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社長の長い独り言

作者: 川里隼生

 我々が開発したピーターは本当に良く働いてくれる。人間そっくりな見た目と力、人間に限りなく近い感情や思考、いずれも我がブルーワーキング社が総力を結集して十五年かけて完成させた技術だ。


 ピーターはどんな仕事にも使える。人間でなければ不可能とされた接客業でもだ。ピーターのメンテナンスだってピーターが行う。人間は働くことなく生活できる世界を手に入れたのだ。ブルーワーキング社が地上に楽園を作り上げたことを誇りに思う。


 しかし、我々が受けたのは祝福ではなく、世界中からのバッシングだった。俺たちの仕事を奪うようなロボットをよくも作ってくれたな、と社長室に直接電話してくる奴までいた。この世にそんなに仕事熱心な労働者が多かったとは驚きだ。


 ロボットに仕事を取られてもいいよう、ベーシックインカムを導入する動きがいくつかの州にある。仕事の有無などに関わらず、生活上最低限の現金を支給する制度だ。ただ、ベーシックインカムにも問題点はある。財源の確保はもとより、労働意欲と競争力の低下が主な懸念事項だ。


 人間の負担を楽にしようと思って開発したピーターが、人間の悩みの種を増やしてしまった。私はため息をついて、社長室を出る。午後五時は退社時刻だ。マンハッタンから少し離れた社屋のオフィスでは、ピーターたちがパソコンに向き合っていた。次期社長は彼らから選ばれるかもしれない。

本編と関係ありませんが、7月22日で小説家になろうデビュー4周年を迎えます。これからもよろしくお願いします。

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