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24.星空は残酷に
星に手を伸ばした
そんな日があった
暗闇に小さく小さく光る星粒
そんな星粒のひとつに手を伸ばした
手が届くはずもなくて
でもそれでも
手を伸ばしたんだ
あれからどれだけの時間が過ぎただろう
夜空を見上げても手を伸ばすことはない
それは大人になったからだろうか
分別がついたからだろうか
いや
多分こわいのだ
手が届かないことを知っている
それでこわいのだ
どんなに手を伸ばしても届かないから
そんな残酷な行為に思いを馳せるのがこわくて
見上げた夜空に輝く星はどれも綺麗で
それに手を伸ばせる自分の姿が想像できなくて
手を伸ばしている子供に憧れた




