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15 師匠と修行?


 体術の師匠ササカーマはアラクネである。


 見た目はものすごい美少女だ。



 腰近くまであるストレートロングの銀髪に眉目秀麗な色白の顔、細く引き締まった躰はさほどボリュームがあるように見えないくせに、私が見ても鼻血が出そうな程の色気を醸す。


 特に目を引くのが、長い睫毛に縁取られ、左右で異なる輝きを放つ深紅と緑の美しく吸い込まれるように神秘的な瞳。


 男なら誰だって放っとかないよねコレ?な存在だ。



 なんだけど、色々と間違った存在でもある。




 そもそもアラクネは精霊種に近い女性の蜘蛛なんだそうだ。


 なのに……師匠は男の娘で…



 年齢聞いちゃダメってのは…まあ仕方がないのかな。


 割りと長生きしてるらしいけど…


 ♂の蜘蛛が女装したからといってどうしてそうなったか皆目不明なんだけど、何故か師匠はアラクネに進化してしまった。



 因みに一応蜘蛛らしく肉食系のバイらしいけど、相当な面食いとかでゴブリンは対象としては論外なんだって。



 私としては処女を守るにあたって良かったとも思えるのだが、女性だと思って師匠に近づき『ア~♪』されちゃうノン気の野郎共はたまったもんじゃないだろうね。



 そんな師匠に弟子入りして一週間、私がやってる修行といったら…



 どう考えても家事なんだよね?これが。



 朝の炊事洗濯はもちろんの事、床掃除に至っては円を書くように磨き上げ、さらに「ワックスかけるワックスとる♪」なんて掛け声をBGMにワックスがけまで行うものだから、もし前世のスカートや下着を履いてたらパンツの柄が床面に映るくらいピカピカだ。


 壁や垣根のペンキやニス塗りはやはり「アップ・ダウン、アップ・ダウン♪」

「レフト・ハンド、ライト・ハンド♪」

という掛け声に合わせて刷毛を動かしている。



 動きの指導をしてくれる師匠が時折私を「ダニエルさん」などと呼んでくるのがどうにも気になるんだけど…


 誰かと間違ってるのかな?それともボケが始まった?



 そんなちょっと失礼な事を考えて少しでも気を抜くと、後ろから愛のムチがとんでくる。


 ていうか本気で痛いんですよそれ、比喩じゃなくてガチのムチだし。


 師匠の体がガチムチじゃなくて良かったよ。




 昼食の準備~片付けを終えたらヨガみたいなゆっくりした動きの指導。


 これはたぶん体幹を整えてるのかなと思う、一日で唯一修行っぽい時間だ。



 その後、小屋に入ってお裁縫の時間。


 師匠の出した糸を針に通し、刺繍やら小物入れの袋なんかを編んでいく。


 因みに布地は師匠が自身の出した糸を使って、いとも簡単に作ってしまう。

 言っとくけど親父ギャグじゃないんだからね!


 あれだけ簡単に編めるのなら私に針仕事なんてさせなくてもいいんじゃないかって思う。



 お裁縫がすんだらお風呂に水を張る。


 水をいっぱいにするには湖からバケツみたいな入れ物に汲んで、小屋との往復が20回くらい必要だからとにかく面倒くさく、しんどい。


 ポンプやホースがあったら楽なんだろうけどねー。


 最初はふらふらするし水がこぼれて酷い目にあったけど、やっと無駄なく水を運べるようになってきた。


 因みにお湯にするには師匠の持つ魔石を使うのだが、まだ触らせて貰った事はない。


 

 夕方になれば洗濯物を取り込み綺麗に畳み、晩御飯の用意をする。



 スラマサは合間合間でおやつみたいに私達の排泄物を大喜びで食べてるくせに、三食きっちり食べている。


 ちっちゃいくせに大食漢の燃費が悪いスライムなのだ。



 みんなで晩御飯を食べて後片付けをしたら、師匠→私→スラマサの順にお風呂に入って就寝、私の一日が終わる。


 娯楽のない師匠ん家の夜は早いのだ♪



 ていうか、私やっぱり家事手伝いじゃね?

 

 いつになったら体術教えてくれるんだろ…



 だいたい、ご飯の用意してる時なんか私の事「婆や」なんて呼んでくるし。


 くそっ、どうせなら美少女の悪役令嬢にでも転生したかったわ。


 どうせ見た目お婆さんですよー、ふーんだ!!


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