてのお話のあと、箒で飛ぶ練習をするよ」
「箒ってお掃除のときに使うものでしょ?」
「そうよ。それと同時に魔法使いには、もうひとつの意味があるの」