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家電量販店で 後編

随分時間が経ったな・・・・・・ いったい何をしていたのだろうか・・・・・・


「お待たせしました。えーとですねこちらの望遠レンズが103万でこのデジタルカメラが15万円・・・ 合計で118万円ですね・・・ どうしましょうか・・・・・・」


118万か思ってたより2万円ほど安いな・・・ いやこここからどのくらい値段を引いてくれるか、まけてくれるかだな・・・・・・ これは俺の腕いや家電アドバイザーのプラチナグレード持ち次第か。


「えーと118万ですか・・・ お高いですね。これがえーとどのくらい下がりますかね値段が」


さてどうでてくる、一気に100万ほど引いてくれるか・・・ それはないか、だが30万ほどならいけるか・・・ まずこの第一段階が重要だ、ここでどれだけ安くなるかが決まると言っても過言ではない。


「そうですね今ならポイントが・・・ 25万ポイントですかね、それにキャッシュバックキャンペーンが実施中ですのでポイントさらに2倍ですかねこちらの商品はキャッシュバックキャンペーン対象商品ですので。なので実質えーと68万円ですかね。お安くなっていると思いますよ」


まじかよ・・・ 一気に50万も安くなっちまった。キャッシュバックキャンペーンってすごいんだな・・・・・・ 俺今まで馬鹿にしてたよキャッシュバックキャンペーン。だが俺は聞き捨てならない言葉をこのプラチナグレードの店員から聞いてしまった。なんだよ実質って結局金はかかるってことじゃないかそれって。実質タダは俺の一番嫌いな言葉だ。タダと言う名を借りた悪魔だ。実質ということは結局金を払わなければならない・・・ 118万円という途方もない額をこの俺が118万円と言う額を全額・・・・・・ この家電アドバイザーとかいうプラチナグレード店員は減点だ


「すいません。実質と言うことはつまり・・・ そのーあまり値引きされていないってことですよね。もっと他にキャンペーンか何かはありませんか?こう・・・ 一気に値段が下がるような夢のようなキャンペーンは・・・・・・ 」


夢のようなキャンペーンなどあるわけもないがこれは初めに聞いておく、何かないのか裏技のようなキャンペーンはないのか・・・ 俺を実質という中身が空っぽな箱に入った空気を買うような俺に何かいい提案でも譲歩でもいい何かいいものを・・・ 頼む・・・・・・


「そうですねー ははは・・・ お客様が有名人であれば有名割引など使えるのかもしれませんね」


有名割引だと・・・ なんだそれは聞いたことのない割引だ。ひょっとして有名であれば割り引いてくれるのかこれよりも。俺は食レポサイトである程度の人は知っていて実績もある。実質俺は有名人なわけでこの有名人割引は俺も使える・・・・・・ 


「あっ すいません。 自分は食レポレビューサイトの食レポーしてまして・・・ 私も有名人割引ききますよね?」


何をもって有名人だと満たすのかは分からないが俺は有名人でありこの有名人割引は俺も使える。何も間違ったことは言っていないはずだ。


「えーとっ・・・ 食レポサイトですか・・・ 少々お待ちください。上と確認して食レポサイトのレビューしてる人でも有名人割引使えるか確認してみますので。」


また慌ただしく店内を行ったり来たりこのデジタルカメラ担当の家電アドバイザー、プラチナグレードの梅田は動こうとしている。


「上の者と確認する必要ありますか?だいたいこの有名人割引なんて何を前提に有名人として認定しているのかも定かではないおかしな割引上に聞く必要ありますかね・・・ 上の人間が集まってこんな割引あったら面白いんじゃないかって適当に会議して決めたような割引でしょこれ・・・ そんな割引にこの人対応してますかって聞くのおかしくないですか?」


会社の上に人間が面白がって作る決まり事や会社内での仕事のやり方など下の人間にはくだらないことばかりだ。

椅子をなくした方が仕事効率が上がるなど言って椅子を取り上げ下っ端を立ったまま働かすが上の人間は椅子に座ってくつろいでいる。一方的な仕事効率の上げ方だ。


「確かに私もそれは思ったことがあります。だいたい接客業やってるものなんて会社の下っ端末端社員だけですよ。面白半分に決めた割引を適応するのは私たちですからね。」


少しづつ動き出した疑問はほんの少しづつ俺の方向へとやってくる。俺はその疑問を俺の中でも疑問で相殺する。疑問文に疑問文で返すのは許される行為ではない。だが俺はこれをする。


「そうでしょ! 分かりますよ。その気持ち・・・ 申し遅れました私こう言った者です。」


そう言って名刺を取り出しデジタルカメラ担当の家電アドバイザー、プラチナグレードの末端社員梅田に渡す。


「えーと・・・ 食レポーの星2. 3のタカシ様ですね。 食レポサイトとはこのサイトのことでしたか。私も店に入る前には確認しますよこのサイトで。この前ラーメン屋行きましたよ。駅から少し遠かったのですが美味しいラーメン食べられましたよ。」


さすがは「美味の漢字は美味い味と書く。」の食レポサイトだ知らないやつはモグリだろう。こんなサイトで星2. 3も貰っているなら有名人割引確定だろこんなもん。食レポサイト割引もあってもいいくらいだ。


「そうでしたか。では私も食レポーも見ているかもしれませんね・・・ 「ラーメン屋 独自」とかね・・・・・・ まぁそれはいいとしていくらくらいその有名人割引ききますかね・・・ デジタルカメラ担当の家電アドバイザー、プラチナグレードの梅田さん」


俺はやるべきことはやった・・・ あとは有名人割引でいくら値引きされるかだ。この値引きで実質俺の有名人価格が分かるって話だ。いや、これで俺の有名人価格が分かってしまうと逆にお金をもらうことになってしまいそうだな。だが俺はお金をもらうことはできないそれをしてしまうとあの師匠と同じになってしまう。他にも欲しい家電があったしそれでももらうか・・・ よしそうしよう。


「あの「ラーメン屋 独自」のレビューした食レポーはあなただったんですか!いやーありがとうございます。おかげで彼女も大喜びでしたよ。このラーメン屋に着くまでずっと足が疲れたや遠すぎるなど文句言われてたんですけどね

ラーメン食べた瞬間満面の笑みになりましたよ」


また一歩俺の有名人価格の値が上がっていく音がする。俺の価値は青天井だ。


「すいません。話がそれてしまいました。えーとこの望遠レンズとデジタルカメラの値段ですけどね・・・ 118万円ですが・・・ ポイントが25万ポイントつきまして今ポイント2倍キャンペーン中ですので・・・ 実質68万円となって有名人割引が・・・ 10万ポイントほどで値段につきましては合計で58万円でいかがでしょうか?」


俺の有名人価格が実質10万円・・・・・・ まだまだだな・・・ 俺はまだまだ上に行ける。こんなところで100万円ですって言われたら驕れてたもんな。今は10万円でいい・・・ だが10万円では買えないこの望遠レンズとデジタルカメラが・・・・・・


「えーとそれは私の有名人価格が10万円と言うことですかね・・・ あのご存知ですよね・・・ 星2. 3の価値? あっ すいません。食レポーの人ではない家電量販店の店員さんにはわからないかもしれませんがねこの価値がね・・・・・・」


このデジタルカメラ担当の家電アドバイザー、プラチナグレードの梅田はまだ分かってなかったみたいだ。まぁ無理もない住んでいる世界が違うのだから価値観も人それぞれだ。それを押し付けてはだめだ。よくない。


「すいません。10万円ではなく10万ポイントですかね。有名人価格に本物の現金で値段を付けるのは問題になりますので当店ではポイントでの計算となっております。10万ポイントではやはり少なかったですかね・・・ なんせ私はまだこの有名割引を使ったことがないので・・・・・・」


だろうな。だろうな。 俺が10万ポイントなんて現金ではなく、この店でしか使えないポイントなわけがない。この店員は知らなかっただけなんだ・・・ そう、ただそれだけ。過ちだ誰にでもある。だが誰も正してくれていない。ただそれだけ。なら私がこの過ちを・・・ 間違いを正してあげればいいだけのこと・・・ ただそれだけ。


「そうでしたか。無理もありませんよ。人一人の人間に有名人価格を一端の家電量販店の店員が決めるなどおかしな制度です。無理もないですよ。私がもしあなたと同じ立場なら同じ過ちを犯していたと思いますもん。ただ私は10万ポイントなどと言う価値でははなりしれない・・・・・・ ただそういうことです・・・・・・」


分かってくれるだろ。これだけ言えば・・・ デジタルカメラ担当の家電アドバイザー、プラチナグレードの梅田さんよ。気づけよ・・・・・・


「やはり人一人のお客様に価値を付けるのは間違っていると思います。このやり方につきましては上に抗議します。この度はお客様に対して有名人割引など人間の価値を決める発言をして申し訳ございませんでした・・・・・・ 商品につきましてはお客様が有名人価格最大の100万ポイントとして対応させていただきます。」


深々と頭を下げ謝罪をする。間違ったことをしていれば頭を下げ謝る。ただそれだけのことをできる人間は少ない。間違いを認めてしまえば人間価値が下がってしまうと考えてしまうのだ。だが、このデジタルカメラ担当の家電アドバイザー、プラチナグレードの梅田は違う。そこら辺の家電量販店の店員とは違う。俺は知っている。


「頭を上げてください。あなたは何も悪くない・・・ 上の人間が悪いのです。ただ私の有名人価格を10万ポイントとされたことにつきましては少し残念です。ですが100万ポイントと言うのであればこの件につきましてはもう終わりにしましょう・・・ 悪いのは上の者だけなのですから」


こうして俺は103万円の望遠レンズと15万円のデジタルカメラ手に入れ、32万ポイントを受け取ることになった。不本意ではあるが結果としてこのようなことになってしまったことを私は残念に思う。人間の価値を決めるようなことをした結果がこのような事態を生んでしまった。悲しい出来事だ。


家電量販店を出た時、出入り口でデジタルカメラ担当の家電アドバイザー、プラチナグレードの梅田が深々と頭を下げ、俺は望遠レンズとデジタルカメラの入ったリュックサックを背負い、片手には85インチの4k液晶テレビを持っていた。時間は昼をとっくに過ぎ時計は13時半を回っていた。


「このままかつ丼を食べに行くのは無理だな・・・ 一度家に帰るか。歩いて帰るのは・・・ 電車を使うか・・・・・・」



空腹感を感じながら俺は家に一度帰ることにした。家に着いた時にはおやつタイムの時間が近づいていた。

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