13 騎士じゃないけど…
お小水やう○ちを相手に直接浴びせるなんて、どんな変態プレイだ!?
ゴブリンの私は成体になるのに(幼体から)変態したらしいけど、変態違いだよ!!
だいたい私の性癖は至ってノーマルだ!
まだ経験ないけど、ノーマルだったらノーマルだ!!!
初めてもまだなのに、いきなり変なのに目覚めてたまるか!
なので宣言してやる。
「直接なんて羞恥プレイは絶対にしないからね!」
本当に残念そうに渋々頷き、それでも私の大小の排泄物を吸収させて欲しいと頼むスライム。
なんとなく屈辱感はあるものの、スライムの性質上これには私もやはり渋々頷くしかなかった。
クッ! 殺せ!!
そんなフレーズも頭に浮かんだけどね…
はぁ……仕方ない………
「ところであなた体の表面から吸収するって言ってたけど、それって汚くないの?
なんかバイ菌いっぱい湧いてそうなんだけど?」
素朴な疑問を口にしてみたところ
「ハエの幼虫を知ってる?
所謂ウジ虫ってヤツなんだけど。
アレもね、腐った肉や排泄物に湧くんだけど、ウジ虫自身は驚くほど無菌で綺麗なんだって。
殺菌成分を自分で出してるらしいんだけど、実はスライムも似たような事をしてる。
意識しなくても常に体表を浄化しているから、腐肉や排泄物の中にいても俺自身は綺麗なもんよ。」
へぇ、そうなんだ。
ウジ虫の事なんて知りたくもなかったよ。
綺麗って言われても触ろうとは思わないけどね。
森を出てすぐ小道の側に小川があったので、そこで手を洗い昼食を取ることにした。
スライムにも水浴びをさせる。
そのまま流されてしまえとも思ったけど、器用に岸辺に取り付いて流されなかった。
チッ…
ペリニヨンから貰った何かの干し肉と干した果実を一つずつ袋から取り出し、包丁で食べやすい大きさに刻む。
保存食だし肉は塩気が多いのかなと思ったら、案外そのまま美味しく食べられた。
果実は香りが強くねっとりとした口当たりだけど、あまり甘くない。少しだけプルーンを干した物に似てるかな。
因みにスライムは干し肉を少し食べたが、ご褒美に比べたらエネルギー効率が悪く、能力アップはないそうだ。
干した肉も熟成されて蛋白質が分解されてそうなのに、何が違うんだろ?
よく分かんない。
干し肉で成長できたら恥ずかしい思いをしなくていいのに…
ついでに蹴飛ばされた後にどうやって戻って来れたのか聞いてみたところ、どうやら数秒前にいた場所に瞬間移動できる能力なんだって。
なんでも他のスライムを見つけてコミュニケーションを取ろうとしたけど、吸収されそうになって逃げ回っている時にそんな力がある事に気がついたんだとか。
しばらく隠れて他のスライムを観察したけど、そんな動きができるスライムは自分以外いないみたいだったらしい。
う~ん、ペリニヨン曰く私も普通のゴブリンじゃないみたいだし、転生して魔物になった人って特別な能力を持ってるのかな。
私が喋れる事に驚いてたし…
そういやこのスライムも喋れるな…
師範に見てもらったらスライムの能力も判るのかな…
…
……
Zzz
いかんいかん !
食事の後、柔らかな日射しと草原からの心地よい風にうとうとお昼寝したくなったけど、夕方までに師範の元に着きたかったし、すぐに出発する事にした。
それからも二人でなんだかんだと話したり休憩を挟みながら小道を歩くこと約二時間。
遮る物も無い中で…
私は再び恥辱に塗れる事となった。
せめてもの情けに後ろを向いて貰ってたけど、なんたる屈辱…
クッ…殺せ!!
毎回思うのかな、私。
爽やかな草原の風に吹かれながら私は思う。
穴があったら入りたい、いや寧ろ穴を掘ってせめて隠れて排便したい。
出す物出した後、小道まで戻り落ち込む私を尻目に、嬉々として吸収しに弾んで行くスライム。
泣きたい…
そっと包丁を取り出し、その刃に誓う。
イツカコロス…
どんよりした気分のまま足取りの遅くなった私だったが、その後は特に問題もなく、夕方にはペリニヨンの言った通り目的地の近くだという場所に辿り着いた。
小さな丘を登りきった目前に広がる美しい湖。
背後からの夕陽が水面を照らし、僅かな細波に反射する。
綺麗…
前世でもこんな綺麗な景色は記憶にないな…
嫌な気分が一気に晴れていく。
スライムと二人、しばらくその風景に見とれていたけど、暗くなる前に師範に会っておきたい。
後ろ髪を引かれながらその場を後にした。
髪はないけどね !