表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/232

第25話「水の主」

 迷宮の大空洞に居座っている水竜すいりゅうを倒す為に、マグルのパーティーに協力を頼む。

マグル「水竜か。いいぜ、俺も戦った事はないが、力を貸すぜ。」

「ありがとう。よろしく頼むよ。」

キオウ「奴を倒して、その先を目指すぜ。」

水竜討伐の依頼もあるので、ギルドで受注して一緒に挑む事にする。

装備や回復薬なども備えて、あの大空洞に向かう。

マグルのパーティーと合せて、今回は9人組で戦う。


水竜が君臨する、あの水辺の大空洞に至る。

水は更に引いていた。

所々に残った水溜まりが残る程度なので、これならこちらも戦い易い。

水飛沫を上げながら、空洞内を進んで行く。

しばらくすると、前方に大きな影が浮かび上がる。

(いた、奴だ。水竜だ。)

まだ、ここに居てくれた。

頭を下げ何かを水竜が食べている。

その口の間から見えたのは、鰐人わにびとの体の一部だった。

水竜は、こちらが近付いても、食事を止めわしない。

ジロリと一瞬目を向けて来たが、自分達など何の脅威も無いのだろうか?

それよりも、自分の食事に夢中のようである。

(嘗められたもんだ。)


食事中の奴を観察してみる。

頭から尾の先まで約6m位か。

(こうして近くで見ると、本当にデカイな。)

水竜としても、やや大きい部類に入るだろう。

大型のトカゲで、体の所々にヒレ状の突起があるのは、水中での活動する種類である事を物語っている。

こいつを自分達で倒せるのか、不安になって来る。

(何を今更、その為の準備をして来ただろう。)

奴が食事をしている間に、こちらは体勢を整える。

神官の様々な魔法の加護を付与して貰うと、陣形を整え武器を構える。

魔術師が強力な呪文を唱え、それが戦闘開始の合図となる。


ナルルガの大炎球が空中に出現し、水竜の頭上に移動する。

大炎球は炸裂し、下にいた水竜を飲み込む。

水竜は叫び声を上げ、やっと食事を中断する。

だが、あの強力な火属性の呪文を受けても、致命傷ではないようだ。

巨体に似合わぬ速度で、体をくねらせてこちらへ向かって来る。

水竜の体当たりを避け、横腹に一撃を加える。

移動速度強化の魔法を掛けているので、こちらの動きも素早い。

更には、魔法で武器に火属性攻撃力も付与されているので、水竜へのダメージ効果も期待できるはずだ。

前衛の誰かを襲われそうになったら、他の前衛が切り付ける。

大型の相手には、魔法の攻撃も可能だ。

武器で切り付け、魔法の呪文が射貫く。


水竜の体力も凄い。

決して狭くはない大空洞の中をどたどた走り回り、こちらを狙って突っ込んで来る。

体当たりや前脚の爪による攻撃だけでなく、噛み付こうと大きく口を開ける。

更には、口から水塊を吐き出す事もある。

水属性魔法の水塊すいかいと同じような物であろうが、あちらの吐き出す量の方が多い。

当たると厄介な攻撃だ。

少し思い付いた事があるので、試してみる。

まずは魔法で、岩塊を生み出す。

そして、水竜の口へとそれを放り込む。

続いて、その岩塊を体内で炸裂させる。

岩塊弾を水竜の体内で破裂させたのだ。

流石に、体内への攻撃は効いたようだ。

「どうだ。こいつの味は?」

今度はナルルガが、火球を口の中に叩き込むと体内で炸裂させる。

これも利いた。

水竜が体を大きく痙攣させた。


だが、それでも水竜の動きが止まらない。

幾分、速度は落ちているが、まだ執拗に自分達を追って来る。

ただ、水塊を吐き出す事は出来なくなったようだ。

それに口の中に魔法を叩き込まれる事を嫌ってか、噛み付きの攻撃をして来ない。

しかし、巨体と爪の攻撃は、まだまだ脅威である。

油断せずに、奴を追い込んで行く。

魔法の加護の効果が切れたので、再度かけ直して貰う。

既に、20分は戦い続けているだろうか?

皆も疲労が溜まり始めているであろう。

水竜の体力は、桁違いのようで、明らかな衰えは見えない。

マグル「こいつ、体力あり過ぎだろう。」

キオウ「こっちは、もうへとへとだぜ。」

このまま長引かせるのは下策だ。

交代で体力回復もしているのだが、それが何時までも続く訳ではない。

ならば、水竜の体力を奪うのも良いだろう。

魔法で体力消費の効果のある減気矢を撃ち込んで貰う。


やがて水竜の脚が止まる。

口を開き、半ば焦げて傷付いた舌を伸ばして喘いでいる。

だらだらと、流れ落ちる水竜の唾液。

そこを一気に攻め立てる。

魔法と武器の連続攻撃、惜しまず全力で叩き込む。

水竜も反撃して来るが、流石に体力を消耗したようで動きが鈍い。

強打一閃、必殺の剣技を叩き込む。

水竜の体をすっぱりと切り裂く。

それでも、もがき抵抗を続ける水竜。

もう一息で止めを刺せるだろう。

と思っているのだが、戦闘は更に15分は続く。

そしてついに、水竜が体を硬直させたかと思うと倒れ込んだ。

油断せずに最後の攻撃をするが、反応は無い。

その活動は、終ったようだ。

「やった、やったぞ。」

キオウ「ああ、ついに水竜を。俺達が。」

マグル「はは、本当に体力あったな、こいつは。」

宿敵の水竜を皆で倒した。


 疲労感が半端ではない。

もう少し長引けば、やられていたのは自分達の方であろう。

体力も魔力も、もう限界に近い。

フォドらも、もう回復魔法も使えなくなっていた。

フォド「今回は、もう限界です。すみません。」

「いや、みんなそうさ。」

残った回復薬で、体力と傷を癒すと、水竜の体を解体する。

爪と牙、鱗を幾つか切り取る。

洞窟の乾いた場所を見付けて休憩してから、街へと戻る。


水竜の討伐に、ギルドは少しばかり沸いた。

こんな大物の討伐も、滅多には無い事なのだ。

討伐報酬は、1人6ゴールド。

参加人数が多いので、大物の割には分け前はやや少ない。

でも、そんな事よりも、強敵を倒せた事の方が嬉しい。

この後は、宴だ。

今日は、飲んで喰って騒ぐぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ