プロローグ
「だ、大丈夫ですか!?」
「はっははっ。君にはこれが大丈夫に見えるのかい?」
そういう青年は右腕と両太ももから下が無かった。かろうじて左手で片手剣を掴んでいるといった感じだが冒険者としての意地なのだろう。まぁその武器でさえも予備の量産品ではだが。
「まさかこんな所でエクストラクラスの、しかも災害級が出るなんてねぇ。ギルドの報告だと先10年は出ないって話だったんだけど。」
俺たちを襲っているのはサイズこそ馬と同じぐらいの大きさだが、人型の上半身がある所謂ケンタウロスと呼ばれる魔獣だろう。本来ケンタウロスとは性格は温厚で他の存在を襲う事はほとんど無いのだが。
「君はここから逃げて近くの街まで行くんだ。この道沿いに進めば王都に着く。門番にこれを見せればすぐにギルドに話を通してくるはずだ。」
青年はそう言いながら漆黒の1枚のカードを渡してきた。
「俺が肩を貸すんであなたも...」
「いや、こいつは誰かが死ぬ気で止めなければ。王都に辿り着かせてしまったら数千数万の王都の民が蹂躙される。災害級の相手をするのは僕ら『黒』の役目だから。」
足がすくんで動けない俺をおいてケンタウロスの様ななにかに向かって行く青年にそれでもと声をかけようと手を伸ばそうとするが
「行け!!!!!!君は生き延びろ!!!!!!この世界は理不尽だ!!!!!!」
砂煙が立ち込め青年は見えなくなった
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数日道沿いに進み心身ともに疲弊しきった中、なんとか辿り着いた王都で門番にカードを見せたあとの記憶は無い。
ギルド管轄の医務院で目が覚めると、もう1週間以上経っていた。
他の患者の見舞いに来ていた人話によると、王都近郊でエクストラクラスの魔獣が出たらしいが王都に被害はなかったらしい。1人の少年がボロボロの姿で1枚の黒カードを持ってきたようだが、そのカードの持ち主はまだ帰ってきてはない。ギルドも通報を受け現場に調査員を派遣し魔獣の死体は確認出来たが人の死体のような物は見当たらなかったそうだ。と、いった事を聞いてもいないのに喋ってくれた。
「...『黒』1人で倒せる魔獣なら大した事無かったんだろうねぇ」
そんな呟きに言葉を返す気力はまだ無かった
なろうの皆様初めまして。みけと申します!
初めての作品投稿で誤字誤植等々あるとは思いますが生暖かい目で見守ってくださると幸いです!