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12 ご褒美ってなに?


「なにやっとんじゃゴルァア!!」



 私の絶叫に飛び上がるスライム。



「いや、ちょっと待って。落ちついて!」



 落ちつける訳ないでしょ。



「どういうつもり?

それが何か分かってやってるのよね?

今すぐそこになおれ!!

スライムのスライスにしてくれる!!!」



 たぶん今、私の後ろには般若みたいなス○ンドがいて、厳つい字体でゴゴゴゴゴって効果音が並んでる筈だ。



「ちょっ!? 待って待って!

説明するからちょっと待ってってば!!」


「何よ。遺言なら早く言って!」


「落ちつけって。て遺言ってなんだよ…」


「は?言葉通りよ。解んない?

あなた馬鹿なの?死ぬの?」


「ごめんなさい!ごめんなさい!!

謝る! 謝るから頼むから刺さないで!」


「謝んなくていいから今ここで死ね!」


「ぎゃぁぁぁ! 殺す気か!?」


「殺す気よ!! 当前でしょ!?」



 サクサクッ! サクーッ!!




 そうして散々刺したにも関わらず何故か生きてるスライム。


 ホントしぶといなコイツ。

 物理攻撃耐性でも持ってンのかな?



「はぁ はぁ、ああ怖かった。

とりあえず俺の話しを聞いてくれってばよ。

アレがリリィの聖水だって事は解ってるし、解った上での行動だ。

それについてはリリィが怒るのも無理はないんだろうけど…

でもこれには深い訳があるんだよ。

あのね、怒らずに落ちついて聞いてね?」



 少しだけど頭も冷えてきた。

 ていうか、聖水ってなんだ?



「いいわ、言い訳があるなら聞いてあげる」





「あのね、これは俺がこっちの世界でスライムになって本能的に知った事と経験で学んだ事なんだけど…

スライムって基本的に何でも食べられるし、いくらでも食べられる。

食べるというより吸収すると言った方がいいかな。

口に見える場所で食べるだけじゃなくて、体の表面からも吸収していくんだよ。

でもね、何をどれだけ食べてもあんまり成長しないんだ。

スライムが成長する為に必要なものは限られていてね。

例えば腐った動物の死体のようにある程度蛋白質が分解された物、まあ平たく言えばアミノ酸だね。

それとアンモニアを含んだ物。

それがスライムを成長させてくれる物なんだよ」


「アミノ酸とアンモニア…」


「そう。アミノ酸とアンモニア。

だからね、大小係わらず生き物の排泄物ってのはスライム、つまりは俺にとって、とても大事な栄養素だしご馳走なんだ」



「そう。そういう訳だったの…」


「うん。そういう訳」


「じゃあ仕方ないわね…

とでも言うと思ったか!!」


「えぇ~!? 解ってくれたんじゃないの !?

あ~、お願いだから刺さないで~!!

ぎゃあぁぁあ~!!!」




 しぶといスライムをある程度刻んだところで許してやる事にした。


「今日のところはこの辺で勘弁してやる」


「あぁ酷い目に遭った。

前にも言ったけど、待遇の改善を要求するよ。

とりあえずさっきリリィの聖水を吸収したから、結構成長する事ができて良かったよ。

お陰で切り刻まれても死なずに済んだ」



 コイツが死ななかったのは私のオシッコのせいか、チクショウめ…



「ふん! 私のお陰だっていうならしっかり私の為に働きなさい」


 そう言うと嬉しそうにスライムは言うのだった。



「もちろん!

俺、強くなって必ずリリィの役に立つよ。

だから一つお願いしていい?」



 何だろ…

 何だか凄~く嫌な予感がする。



「何よ?」


「あのね、俺が役に立ったらご褒美に直接かけてもらっていいかな?

大でも小でもいいから」




 良い訳ないだろ!!!!





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