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プロローグ

新連載開始しました。

よろしくお願いします!

「あれ、ニワトリが鳴かないな……」


 俺の家は地方にある寺院だ。

 なので、本当に朝は近所で飼われているニワトリの声で起きるのが日課になっていた。


 それがないので、少し寝坊してしまった。

 まあ、ニワトリだって鳴かない日もあるか。


 住職の親が起こしてくれてもいいのにと思ったけど、よく考えたら、遠方の大きな法事で泊りがけで両親ともに出ていってるのだった。


 ちなみに俺はフリーターである。


 大学出て卒業して就職した会社がまさにブラックで半年で倒れて入院した。


 住職の親にもこのままだと心も体も死ぬから辞めろと言われて、素直に従った。


 そのあと、定職にもつかずにダラダラ2年が過ぎた。


 親父がとくに厳しく言ってこないのは、多分実家の寺を継がせる意図があるからだろうな。


 こっちとしては、地方の寺に未来なんてなさそうだし、あまり継ぎたくはないのだが、はっきりと宣言すると、就職しろと言われるので、あまり話題に出さないようにしている。


 家族間でも、こういう政治的?駆け引きというものはあるのだ。


 さて、庭に出て太陽でも望むとするか。


 健康のためにも日光を浴びるのは大事なのだ。


 こぶりな太陽が二つ出ていた。


「うん、今日も何の変哲もない――ってことねえよ!」


 なんで太陽が二つあるのか。


 いや、それだけじゃない。


 ドラゴン的なものが空を飛んでいる。


 寺ごと転生したらしい。


「おい! なんだ、この建物は!」


 その時、門のほうから声が聞こえた。


 なお、仁王像がドドーンと構えているけっこう立派な仁王門だ。

 300年ほど前のもので県の文化財に指定されている。


 どうでもいいな。実家のことを自慢している場合じゃない。


 門から入ってきたのは、いかにも悪魔ですといった感じの尻尾も翼も角も生えている連中だった。


「我は魔王軍第6部隊長のエルザークである。おい、これは何だ?」


 悪魔が聞いてきた。


 むしろ俺が聞きたい。


「今から盆地の小国に地上部隊ともども攻め寄せるつもりだったのに、その進路上にわけのわからん建物ができた。人間側の砦かと思ったら、防衛している者もいない。これは何だ?」


幸福寺こうふくじです。ちなみに真言宗です」


「わけのわからんことを言うな! とにかく目障りだから、血祭りにあげてやる!」


 ひどい! まるで悪魔みたいな奴だ。

 いや、実際そうなのか!


 殺されたくないので俺は後ろへ逃げる。

 でも、隠れられる場所なんてないし、多分背中ぐらい見えてる……。


 本尊の仏像がいる部屋に行くのが精一杯だった。


 なお、大日如来という太陽とか宇宙を神格化した仏だ。


 本尊があるのが一番奥だったので、とりあえずそのそばまで逃げた。


 それが限界だ。


「さあ、小僧、ぶっ殺してやるぞ。なんだ、これ……見慣れぬ神像だな……」


 そりゃ、仏教なんてもの、この世界になさそうだもんな……。


「助けてくれ!」


 俺は思わず叫んだ。


 すると――


 仏像の目からビームのような白い線が放出されて――


 悪魔のボスみたいな奴に当たった。


「ぐっ……な、なんて威力……」


 それだけ言い残して悪魔は消え去った。


 さらに一緒に入ってきた手下みたいな奴にも次々にビームが飛ぶ。


「ぐはっ!」

「ぶふっ!」


 全部一撃で倒していった。


「ヤバい! エルザーク様がやられた!」

「いったん、逃げろ!」

「勝てるわけがない!」


 それを見ていたほかのザコっぽい悪魔たちも逃げていった。


「助かった、らしいな……」


 ほっとひと息つく。


「しかし、仏像にこんな力があったんだな」


「そうよ、この世界は魔法が実在する空間だもの。仏様の像も本来の力が発揮できるの」


 そこに見慣れない女の子が入ってきた。


 かわいい二本の角と、変なウロコのついた尻尾が生えている。


 あと、服は巫女服っぽい。


 誰だ……?

次回は2時間後ぐらいにアップ予定です。

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