43 龍
いつの間にかトータル50話を越えていたんですねぇ。
我ながらびっくりです。
突如として湖から顔を覗かせた黒龍!
その角に引っ掛かっている布切れらしきものの形状は、たぶん私のショーツ?
でも……
私のお尻、あんなに大きくないよ?
「ねえ、さっき『パンツをくれ』って話しかけてきたのはあなたよね?」
『いかにも我である』
「じゃあさ、その角に引っ掛かってるのは私のショーツ?」
『うむ!』
「いつの間に盗んだのかな?この下着泥棒!!」
『しっ…下着泥棒!?いや!違う!断じて違うぞ!?我はパンツなど盗んでおらん!』
「盗んでいないなら、何であなたが私のショーツを持ってるのよ?」
『うむ!あれは忘れもしない……ええと何日前だっけ?我は湖の底で眠っておったのだ。
すると湖面で何やら騒ぎがあってな。骨がバラバラと湖に落ちてきたと思うと、見る間に勝手に何処かへと泳いでいったのだ。そうしてその不思議な現象を見上げる我の元にこのパンツがゆらゆらと降りてきたという訳だ』
忘れもしないって、いつだったか忘れてんじゃん。
しかもそれってホネオルアーの開発日のアレだよね?
私のショーツを履いて湖に来たホネオをバラバラにして沈めた時の……
「それで、何でまた新しいショーツが欲しいのよ?今、それがあるから良いじゃない」
『うむ、実はの、このパンツが我の角に引っ掛かった時に天啓があったのだ。このパンツの持ち主のお供となるように、とな。それ以来大事に我の角の間で守りながら主に語りかけておったのだが、長時間水の中にあったせいかふやけてしまってな。おかげで見ての通り元の数倍に膨らみ鮮度も落ちてしまったのだ』
悲しそうに念話を送ってくる龍……うん、干せば戻らないかな?
ていうか、鮮度って何よ!?
ていうか、師匠の糸って長時間水に浸けとくと伸びるの!?新発見だわ!
『それでだな、我が主のお供となるその証として、改めて新鮮なお腰に着けたNewパンツを貰えぬかと思った訳だ』
何?その『お腰につけたきび団子』みたいなノリ!?
「私のお供になりたいから新しい私のショーツが欲しい!?訳分かんないから!
だいたいあなた龍よね?龍がゴブリンのお供になるってどうなのよ?」
『うむ!語りかけながらも気配は探らせて貰っていたが、主はただのゴブリンではないようだ。この数日間で桁違いに強くなっている。ましてやただのゴブリンに念話は通じぬわ。よって我が主についていくのに何の問題もない』
そうなんだ。何だか分からないけれど、私にも何となく予感がある。
《近い将来、この龍の力が必要になる》
ここはこの黒龍を手懐けておくのが得策か。
「で、新しいショーツがあれば良いのね?」
『出来れば今履いているパンツで頼む』
「いy…」
「ちょっと待ったぁぁあ!!!」
飛び込んできたのはホネオだ!!
「リリィ、この龍からの念話は俺にはまだ聞こえへん!せやけどリリィが話してる内容からおおよそ想像はつく!この龍はリリィのパンツを狙っているんで間違いないな?」
「うん。今履いてるパンツが欲しいって」
「な…なんだど!?リリィの生パンツだど!?
何てハードルの高い!!この俺ですら脱いで暫く経った洗濯パンツしか扱っていないのに、体温付きの脱ぎたてホカホカ生パンツだど!?」
「ホネオ!ホネオ!!興奮し過ぎだよ!『だと!?』が『だど!?』になってるから!!変な訛り出てるから!」
「興奮せずにいられる訳ないやん!
おい!そこの龍!!リリィの生パンツを賭けて勝負や!!」
『む?その骸骨はもしかして先日のバラバラ事件の当事者か?』
「ええそうよ。因みにあなたの角に引っ掛かったそのショーツ、直前まで履いていたのはその骸骨なんだけどね」
『なん……だと!?』
龍の双眼からハイライトが消えた。
『いや、しかし天啓は《直前まで履いていた者》ではなく《持ち主》のお供だった。ならばやはり我の主はこちらのゴブリンで良い筈』
放心状態で何やらブツブツ言ってる黒龍。
「で、骸骨のホネオが私の生パンツを賭けて勝負しろって言ってるけどどうする?
……
………
ん?
……
あれ?
……
ちょっと!!!?
何で結局私が自然とショーツを脱ぐ流れになってんのよ!?」
「うわ、リリィにバレてしもうたやん!」
「気付くの遅えよ!」
「と・に・か・く!!黒龍!あなたは1度小屋に帰って新しいショーツを持って来てあげるからそれで我慢しなさい!」
「おいリリィ、最初のハードルが高かったぶん麻痺してるみたいだけど、パンツをやる事自体が異常だからな」
「あ、そうか!危ない所だったわ!何て巧妙な罠なの」
「いや、罠でも巧妙でもねえし!」
「うるさい!蹴るよ!?」
「八つ当たりじゃねえか!?」
あわてて飛び退くスラマサだった。
結局黒龍には角のショーツを干して再度渡す事で無理矢理納得させ、私のお供になって貰った。
いいのかって?
あのショーツ、もう履くつもりがないからいいのよ!
そして黒龍からホネオにお近づきのしるしとしてプレゼントが渡された。
それは嘗てウォルが湖に捨てた《私がウォルに捨てさせた》ホネオの目玉1号だった。
「うぉぉ!!リリィ、見てみい!ついに俺の両目が揃ぅたで!?どや!?めっちゃカッコええやろ?」
あまりに煩いので、ホネオから目玉を奪い、また湖に捨ててやった!
今回も読んで頂きましてありがとうございました(^^)
パンツ1枚回収出来ました♪




