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男の娘は言った。「ボクの目標は日本地図を作ることなんです!!」──ナンバープレートどこ行った?

 さて、続いては翔太先輩の自己紹介。いや、普通副部長の霞月先輩が妥当じゃないかと思ったんだけど、当の本人が「俺は最後でいいよ」とのお言葉。

 翔太先輩は霞月先輩の凍える空気という精神ダメージを克服し、元気よく語り始めた。

「ボクは二宮 翔太。見てのとおり二年生だよっ」

 はい。ブレザーについた校章バッジは確かに二年生カラー(緑)ですね。でも貴方、一年生の僕より頭一つ分小さく、童顔とも言える美少女姿で見てのとおりは無理があるなぁ、と思います。

 ってツッコミ入れたら話が進まないのでぐっと堪える。

「ボクはね、音無部長の近所に住んでるんだ。それで、小さい頃から色んなナンバープレートを見せてもらってその魅力を教えてもらってボクもナンバープレートが大好きになったの!」

 先輩、それ以上小さい時期があったんですか。あったんですね。

 まあ背丈の問題は結構デリケートなのでさておき、へぇ、つまり翔太先輩は音無部長の幼なじみなんですね。で、翔太先輩のナンプレオタクは音無部長のせんの──もとい、影響を受けて生まれたものだと。

「でも、ボクはナンバーコレクトとは違う目的があるんだよね」

 お、それは興味深い。

 音無部長がお披露目してくれたナンバープレートの写真の数々(なんと番号順に並べてあるという徹底ぶり)に異常性を感じ、疲れていた僕としては、路線の違う話というのは興味をそそるものだった。


 が。


「ボクはね、日本地図を作りたいんだ!」

 ……………

 僕は霞月先輩を見た。

「先輩、ここってナンプレ部でしたよね?」

「うん、名前は合ってるよ」

 入室時と同じ回答が返ってきた。

「たとえ正式名称がナンバープレート部だとしても、ここはナンプレ部ですよね?」

「うん、そうだね。学校のホームページにもそう書いてある」

「ナンバープレートって、数字の書かれた車についているあれですよね?」

「うん、一般常識だね。間違いないよ」

 僕は確認を終え、くるりと翔太先輩に向き直る。

「どうして地図になるんだぁぁぁっ!?」


 叫ぶ僕を霞月先輩がどうどうと宥める。僕は馬じゃないけれど、そういえばここは図書室でした。ごめんなさい。

「センパイ、センパイがナンバー派なのはわかるんですけどね。ボクはご当地ナンバー派ってやつなんです」

 ご当地ナンバー? ……ああ、わかった。

「名古屋とか、北海道とか、四桁のナンバーの上についているあれね」

「さすがセンパイ! よくご存知で」

 目のきらきらを増して尊敬の眼差しで僕を見る翔太先輩。

 いや、一般常識だからね? 褒められるほどのことじゃない。

「……それで、ご当地ナンバーを集めて日本地図を作りたい、と」

「はい! だからボクは東京の大学に進学して、ご当地ナンバーコレクトするんです」

「ナントモスバラシイモクヒョウデスネー」

 もう、棒読みである。

 ちなみに翔太先輩は翔太先輩でご当地ナンバーコレクトのアルバムがあるらしいが、あまり市外に出る機会がなかったらしく、音無部長のそれほどではない。

 いや、音無部長よりナンバープレートにディープな人いたら引くわ。

「宮城、秋田、山形、会津、青森、福島、仙台……」

「東北ばかりだな」

 音無部長のツッコミが入るが仕方ない。ここは東北なのだから。

「部長のだって、宮城か仙台ばかりじゃないですか」

「うっ」

 先刻確認済だ。苦い顔をする部長に一矢報いた! と心の中でガッツポーズするが、いやこの程度で一矢報いたって、なんか虚しい。

というか。

「近頃は……数年前の震災があってから、結構色んなところの車走ってますよ? 八戸ナンバーとか、福岡ナンバーとか。僕は最近姫路ナンバー見ましたね」

 主にダンプカーで。復興支援に来ている方々だろう。感謝しなくては。

「何っ!?」

「音無部長の先を行くとはさすがセンパイ!!」

 ──僕が真面目なことを考え出したのに対し、ナンプレオタ二人はこのとおりである。こら、少しは真面目に感謝しろ。

「そういえば確かに、色んなの見るたび、感じるものがあるよね。僕も福岡ナンバー見たときはそんな遠くから来てくれているんだって感動したよ」

 ほら、皆さん! 模範のような霞月先輩の解答を見習いなさい!

 そんな意味を込め、オタ二人に鋭い視線を送ると。

「そ、蒼真までっ!」

「霞月先輩もすごい……」

 僕の視線は完全スルーで霞月先輩に畏敬の眼差しを向けていましたとさ。


 僕、今日スルーされやすいな。



「っていうか、正月とかお盆とかだと、結構色んなご当地ナンバーいるよ?」

「「あっ……」」




設定紹介


宮城県の高校という設定ですが、実在のものとは一切関係ありません。

学年別の校章バッジは下記のとおり、色分けされております。

一年生→青

二年生→緑

三年生→黄色

深い意味はありません。

春校は男女ともにブレザーです。

ちなみに夏校は男子ブレザー、女子セーラーです。

夏校って? と思ったそこのあなた。一話のプロローグから読み直すように。


ナンバープレートの素晴らしさを語る会

今回は男の娘翔太くん大好きご当地ナンバーについて。

実は作者もあまり市外に出たことがないのでわかりませんが、色々とご当地ナンバーなるものがあります。

町内をなにわナンバーの車が走っていたときはびっくりしました。

なにわナンバーは"浪花"とか漢字じゃないので最初"はにわ"って読んじゃいました。ごめんなさい。

本当に近頃は色んなところのご当地ナンバーを目にします。福岡ナンバーのダンプカーを見たときは本当に驚きました。(これは実話です)

宮城、八戸、福岡などのように漢字で書かれているのもあればなにわやいわきのように平仮名のものもあります。

規則性とかあるんでしょうか。ムムム

検証の余地ありです。



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