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第11話「4人目との出会い」

 その後も数回、マグルの案内で、採掘、討伐、探索と何種類かの依頼を受けた。

地下迷宮内でも、一角鬼いっかくおに大食おおぐおにと馴染な魔獣とも遭遇したが、おおムカデ、軍隊アリなどにも出会った。

軍隊アリは、無数に這い出て来るので厄介な相手だったが、場所によってはナルルガの火球や火炎壁によってまとめて撃退する事もできた。

ただ、狭い場所での火属性魔法は使い方を誤れば、こちらにも被害が出る。

「マグル、それそろ自分達だけで、迷宮に挑もうと思うんだけど。」

マグル「そうだな。いつまでも、オレが付き合うのも何だしな。けど、これからも、よろしくな。」

「ああ、今後も、いろいろと相談に乗ってくれ。こちらこそ、頼むよ。」

マグル「迷宮は、まだまだ広いぜ。これからは、同じ冒険者として助け合おう。」

キオウ「今まで、ありがとうな。」

マグルの案内はこれで終るが、今後は、対等な冒険者同士の付き合いになる。

とは言え、3人で地下迷宮の依頼は、負担も多い。

誰か、新たな仲間が必要だろう。

マグルに仲間になって欲しいところだが、そうも都合よくはいかないだろう。

再びギルドで、ヘルガに相談してみる。

どうせ新たに仲間を探すならば、スカウトや神官など今とは顔ぶれとは違う技能を持った人物が理想ではある。


 ハノガナの街に来て、もう二月余りが過ぎた。

私の生まれは、ここハノガナの街のあるアルデード地方ではなくマルダナース地方だ。

マルダナースの方がこの地方よりも都会である。

けれど、故郷を訳あって離れる事になった。

私の職業は狩人で、昔から弓をよく使っていた。

その能力を活かして、冒険者を始めた。

けれど、ここでは地下迷宮での仕事が多く、弓の使い道が限られている。

片手剣を使い始めたが、そんな剣の初心者は、なかなかに仲間に迎い入れてくる相手がいない。

私の人生、つんだかな?


紹介された人物は、マレイナ、獣人族の女性だった。

年齢は17歳、職業は狩人でありレベルは17だそうだ。

明るい色の茶髪のショートカットが、可愛らしい女性だ。

獣人特有の長い耳、大きな目が特徴である。

ただ、ハノガナの街に来る前は弓を主体としていたようだが、地下迷宮では弓を活かす場面が少ない。

その為に、片手剣を使い始めたのだが、まだ剣術の技量が低く他のパーティーからは敬遠されがちなようだ。

弓術のレベルは18だそうだが、剣術はまだレベル5、少々技量は低いが、光属性魔法の回復なども使えるようなので、仲間に入ってくれる事になった。

革鎧に弓用の胸当てを重ね着し、短弓と片手剣を主な装備としていた。


マレイナ「みんな、よろしくね。」

マレイナが満面の笑みで、自分達に挨拶してくれた。

マレイナ「今までは、弓ばかり使って来ていて、最近、剣を使い始めたんですが、まだ腕の方は自信が無くて。その、足手まといになっちゃうかもしれませんが、よろしくです。」

少々、緊張もしているようだ。

だが、自分もキオウも大歓迎だ。

「こちらこそ、よろしく。マレイナ。自分はサダだ。」

キオウ「おう、俺は、キオウ。よろしくな。」

ナルルガはと言えば、

「よろしく、私は魔術師のナルルガだから。女性の仲間は大歓迎よ。」

おっ、ちゃんと正面を見て挨拶すると握手もしている。

4人組みでの仕事生活が始まる。


 4人で地下迷宮への挑戦を始めた。

狩人は、探索にも向いた技量を持つ職業だが、しばらくは、接近戦の剣術の腕が心配なので後ろに下がって貰った。

一列に自分が先頭になり、マレイナ、ナルルガ、キオウの順に進む。

今回は、迷宮内の魔獣10匹の討伐依頼だが、ついでに鉱石採掘をしながら稼ぎを増やすつもりだ。

まずは、いつもの採掘場に行き、それから迷宮内で獲物を探し求める事にする。

採石場までは、何も遭遇せずにたどり着いた。

各自で鉱石を10個程度採掘して、探索を開始する。

鉱石10個程度ならば、動き回るのに差ほどは影響しないだろう。

暗い迷宮をランタンの灯りを頼りに進む。

魔法のランタンも、自分とキオウで1つづつ購入した。

価格は、1つ5ゴールドだった。


先の方から、音が聞こえて来る。

ランタンの灯り窓を少し狭め、照明を暗く少しばかり調節する。

しばらくすると、足音が大きくなり荒く呼吸する音も聞こえる。

「あれは、大食い鬼か?」

キオウ「そうだな。」

その数は3匹。

マレイナが、続けざまに短弓の矢を放ち、真ん中の大食い鬼を射貫く。

ナルルガは、右の鬼に向かって風の刃を打ち込む。

無傷の左側の鬼に、自分は向かって行き戦斧を振るう。

今度は抜刀したマレイナが、真ん中の鬼に飛び掛かる。

数分で、けりが付いた。

先手が全てを決めていた。

大食い鬼を調べるが、特に何も持ってはいない。

例の如く、右耳を切り取り次の相手を探す。

次に2匹の大食い鬼と遭遇するが、これも難無く倒す事ができた。

キオウ「何か、大食い鬼ばっかりだな。

「もしかして、この先に奴らの巣があるのか?」

キオウ「試しに、行ってみるか。」

そこを目指して進む。


しばらく進むと、道は三叉に分かれている。

キオウ「どうする。どっちに進むか?」

「右、右側にしよう。」

進むと、やや下り道のようだ。

キオウ「下ってるな。」

「ああ、その分、手強い魔獣が出るかも。」

そして、広い空間に出た。

人工的に掘ったのではなく、自然の地下空洞のような場に出たようだ。

ランタンの灯りで照らしてみるが広過ぎて、先を見渡す事ができない。

キオウ「おいおい、ここは地下だろ。こんな広い場所があるのか?」

マレイナ「地下迷宮は、広いから。ここよりも、大きな空洞もあるわ。」

「うわ、本当なんだな。」

用心して壁伝いに空洞を進む。

天井からは水滴がたまに落ちて来る。

足元には何か所にも水溜まりが出来ていて、ぴちゃぴちゃと足音を立てながら進んで行く。


ふと、何かが擦れるような音が聞こえた。

「何か、聞こえたか?」

立ち止まり、耳を澄ませる。

マレイナの探索の能力が闇向こうに何かの気配を感じる。

マレイナ「何だろう。結構、大きいよ。みんな、気を付けて。」

それは大きな物が、空洞の床を這い寄って来るような気配だと言う。

床を擦るような音が、またする。

キオウ「こっちに、来てるな。」

皆、戦闘態勢を取る。


ランタンの灯りを反射しているのか、暗闇に2つの目が光っている。

高さ2m以上の所に、その光る目はある。

マレイナが、光の弾を空洞の天井目掛けて幾つも放つ。

攻撃の為ではなく、辺りを明るくする為だ。

影の中から、その姿が見えて来る。

そいつは、人の背丈を越えた位置に頭をもたげた大蛇だった。

体調は10m近くあるのでは?

相手は大蛇だと解かったが、種類が解らない。

毒蛇なのか、それとも、もっと厄介な能力を持っているのかまだ判別は付かない。

長い舌が、大蛇の口からぺろりと顔をたまに出す。

マレイナが矢を、ナルルガが火球よりも強力な火炎矢を放つ。

攻撃を受け、怒り出す大蛇。

その口を大きく開けたと思ったら、何かの塊を吐き出しこちらに向けて放って来る。

吐き出した塊が、べとりと洞窟の床にこびり付く。

そして、微かに刺激のある臭いがした。

「毒吐きマダラヘビだ。あの毒液に当たるなよ。」

キオウ「こいつは、ヤバそうだ。」

毒液と毒牙が厄介な相手だ。

体も大きいので、毒以外にも押し潰されないように注意が必要だ。

体当たりされただけで、大きな打撃を受けてしまうだろう。

毒液を吐き、体をくねらせながら近付いて来る。

今までの魔獣とは、格の違う相手だ。

前衛を自分とキオウ、後衛をマレイナ、ナルルガと隊形を変えて対峙する。

短弓の効き目が余り無いと判断し、マレイナは光弾をナルルガが続けて火炎矢を放つ。

どちらも効果はあるようで、マダラヘビが苦痛の叫びを上げる。

その機会を逃さずに、キオウと自分で追い打ちを掛ける。

ただ、何度も直接攻撃を加え続けるのは危険なので、一撃離脱の戦法を繰り返す。


射貫かれ切り刻まれるマダラヘビだが、体も大きく体力も多い。

なかなかに、倒れてはくれない。

ナルルガ「これでも喰らいなさい!」

ナルルガが、火炎矢を連射して相手の口の中に続けざまに攻撃を集中する。

焼け焦げた口からは、もう毒液の射出は無理だろう。

だが、まだ楽にはならなかった。

今度は、マダラヘビが巨体をくねらせながら、こちらに襲い掛かって来る。

こうなっては、接近して切り付けるのも難しい。

暴れ回るマダラヘビ。

「ダメだ。離れろ! 呪文の攻撃に切り替えろ!」

キオウ「これなら、毒の攻撃の方がマシだ。」

キオウが風の刃、自分は石塊を連続で打ち込むが、効果は薄いようだ。

魔法は、ナルルガとマレイナの方が威力が高い。

キオウ「おっ、弱って来たか?」

「そうだな。行くか。」

キオウが距離を詰め、頭を狙って槍を繰り出す。

その首へ自分も戦斧で切り付ける。

マレイナも片手剣の攻撃に切り替えた。

簡単に首を断ち切る事はできないが、何度も渾身の力を込めて叩き付ける。

戦斧の強打、強打、断頭切りの連続である。

キオウ「うお、こいつ大人しくしろ!」

キオウは体を揺さぶられるが、その戦槍を決して緩めない。

戦斧を10数回は叩き付けたかと思うと、マダラヘビの動きがやっと止まる。

「終ったか?」

キオウ「いや、まだ解らないぞ。」

突然、再び暴れ始めたが、その動きが最後の足掻きだったようだ。

マレイナ「まだ、動くの?」

ついに、マダラヘビの動きは、完全に止まった。

だが、油断せずに相手の首を切断する。


その戦いは、30分程続いたであろうか?

キオウ「はあ、やったな。」

「ああ、疲れたよ。」

毒吐きマダラヘビの鱗を切り取り、討伐の証にする。

マレイナと自分の回復魔法で、全員の傷を治す。

誰も、大打撃を受けずに済んだのは幸いだ。

しばらく休憩をと思ったが、また床を擦るような音が聞こえて来たので、慌てて来た道へと退避した。

マレイナ「また、来たよう。」

マレイナが少々慌てて言う。

キオウ「もう、沢山だ。」

「ここは戻ろう。」

通路を分岐点まで引き返し、今度は真ん中の道を選んで進む。

進んだ先で大食い鬼数匹の集団に幾つか遭遇して、これを討伐し依頼の目標の数に達したので、帰路に付く。

大食い鬼の巣窟は、残念ながら見付ける事はできなかった。

帰りにも、大食い鬼や一角鬼に遭遇し倒したが、マダラヘビに比べれば楽である。


 この日の成果は、毒吐きマダラヘビを1匹、大食い鬼を13匹、一角鬼を5匹討伐して戻ってこれた。

報酬は、討伐の成功で150シルバー。

追加の報酬はマダラヘビを含めたので250シルバー。

それに、鉱石の買い取りも200シルバーになったので、一人150シルバーの儲けとなった。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 11話時点ですが、まだ転生要素が空気ですね。 あと、会話がないのでキャラが未だによく掴めてません! 他キャラの内面が垣間見えるのは初登場時のみというw主人公視点の冒険風景に終始している…
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