「遺言」
~プロローグ~
─その昔、「想いを力に変える者達がいる」という伝説があった。
しかし、伝説は忘れ去られ、非現実的な噂だけが、尾ひれをつけては捻じ曲がり、明後日の方向へと広まっていくこととなる。
その噂を、良くも悪くも都合よく使う者、ただのおとぎ話と鼻で笑う者、伝説を信じ恐れる者。
様々な意見が交差する中で、伝説は、ただの幻となっていった・・・。
これは、妙な伝説に振り回されながらも、多くを巻き込んで、輝きを増し、歴史を変える、大きな光へと変わっていく少年の物語である。──
─10年前
「ねぇ父上、それなぁに?へんなかたちのけん。」
「これかい?これはね、その気になればどんなものでも『切れる』剣だよ」
「すごーい!ぼくにもちょうだい!」
「ハハ、ケンにはあげられないな、そうだな、ケンがもっと頑張ってお勉強したら、もっといいやつあげような」
「ほんと!?やったー!!」
父上は、僕にとって世界一の武器職人だった。
売れなくて、変な形の武器しか造ってこなかったが、優しく、勇敢で、武器にも詳しく、僕にも色んなことを教えてくれた、
僕のたった一人の父上。その父上は今、病床に伏しており
僕の目の前で力尽きんとしていた。
「父上・・・嫌だよ!父上がいなくなったら・・・僕は生きてけないよ!」
片田舎の武器職人の家に生まれ育った齢14歳の僕にとって、自分の力で戦いこの世界を生き抜くには、頼りがないにも程がある。
なにより、母上を早くに亡くし、父上が全てだった僕にとって、父上がいない生活など、考えられるはずもなかった。
「いいかケン・・・お前に私の作った最後の一振りをプレゼントしよう・・・私の最高傑作だ・・・」
そう言って父上がベッドの下から取り出したのは、どこの武器屋でも手に入るような初心者用の剣「ショートソード」だった。
「これ・・・ショートソード・・・?」
「そう見えるだろうな・・・いいかケン・・・これは・・・その気になればどんな武器にでも勝てる伝説の剣だ・・・気づかれたり、奪われたりしないために、見た目をカモフラージュしているのさ・・・」
「これを持って旅に出ろ・・・そして強くなるんだ・・・お前は賢いからな・・・すぐに使いこなすさ・・・この剣の本当の力を引き出した時・・・お前と・・・この剣を・・・正しい道へ・・・導いて・・・くれ・・・る・・・人達が・・・・・・」
「父上・・・?父上!!」
「ーーーーーーーーーーー!!!!!!」
父上の手が、握っている僕の手を抜け、力なく床へ滑り落ちた時、泣き声と叫び声の混じりあった、声にならない悲鳴が、一晩中、部屋に響き渡ったのは、言うまでもないだろう。
武器紹介
#1 ショートソード
元は中世の歩兵が用いた幅広めな両刃の片手剣
RPGのLv1とかで買えるどこの武器屋でも売ってるようなアレを想像して頂ければ差し支えない。
本当はこういう一般的な武器はハッキリ説明できるものを使いたかったのだが、あまりにも有名なので良しとした。
最後までお読み頂きありがとうございます。
この物語は僕の一人遊びから始まっていて、どんどん設定が膨らみ、小説を書くことになりました。ちなみに読み進めて行くと、途中でタイトルの読み方が変わります、そこも含めて楽しんで読んで頂ければ幸いです。
初めての小説という事もあり、日本語がおかしかったり、何を言っているのか分からなかったりと、至らぬ点もあるかとは思いますが、優しい目で見守っていただけるとありがたいです。
By・ー・ー・ー