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ANOTHER ME  作者: 狭山泰士
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もう一人の自分

平凡な中学生 岸野真隼キシノマハヤ は3月11日の大震災に巻き込まれ、同日の別世界にいる「もう一人の岸野真隼」と入れ替わる。真隼は無事に、元の世界に戻れるのか?

*一部、不快に感じる表現、また非人道的な描写が含まれる可能性がございます。苦手な方は閲覧をご遠慮ください。

 キュッ、キュッ、キュッ

 スポーツシューズの擦れるあの独特な音が体育館に響く。

 宮城県仙台市立大空中学校の2年生である 岸野真隼キシノマハヤ はバスケ部に所属しており、今日は授業参観の日であったため授業は給食を含め4時間目までしか無かった。

 学校が終わると、真隼はいつもより早く帰宅し、ユニフォームをカバンに入れて学校へと向かった。

ニュースでは、[2011年 3月 11日 午後1:30] を知らせていた。




 学校に付き、ユニフォームに着替え、体育館に入って部活をする。いつも通りの行動。それが今日は少し早いだけ。

 あまりに熱中してしまい、喉が乾いたため、水を飲みに体育館の外の水道まで行った。戻って来てふと時計を見ると午後2:40を指していた。再びバスケットボールを手に取り、練習を再開する。勢いよくドリブルをし、シュートを決めようとした瞬間、



ドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



地面が、揺れた。


 急な感覚に真隼は状況が理解出来ていなかった。それは周りの生徒達も同じようだった。

 「真隼!逃げるぞ!!」この声でようやく身体が動くようになった。声の主は幼なじみで同じ部活の 坂本輝サカモトヒカル だった。

 慌てて走り出す真隼と輝。足の震えがとてもよく分かった。出入口まであと2mのところまで来ていた時、誰かが叫んだ。「天井が崩れてきたぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」   えっ━━━━━━━━━━━━━

 最後に見た光景は、崩れてくる瓦礫と、輝の恐怖でいっぱいの顔だった。

 そして、真っ暗になった。





 


あれ          死んだ?

   いや、違う。            少しだけ、意識がある。   生きている心地がする。

 目を開けると学校の体育倉庫のようなところに座っていた。目の前には見知らぬ長髪で金髪の男子生徒の姿。何か話している。状況が理解出来ず困惑していると、その男子生徒が不思議そうにこちらを見つめて言った。「どうした真隼?ボーッとして?」思わず、「ぁえっっ!?」と変な声が出てしまった。男子生徒は笑いながら、「ちょっwwwお前何だよwwwいきなり変な声出してwwww」と言った。相変わらず状況が理解出来ない。真隼は笑っている男子生徒に問いかけた。「えっ、えと.....あっあなたの...名前...って...何です...か...?」男子生徒は首をかしげて不思議そうに言った。「はぁ...? 橋本夏樹ハシモトナツキ だよ?お前本当にどうしたの?」

 橋本夏樹...??全く知らない名前だ。真隼はさらに夏樹に問い詰める。「今は何年何月何日だ?俺の名前は?ここはどこだ?何で俺はここにいる?俺は死んだはずだ!」「なっ、何だよ!どうしたんだよ急に!」夏樹が驚いた顔でこちらを見つめる。真隼は冷静を取り戻し、深呼吸すると、「......ごめん。だけど...答えてくれ」真隼は少し泣きそうになりながら、声を震わせて言った。夏樹は困惑しながらも、答えた。「今は2011年の3月11日だ。お前の名前は岸野真隼。俺と同じ外川中の2年生だ。ここは、宮城県仙台市立外川中学校の体育倉庫だ。あとの質問は意味がわからない。....どうだ?」「...ありがとう」真隼は少しだけ理解出来たが、やはりわからないことの方が多かった。

 考え込んでいると、夏樹が「ヤバい、もうすぐ部活だ!行くぞ真隼!」と言った。「え?う...うん」訳が分からず立ち上がり、ユニフォームを探す。すると夏樹が「何やってんだよ!行くぞ!」と強く言った。行くったって...どこへ?俺はバスケ部だから、体育館にある男子更衣室でユニフォームに着替えるだけだ。真隼は夏樹にまた問いかけた。「行くってどこへ?」「中庭だよ!」夏樹が言った。「中庭?」「そうだよ。俺とお前は外川中喧嘩部所属だろ!」「外川中....喧嘩部...?」さっきから訳がわからない。夏樹は鬱陶しそうに「不良グループみたいなもんだよ。ほら、もう時間がねぇ!行くぞ!」と言って手を強引に手を引っ張った。 

 連れて行かれている間、真隼は今までのことを整理した。

1.俺は死んだが、なぜか生きていること

2.中学校が変わっていること

3.部活も変わっていること

4.名前は変わっていないこと

5.日にちも変わっていないこと

6.輝や、他の人物の安否がわからないこと 

 「すみません!遅れました!」夏樹の声で我にかえる。どうやら、中庭に着いたようだ。周りにはたくさんの男子生徒が集結していた。 

 「よし!集まったな!これより、外川中喧嘩部の活動を開始する!!」号令の方に顔を向けると、髪の長い、学ランを羽織った生徒と、その隣に背の高い短髪の生徒がいた。 

 短髪の生徒は続けて、「気をつけ、礼!!」と言うと、周り生徒が一斉に頭を下げた。

 真隼は唾を飲み込んだ。緊張が走る。

 一体、何が始まるのだろうか......?




はじめまして。狭山です。初投稿、初連載です。更新頻度はかなーり遅いですが、頑張りますので、どうかよろしくお願いいたします。(*´ω`*)

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