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第119話「手掛かりを追って」

 マレイナの姉、ディーナを探しにハルム王国のケムンの町まで自分達は来ていた。

町の近郊にある、廃墟と小規模な迷宮に魔獣討伐に来ていたが、町に戻ろうとしていた時に、不審な飛行するモノを目にした。

そいつらは、廃墟の中に降りて来たようだが、様子を探る事とした。

キオウ「確か、こっちの方角だよな。」

フォド「そうですね。見た事の無い相手でしたが、羽がとても大きかったですね。」

ちょっと姿が見えた程度だが、羽の幅が3mはあったように見えた。

だが、その胴体は小さく見えた。


廃墟の中を進んで行くと、何やら物音に人の声が聞こえて来た。

その音のする場所へと向かうと、冒険者が幾人かいた。

4人の冒険者だ。

3人は、武器を抜いて構えており、1人は杖を持っていた。

戦士3人に魔術師1人だろうか?

彼らの少し上空を何かが3匹、羽ばたいていた。

そいつらは、巨大なコウモリを思わせる容姿をしている。

黒っぽい体に、胴体よりも大きな翼、短めの胴体に足。

そして、そいつが冒険者らに向かって黒い稲妻のような物を放って攻撃していた。


「あいつら、魔族か?」

その放つ闇属性と思われる呪文から、そのような印象を持った。

冒険者の魔術師が、火球を何発もコウモリみたいな奴に撃ち込んでいたが、効果はほぼ無いようだ。

奴らには、光属性の呪文の方が効果はあるかもしれない。

マレイナ、フォド、イルネが、それぞれの目標に向かって光の尖槍の呪文を放った。

不意打ちで全弾が命中し、コウモリもどきが鋭い悲鳴を上げた。

「助けに来たぞ。大丈夫か?」

「ああ、助かる。すまない。」


有効的な呪文を当てたからか、コウモリもどきが一斉にこちらに向かって来る。

そこを全員で、迎撃だ。

仲間らが、光の御符の呪文で自身の守りを強化する。

そして、光の尖槍の一斉照射だ。

各自の手先から生まれた光の槍が、勢いよく撃ち出されると、コウモリもどきの体や翼を貫いて行く。

それが当たる度に、そいつらが短く鋭い悲鳴を上げる。

だが、呪文を喰らいながらも、奴らも黒い稲妻をこちらに撃ち返して来る。

呪文の撃ち合いである。


けれど、こちらの方が数は多い。

やがて、1匹、2匹と奴らは地表へと墜落し、最後の奴も叩き落としてやった。

そこへ、武器を持って踊り掛る。

奴らは、呪文を喰らい息も絶え絶えであり、しかも接近戦は苦手なようだ。

翼に比べて小さな胴体を切り裂き、その首を叩き落とした。

3匹の未知の魔獣を討伐した。

周囲を見回すが、他にはいないようだ。


「いや~、助かったよ。ありがとうな。でも、あんたら、見掛けない顔だな?」

キオウ「気にするなよ。助け合いは、お互い様だ。俺達、ケムンの町には最近来たばかりだからな。パーティー名は、西方の炎風って言うんだ。よろしくな。」

フォド「皆さん、お怪我はありませんか? それと、先程のコウモリみたいな魔獣は、ここらではよく出会う奴らなのでしょうか?」

「ああ、多少は、怪我もしているが、かすり傷程度だよ。あいつらか? 前までは見ない奴だったが、最近は、たまに見掛けるようになったな。」

イルネ「あれ、魔族じゃないの?」

「言われてみれば、そうかもな。姿は見るようになったが、討伐したのは、今回のあんたらが初めてかもしれないぞ。」

そうか、最近になって出るようになったのか?

大きなコウモリのように見えるが、近くで見ると、どことなく胴体は足が短いが人を思わせる形をしている。

その上、使っていたのは、他の魔族も使う闇属性の呪文だった。


助け出した冒険者らと共に、町へ戻る。

道中、他の魔獣らの話などを聞いた。

そして、あの事も。

マレイナ「ねえ、あなた達、この町での活動は長いの? もしかして、ディーナって冒険者の事を知らない? その人、私の姉かもしれないの。」

「ディーナか。俺らも知ってはいるが、何度か話した程度で、特に仲がいい訳でも無かったな。確かに、あんたに彼女は似てるな。姉妹なのは間違いないと思うよ。」

「ディーナなら、確か、あいつらとよく話てたと思うぜ。」

冒険者らから、ディーナと親しかった人達の情報を聞き出した。


 町に戻るとギルドでは、コウモリもどきの魔獣を討伐した事を報告した。

「そうですか、奴らをついに倒していただけましたか。まだ、被害らしい物の報告はありませんでしたが、不気味な存在でしたから。」

ギルドの記録を調べてみると、該当する奴が見付かった。

「やはり、魔族のようですね。国内各地で昔から目撃例が幾つもありました。」

だが、名前が無い奴らだった。

仮に、「翼の魔人」と名付けられた。

その他に、ディーナと親しかった冒険者らの事を聞き出し、彼らを紹介して貰う事になった。


ギルドに紹介して貰った冒険者は、自分達と同年代くらいであった。

「何だい? 話って?」

マレイナ「ディーナの事を聞きたいのだけど。彼女、私の姉かもしれないので。」

「そうだったんだ。多分、彼女、国内にまだいると思うよ。南部のメルアノの街とか、シェルホの町辺りとかも、前に行ってたから。」

マレイナ「そう? ありがとう。もし、彼女に会ったら、妹が探してたって伝えて欲しいな。」

次は、南部の街を探ってみる事にする。


翌日、メルアノの街を目指して出発する。

今度は、4日程で到着するだろう。

フォド「今回は、ハルム王国のいろいろな所を見られそうですね。」

マレイナ「ごめんね、みんなを付き合わせてしまって。」

イルネ「ハルム王国も、なかなか来たいと思っても、そうはいかないわ。丁度いい機会よ。」

確かに、いろいろと見て回っている。

ハルム王国は、ラッカムラン王国に似た国である。

だが、獣人が多かったり、ラッカムラン王国の各都市よりも新しい場所が多い。

それだけ、活気があるとも言える。

似ているが、違う所も多いので、見る物が新鮮に見えていた。

街道の両側に、耕作地や牧草地が広がっている。

そして、道はメルアノの街の城門へと続いていた。


ここは、ハルム王国の南部の中心都市の1つである。

今まで、ディーナの足跡を辿って来ていたが、どこも中規模程度の町ばかりで、ここ程に大きな街は無かった。

果たして、ここで彼女に出会えるのだろうか?

城門を潜り抜け、宿に寄ってからギルドへと顔を出す。

大きな街なので、ギルドの建物も大きく、所属する冒険者も大勢いるようだ。

午後の時間帯だが、それでもギルドにいる冒険者の数は比較的多い。

順番待ちをしばらくして、やっと受付嬢に話を聞けるようになった。

「ようこそ、メルアノの街の冒険者ギルドへ。本日は、どのようなご用件でしょうか?」

まずは、この街で登録である。

「あら、ラッカムラン王国からおいでですか? それに騎士殿が3名も。」

ここでも、ディーナの事を聞いてみた。

「ディーナですか? 数日前までは、姿を見ましたが、この数日は見ていませんね。」

いきなり、数日前の情報が来た。

「どちらに向かったかは、存じません。もしかしたら、ここの冒険者の中に知っている者もおるのかもしれませんが、当ギルドでは把握はしておりません。交流のあった冒険者も幾人かいるとは思いますが。」

ここでも、少しばかり活動をして、その冒険者を探すしかないようだ。


 翌朝、宿からギルドに、向かった。

ここでは、どんな依頼が多いのか確かめてみると、隊商の護衛や輸送の依頼が多いらしい。

それ以外には、郊外で魔獣や獣が耕作地を荒らすので、間引きする依頼もある。

近場で済ませられそうな、魔獣などの間引き依頼を受けた。


耕作地を見回っていると、農夫に声を掛けられ。

何をしているか聞かれたので、ここら辺の魔獣を退治しに来たと伝えると、案内された。耕作地の端に、何か大きな穴が開いていた。

そこから、獣が出入りしていると言う。

農夫から、柴や枯れ枝を分けて貰うと、その穴にそれらを詰めて、着火した。

燃え上がる柴が煙を立て始めたので、風属性の呪文で穴の中に煙を流し込む。

しばらくすると、少し離れた穴から、穴掘りネズミが何匹か飛び出して来た。

そいつらをマレイナの放った矢が襲い掛かり、5匹程を射殺した。

これで、奴らも懲りただろう。

見える範囲に開いた穴の出入口をこれも呪文で崩して塞いだ。

農夫には、礼を言われたので、また別の場所を見回った。


耕作地の外れに、崩れ掛けた納屋のようの物が見えたので、近付くと一角鬼が数匹出入りしていたので、そいつらを討ち取る。

呪文で半数を倒し、奴らの退路を塞いで切り付けた。

奴ら、郊外とは言え大きな街近くにも出没するようだ。

休憩がてら、軽く腹ごしらえをした。

キオウ「この辺りは、のんびりしてるな。魔獣らも、張り合いは無い。」

イルネ「ここは、中継地点みたいな街ね。依頼も、流通に関わる物が多いようだし。」

「もしかして、ディーナも、そんな依頼を受けて遠出してるのか?」

イルネ「でも、ギルドでは、行先が解らないみたいだったから、それは違うかもね。」

そうか、だが、彼女の近くにいるのは間違い無いようだが。

新しい手掛かりが欲しいものだな。

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