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第146話「魔法の伝授」

 旧市街で、結界を構築する作業は終わった。

後は、自分らの手を離れ、建築関係の職人が建物や下水道などを整備して行く。

あの地区に人が住めるようになるには、もうしばらく時間が掛かるであろう。


少し時間ができた。

その時間で、ナルルガはフェムネらに呪文を教えると言う。

それをフェムネも期待している。

ナルルガ「それじゃあ、ケリナ仕込みの派手な奴を教えるわよ。」

ナルルガは、ハノガナの街の新旧市街を分ける河の湖畔に移動した。

対岸も街を外れているので、ここならば多少の魔法を使っても差し支えないであろう。

ナルルガ「じゃあ、行くわね。」


ナルルガが、杖を河の方向に突き出した。

その杖も、今来ている帽子やマントも、以前、使っていた物とは別物である。

多分、ケリナの街で新調したのであろうが、以前の物よりもより強力な装備に変えてあるのだろう。

帽子もマントも、濃紺で統一されており、所々に濃い目の柑橘系の色の線が入っている。

ナルルガが呪文を唱え始めると、その振り上げた杖の先に火球が生み出された。

その火球、今まで見た事のある大火球よりも巨大で、その色も眩い程に明るい。

一目で上位の呪文である事が解かる。

その巨大な火球が放たれると、50m程先の川の中央まで飛んで行き、炸裂した。

50m以上離れた場所にいるのだが、その熱と爆風を肌で感じた。

ナルルガ「これが、爆炎球の呪文ね。150mは先まで自由に飛ばせるけど、30m以内で使うと巻き込まれるから。」

「凄い、凄い、お日様が出て来たかと思ったよ。」

「これ、覚えたい、教えて、教えて。」

見ていたフェムネらも、大はしゃぎである。


ナルルガが、彼らに呪文を教え始めた。

自分らも、それを習うが。

十分後、フェムネが自分達の魔法の杖を川面へ突き出した。

ナルルガ「変な場所で爆発させないでね。距離が近いと巻き沿いを喰らうし、飛び過ぎて対岸まで飛ばさないように。それに低過ぎると、河にも影響があるからね。」

「は~い。」

その返事は、どこか呑気ではあるが、杖から先程のナルルガが発声させた火球が生み出された。

そして、それが8個、次々と河の中央部へ向かって飛んで行く。

すると、連続での大爆発だ。

「やった、やった。できたよ、僕ら。」

ナルルガ「これは、恐るべき魔法の才ね。これは、学院にも報告しないと。」

イルネ「彼らは、今まで攻撃呪文をほとんど知らないだけだったから。元から、魔力は高い生き物だから、それを知ればこんな呪文でも、簡単なのかもね。」

そう言いながら、イルネも爆炎球を再現してみた。

イルネ「この呪文、とんでもない威力ね。でも、迷宮みたいな狭い場所では、使える場面が限られるわね。」


ナルルガが、次々と、呪文を教えて行く。

ナルルガ「これは、どう? 今度は、氷の攻撃呪文よ。」

「氷、氷、冷たいのも教えて。」

ナルルガが、再び杖を構え、先程とは違う呪文を唱え始めた。

ナルルガの杖から、微かに冷気が生まれたように思え、それが川面の方に流れて行った。

すると、河の上空に、無数の氷の柱のような物が生まれたかと思うと、それが、一点を中心に収束して行く。

まるで、巨大な氷の刃がその中心に突き刺さるように。

ナルルガ「これが、氷刃牢ひょうじんろうの呪文ね。氷の巨大な刃を一点に打ち込むのよ。」

「これも、凄い。相手はこちこちのぼろぼろだよ。やるやる、これも。」

フェムネが呪文を習い始めた。

フェムネらが、再び川岸に横並びになった。

その杖の先から、冷気が河へと流れて行き、氷の牢屋が出現した。

その牢屋の中にいたら、とんでもない打撃を受けるが。

ナルルガ「あんた達、教え甲斐はあるけど、簡単に再現するから自信無くしそうよ。」

「それは、先生の教え方が上手いから、僕ら覚えるの早くできる。」

ナルルガ「あんたら、いい事言ってくれるじゃない。これは、別の呪文も教えちゃうぞ。」


ナルルガが、杖を今度は斜め上に振り上げると、今度は河の上空に、黒雲が生まれた。

その黒雲が、周囲に広がって行くと、凄まじい閃光と轟音が生まれ、水面に稲妻が複数落ちた。

ナルルガ「これは、河の生き物にも影響出るかな? 今度のは、轟雷閃の呪文ね。」

「おお、びっくり、びっくり。凄い光に凄い音だよ。当たらなくても、嫌な奴驚いて逃げるよ。」

呪文を覚えたフェムネが、杖を構えると、8匹の生み出した黒雲がつながり、広範囲に稲妻の雨を降らした。

その後に、焦げた魚が数十と浮かんだ。

ナルルガ「やっぱり、影響出たか。それにしても、これも直ぐに覚えるとはね。学院の上級以上の受講生レベルの才能かもしれないわ。私も、うかうかできないようね。」


その後も、幾つかの呪文をフェムネは修得した。

攻撃呪文だけでなく、防御呪文や支援呪文なども。

その全てをフェムネは取得し、イルネも覚えていた。

自分を含めて、他の仲間は得意分野の呪文を幾つか覚える事はできた。

ナルルガ「フェムネが、ここまで優秀とは思わなかったわ。イナール大森林に、勧誘に行かないといけないわね。この才能、眠らせておくのは惜しいわ。あんた達も、妖精の森に行ってからも妖精達に魔法を習いなさいよ。」

「はい、ナルルガ先生。解りました。」

ナルルガ「その素直さが、またいいわよ。」


 旧市街での再建はまだまだ続くが、これで自分達の役割は終わった。

伯爵の城館に呼ばれた自分らは、ねぎらいの言葉と報酬を受け取った。

アグラム「今回も、無事に結界が作り直せたようだな。ご苦労であった。次の特級講座は、期間が長いようだから、しばらくは会えないな、ナルルガ。体にも気を付けて励めよ。」

ナルルガ「はい、これからのお力添えも、ありがたく思います。」

アグラム「それと、フェムネの諸君も、今回はお世話になった。妖精の森に行っても、また手助けしてくれな。」

「はい、はい。また、ここも遊びに来たいです。」

アグラム「そうか、その時は、歓迎するぞ。」

イルネ「あなた達は、買い食いしたいだけでしょ。」

「それある、それある。美味しい物が沢山。」

フェムネらは、街へ出ると、様々な物を食べ歩いていた。

特に、甘い物が好きなようだが、各自で好みの違いもあるようだった。

「今日も、街でいろいろ食べたよ。」

マレイナ「それでも、夜は、また別に食べるのよね。」

キオウ「お前ら、食べ過ぎて太るぞ。」

「おお、それ注意。体、重くなると動けない。」


 数日、ナルルガと共に、迷宮にも行った。

魔鈴を使っての迷宮探索も、ナルルガにも体験させた。

ナルルガ「これは、確かに、迷宮の探索が一新される技術ね。1つ、買って帰るわ。それと、半妖精の事、みんな注意してよ。」

ナルルガと別れてから、迷宮で自分らが遭遇した様々な事を彼女にも体験させた。

ナルルガ「少し離れただけで、いろいろ変わるもんね。それと、この深層の圧、しばらく接していないと、こんなにも負担が大きかったのね。」

ナルルガは、魔鈴をギルドで購入していた。


 そして、仲間らとの別れの時が来た。

ケッティに跨ると、ナルルガがケリナの街へと旅立つ。

ナルルガ「じゃあ、今度は、長い事会えないかもしれないわね。あなた達の方からケリナに遊びに来てね。」

フェムネも、フォドの故郷へと送り届ける。

ナルルガとも一緒に街の城門を出たが、行先は別々である。

キオウ「じゃあ、またな。元気でやれよ。」

「またな、ナルルガ。」

マレイナ「また、文を出すからね。」

フォド「では、お元気で。」

イルネ「それじゃ、元気でね。教えて貰った呪文、活用させていただくわ。」

ディーナ「じゃあ、またね。部屋も引き続き使わせて貰うわ。」

「ありがとう、先生。また、会えるよね?」


ナルルガの小さな姿が、消えて行く。

そして、自分らは、伯爵に借りた馬に乗り、フェムネも呼び出した小脱兎鳥に跨っている。

フェムネは、背嚢や風呂敷を背負っているが、小脱兎鳥は難無く運んでいる。

やがて、ニニニガの村に到着すると、フォドとフェムネらは妖精の森に向かった。

キオウ「お前らも元気でな。」

マレイナ「たまには、遊びに来てね。」

「みんな、ありがと。また、会いに行くね。」

フォド「それでは、皆さん、フェムネの方々を送って来ます。今度は、皆さんもお招きできるといいのですが。」

フェムネらが、去って行った。

フォドが戻るまで、しばらく村で待機である。

「それじゃあ、村を見て回るか。」

何か珍しい物はないか、村の市場へと繰り出した。

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