活動内容
「ところで、結局ナンプレ部ってどういう活動してるんですか?」
学がいたって普通の問いを投げかける。まあ、当然の質問だろう。学には僕から話した断片的な情報と、ナンプレ部メンバーの色の濃さくらいしか伝わっていない。それでもナンバープレートについてなんだろうな、と半ば理解し、通常の対応ができる学のコミュ力はやはり僕より遥かに上だ。
玄関前のやりとりがあったせいか、学も会話に交わることに部員たちはなんの違和感も感じていないらしい。
もはや昨日の僕と同等……他校の生徒であるにも関わらず、半分部員として自然に扱っているというか、馴染んでいるようだ。驚くべきほどの学のコミュ力に僕は驚嘆と一抹の不安を感じる。
やめてくれよ。沼に引きずり込むのは。学とは普通の友達でいたいから。
けれど僕のそんな心配をよそに音無部長が滔々と語り始める。
「部の大まかな活動方針としては、部員一人一人の意思を尊重しつつ、ナンバーコレクトに努めていくというものがある」
おお、案外まともに聞こえる。"ナンバーコレクト"という単語に目を瞑れば、だが。
「大抵が自分が見つけた珍しいナンバーの紹介やナンバーコレクトの進み度合いを発表するといった感じのものだ」
……どうしよう。僕もうこれが普通に聞こえるよ。学助けて。
「ナンバーコレクト、ですか……」
や、学よ。助けてってそういう意味じゃない。というかそこ掘るの? スコップシチャウンデスカ?
「いや、あまり不安そうな顔をしないで純也。純粋に面白そうな考え方するなって思ったのと……」
おおっ、学の心はピュアホワイツッ! 一点の曇りも……
「……のと?」
珍しく言葉を濁らす学に、なんとも言えない予感を覚える。そう、当たったらきっと碌な思いはしないタイプの予感だ。なんでわかるかって? ……経験則だよ。もういや。
呪わしいことにその経験則はどんぴしゃに当たってしまう。
「いや……最近どっかで聞いたなぁ、と」
この学の言葉には、何故か僕以外の部員の皆さんも凍りついていた。
純也くんと学くんの関係をびーえるとか思ったやつ、廊下に立っていなさい。
あ、そういえば今は「廊下に立っていなさい」という言葉も「授業を受ける権利を剥奪する体罰」として認められない世の中になってしまったんでしたっけ。
時代は変わっていきますねぇ。時に恐ろしく感じるほどに。
(ナンプレ関係なくね?)