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第180話「森林での一休み」

 虚無の迷宮の大空洞で、封印されていた少女カディンを助け出した。

この空洞も、彼女が封じ込められていた場所が行き止まりである。

サダらは、迷宮内の森林まで戻る事とした。

「カディン、体調はどんな感じだい?」

「そうね、ふらつく感じはするけど、大丈夫だと思うわ。」

「そうか。なら、この先に迷宮の中の林があるから、そこで体力を回復させよう。ここよりも、遥かにマシな場所だから。」

「林? そんな場所が? そうね、こんな暗闇に居続けたら、何だか気が滅入りそうよ。」

「そこは、明るい場所だから、外にいるみたいなんだよ。」

「迷宮の中の林に、明るい場所? 見て見ないと、信じられない場所ね。」


3人で話しながら、元来た場所へと歩いて行くと、また羽の音が聞こえて来た。

「今度は、僕に任せてよ。」

羽の音がする方角を警戒する。

すると、また小魔人が何匹か現れた。

それをポイは光の円陣で封じ込め、光の尖槍で次々と止めを刺した。


「凄いのね、ポイの魔法は。」

「うん、でも、この呪文は、さっきサダから教えて貰ったんだ。」

「そうなの。魔族を圧倒するなんて、凄いわ。私も教えてくれる?」

「ああ、構わないよ。そう言えば、カディンも魔法を習っていたんだったね? どんな呪文なんだい?」

「ええ、基本的には、各属性をそれなりに。専門は、召喚術なの。」

「召喚術を? それって、聞いた事はあるけど、どんな魔法なんだい?」

「契約した魔獣を呼び出して使役するのが、召喚術ね。でも、今は、使えるのかどうか。後で、試してみたいわ。」

「そうだね。まずは、体力と魔力を回復させてからだね。林に帰ったら、食事をして休憩を取ろうよ。」


林に戻って来た。

「本当に、木が沢山生えてるのね。それに、あの天井の光は何かしら?」

「あの光が何だか解らないよ。でも、たまに、迷宮にこれと同じ物があるんだよな。」

「明るくて、魔法を使わないでもいいから便利だよ。」

「そうだな。ここならば、敵に不意打ちされる事も無いだろうな。」

木の実で、腹ごしらえをする。

「迷宮に、こんなに美味しい木の実がなっているなんて、本当に不思議ね。」

「ああ、ここならば、しばらくいて、体力とか戻すには丁度いいかもしれない。」

「そうね。ちょっと、体を動かしたりして、感覚を取り戻したいわ。ところでサダ君、歳は幾つ? 私よりも下だよね。私は、今、16歳よ。」

「年齢か? この体は、実は仮の物なんだ。ちょっと事情があって若くなってるけど、本当の年齢は、20歳だよ。」

「そうだったの? 見た目が若いから、年下かと思ってた。」

「自分でも最初は違和感があったけど、顔を見る機会は少ないから、今は何ともないかな?」

「僕は、22歳だよ。」

「ところで、フェムネって、何歳位まで生きるんだ?」

「僕らは、80歳くらいかな? たまに、凄く長生きなのもいるけど。」

「思った以上に長いな。人間と、余り変わらない。」

フェムネの見た目の年齢ってのが解らないが。


「そっか、サダ君じゃなくて、サダさんは年上だったか~。」

「別に、サダって呼び捨てでも構わないよ。」

「そう、なら、サダって呼ぶね。ポイもポイでいいのかな?」

「うん。僕は構わないよ。」

「でも、不思議だね。3人とも、多分、ばらばらな所から来て一緒になるなんて。私は、どうやってここに来たのかな? それに、封印って誰にされたんだろう?」

「この迷宮は、あらゆる物が最後に行き付く場所だと聞いたよ。だからかな?」

「なら、私は死んでいるって事?」

「どうなのかな? 自分は、ある意味で死んだ状態に近いのかも。」

「死んだ状態? どういう事?」

サダは、自分の過去、魂の分裂の事なども話した。

当然、半神の造る者の事も。

「半神、そんなのがいるのね?」

「神様、いっぱいいるよ。僕らは、知ってる。でも会った事はないよ。」

「半神でも、会う事はまず無いと思う。自分でも、何故、出会えたのかも解らないよ。しかも、前にも多分会ったんだと思うけど、それは覚えていなかった。」

「会うにも、特別な何かがあるんでしょうね。それが何かは解らないけど。もしかして、私を封じたのも、そういう存在かしら?」

「可能性はあるだろうね。自分が知っている範囲で魔族を封印してたのは、人間だったけど、その技術はどこから来たのか解らないから。」

「ああ、何も思い出せない。昔の事ならば、幾らでも覚えているけど、いつから封じ込められてたのか、何でそうなったのかも。最後に覚えているのも、自分の家にいた時の事よ。

それから、どうしてここに来たのか、全く解らない。」


「記憶が消えているのか、そもそも覚えていないのかも解らないよ。忘れているなら、無理に思い出そうとしてもできないよ。」

「それ、経験者のアドバイス?」

「そう、思ってくれていいよ。自分は、両親らを襲った魔犬と再び会って思い出したから。」

「なら、私も危ない目に遭ったのかな? 思い出すのが怖いな。」

「僕は、ちゃんとここの入口から入って来たよ。でも、その入口が、本当に地続きだったのか、みんなの話を聞いてると、自信が無いな。」

「まあ、自分も入口の前に、造る者に送り出されたから、ここの入口まで辿り着く方法は解らない。」

「この迷宮が掃き溜めなら、至る方法は無数にあるのかもね。」


「話は、この辺で、少し休もう。眠れるなら、寝たいだけ好きにすればいいよ。木の上は体も痛くなるけどね。」

再び、ポイが結界を張り、今度は3人で手頃な木の上に登った。

疲れは、それ程ではないが、休める時に休もう。

大きな枝の上に体を預けて目を瞑ると、いつの間にかに眠っていた。

木の上での睡眠も、これで2回目なので、前よりも慣れたのかもしれない。


 どの位、眠っていたのかは解らない。

何となく目覚めた。

まだ、他の2人も寝ているようだ。

周囲の林に変化は無い。

そう言えば、ここで魔獣らに遭遇した事は無い。

ここは、安全な場所と考えて良いのだろうか?

2人を起こさないように、しばらく横になっていた。

うとうとして、また数時間が過ぎたようだ。


次に起きると、ポイの姿が無かった。

木の実でも、探しに行っているのだろうか?

そろそろ自分も起きようと思い、木に体を固定していたロープを解く。

地上に降りてみると、やはり体が少々痛いので、体を解して行く。

まだ、カディンは寝ているようだ。

封印されていても、眠いようだな。

地上に降りてもする事は無い。

まだ寝ているカディンを置いて、どこかに行く訳にもいかない。

しばらくすると、木の実を集めていたポイが帰って来た。

「木の実、集めて来たよ。」

「おう、ありがとう。でも、1人で大丈夫だったのか?」

「ここ、何も出ないね。小さい生き物はいるけど。」

「こういう安全な場所は、奥にもあるのか?」

「解らないね。」

「まあ、他にあると期待しない方が良いだろうな。」

そんな話をしていると、カディンも起きて来た。

「ふあぁ、久し振りに寝た気がするわ。」

「封印されてる間は、寝てる事になってないのか? 体力とかも消耗していたし。」

「どうなのかな? 封印されたって感覚は無いから。もしかして、体力を消耗し切ったから、封印して保存されていたのかも。」

「封印されてなければ、危なかったって?」

「かもしれない。覚えてないから、何とも言えないけど。」


木の実の食事を終えた。

「さてと。私の魔法、確かめてみようと思うの。覚えてる魔法が使えるのかとか、契約してる魔獣を呼び出せるかとか。」

林の中、開けた場所を3人で探し始めた。

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