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2 王国から感謝された

 オムライスはマジで美味くてあっという間に完食した。


「竜神様、ありがとうございます! ごちそうさまでした!」


「それはよかったわ。二人だけなら数日は食いつないでいけそうね」


 その言葉にどこか不穏なものを感じた。


「食いつなぐってどういうことですか……?」


「だって、このお寺に一年分の兵糧があるわけじゃないでしょ。そのうち、尽きるから調達しないといけないわよ」


 ほんとだ……。


 どこかで寺の外に出ないといけない……。

 その途端、生命の危機に陥らなければいいが……。


「心配しなくても、私の力ならすぐにやられることはないし、食材調達ぐらいならできるわ」


「なるほど。なんか、何から何までやってもらってすいません……」


 お礼というわけではないが、あとで掃除でもしておこう。

 そもそも神様に掃除させるわけにもいかんしな。


 ――と、外からなにやら声がする。


「おーい、誰か! 誰かいらっしゃらないのか?」


「おっと、呼ばれてますね」


 俺と竜神様は門のほうに出ていった。


 すると、いかにも中世ヨーロッパの騎士ですといった軍団が並んでいる。


 その前に立っているのはネコ耳の女騎士さんだった。


 栗色の髪にネコ耳がヴェリーキューーーーーート!


「栗色の髪にネコ耳がヴェリーキューーーーーート!」


「な、何を言ってるのだ、あなたは……」


 また、思ってることを口で言ってしまった。

 昔からこれで失敗してきたんだよなあ……。


 まあ、いいや。そんなことはどうでもいい。


「あの、どちら様でしょうか……?」


 今度は人間が討伐に来たとかだと困る。

 何が困るかというと、大日如来の仏像が敵とみなすのは悪魔系の連中だけという可能性があるからだ。


 それだと人間に敵と認識された時点で終わってしまう。


「我々はジギリス王国の騎士団だ。魔族方のエルザークと一戦交える予定だったのだが、連中が突如として逃げていった」


「エルザークって、ああ、俺(の寺の仏像)に消された奴か」


「やはり、あなた方の功績か!」


 ネコ耳騎士様が目を輝かせた。


「王国の城壁近くまで迫っていた連中が、エルザークが倒れたといって撤収していったのだ。そんなことが起こるとしたら、この謎の建物でしかないからな! よくぞやってくれた!」


 ネコ耳騎士様に手を握られてぶんぶんと振られた。


 人生ではじめてリアルネコ耳の人とふれあいました!


「ああ、申し遅れた、私の名は近衛騎士のライカだ。このたびはあなた方の加勢、心より感謝する」


 手を離して、お礼を言われた。

 本音を言うと、もっと手を触っていたかった。


「ど、どういたしまして……」


 別に俺自体の功績ではないのであまり偉そうな顔もしづらい。


「ところで魔族の中でも部隊長クラスを倒すとなると、とてつもない剣の技量をお持ちなのかな。あるいは魔法のたぐいが使えるのか」


 あっ、なんか尊敬のまなざしが痛い……。

 尊敬される要素、ないです……。


「もし、偉大な剣士であられるならぜひともお手合わせを願いたいのだが」


「無理です! 剣を持ったこともないんで!」


 これはちょっと対応策を考えたほうがいいな。


「すいません、シンキングタイムですので、お待ちを」


 俺は竜神さまを引っ張って、ちょっと後ろに下がった。


「あの、これ、本当のこと、全部言っていいんですかね……?」


「本音を言うと、あまりすべて話すべきじゃないと思うわ。大日如来様が盗まれたりしても困るし」


「ですよね……。危うい要素多いですね……」


 ぽんと竜神様は俺の肩に右手を置いた。


「――ということで、今から圭一は大魔法使いということにするからそこんところよろしく」


「えええ! それ、ばれませんか?」


「少なくともばれるまでは隠すわ。私が口裏合わせるから任しときなさい」


 こうなったら信用するしかない。


 俺たちはライカのもとに戻る。


「待たせたわね。この圭一は私が知る限り最高の魔法使いなの!」


「おお、やはり!」


 うわ、もう感動して泣きそうだぞ、ライカさん!


 罪悪感がうなぎのぼりだよ!


「そして、私、リューナは魔法剣士よ」


 えっ、神様、リューナって名前にしたの?


 事前に言っておいてよ!


「ここに幸福寺がある限り、魔族は入って来られないと思うわ」


「そうか! ありがたい! 本当に感謝する!」


 リューナ(仮名)とも握手するライカさん。

 もう、どうとでもなれ!


「お二人の協力には王国からもお礼を行いたい。少しお待ちいただきたい」



 その後、大量の野菜や肉など食料が荷馬車に満載されて送られてきた。


「これ、買い物に行く必要なくなったわね」


「そうですね」


 ちょっと、王国に期待させすぎてるのが気になるけど。


 その日の夜は野菜たっぷりポタージュスープとラム肉のステーキが出ました。


「これもおいしそうですね!」


「そ、そうでしょ。よかったら……私へのご褒美に……頭撫でてもいいんだけど……?」


 やっぱり、この人、撫でられるの好きなんだな。


 もちろん、角と角の間をなでなでさせてもらいました。

次回は夜1時前ぐらいに更新できればと思います!

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