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第42話「帰郷」

ケリナの街での役割が一段落下サダ達。

数ヵ月振りのハノガナの街へと戻る。

皆の第二の故郷へ。

あれから数週間、学院での調査結果を待ちながら冒険者の依頼を幾つかこなしていた。

ある日、タバル教授に呼び出され、今の段階での調査結果を聞かされた。

死者を動かすふだ、体力を回復する札の完全な使い方はまだ判明しないようで、その結果が出るまでにまだどの位の期間が掛かるのかは不明なようだ。

ただ、記録を探っている内に不完全ながら使用方法に関わる呪文が再現できてはいるそうだ。

だが、完全に再現できないのは魔族らが使う特殊な魔法文字や呪文がある可能性が高いという。

赤の魔人は呪文を唱える素振りが無かったが、魔族はまた別の呪文の発動の仕方をしているのかもしれない。


これ以上のケリナの街への滞在はキリがないという事で、数日後にハノガナの街へ戻る事とする。

この数か月で、ギルドや学院、そして街の人達にも幾人か知り合いができていた。

治療所のマガセもその1人だ。

結局、自分は彼の力に充分になれる事は無かったのかもしれない。

彼の事は、冒険者ギルドにも気を掛けてくれるように頼むのが精一杯であった。

数日後、今度は乗合馬車を乗り継いでハノガナの街へと旅立った。

後ろ髪を引かれる思いもあったが、今の自分らのこの街での役割はここで一区切り終ったのだろう。


ハノガナの街へ帰って来た。

ここは第二の故郷とも呼べる場所に今ではなっており、見る物全てが懐かしく思える。

真っ先にアグラム伯爵の城館に向かうと、今回の旅の報告を済ませた。

ケリナの街での様々な出来事は数通の手紙で報せてはあったが、特に赤の魔人の事を念入りに話を聞かれた。

伯爵もそれなりに調査を行っていたそうだが、裏に魔族の影がちらつくように思えていると言う。

次に冒険者ギルドに顔を出し、冒険者登録を行う。

ギルドでは懐かしい顔ぶれに幾人も出会った。

やはり、この街の方が居心地は良い。

そして、懐かしの我が家である。

我が家である借家は留守中も伯爵家の誰かや冒険者ギルドで管理をして貰っていた。

室内に埃は多少溜まってはいるが、何の異常もなく安心した。


ハノガナの街に戻ってからはアグラム伯爵の城館に通う数日であった。

学院からの様々な報告、伯爵が配下を使って調べた事、自分達の経験など様々な事を突き合わせて今後の対策を講じる事にした。

伯爵としては当たり前の事だが、領内で不穏な動きがあるならばそれを封じるのが役割でもある。

廃都市での動く遺体も、それが直接に何かにつながるとは今の段階では判明していない。

何かしらの計画の一環であるとしても、それがすぐにアデレード地方のどこかで実行される気配は今は無い。


多分、何かしらの実験をしていたと見て良い。

廃都市での事は、人間が関わっているのだからそれが魔族の意向とも思えない。

そもそも邪神を信仰している人間がいたとして、それで魔族との意思疎通ができるのかも解らないのだ。

自分達も赤の魔人と対峙したが、奴が何か喋るような事は無かった。

勿論、こちらも奴と会話ができるとは想像もしなかったが。

その後も廃都市や開拓村の見回りは継続されているそうだが、何も動きは見えないという。

相手も、あの辺りでの活動を警戒して止めた可能性もある。

今後、どんな動きがあるにしろ、それに立ち向かうのは伯爵の仕事だ。

何かあれば自分達にも声を掛けるそうだが、今の段階でできる事はない。

しばらくは、一介の冒険者としての生活を送る日々に戻る事となる。


その前に、我が家の掃除だ。

留守中の埃も積もっている。

薬草などの菜園も雑草が生え、荒れているので、またやり直さないと。

母さんがいたら、怒られるのかな?

それとも、この数ヵ月の事を褒めてくれるのだろうか?

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