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魔法がなくても出来ること

一華の自転車(ラファール号)は原チャリである。

エンジンがついていて速く進む。ちょっと熱いのは我慢。

「何でですかっ!」

「仕方ねぇだろ!忘れたもんは!帰るまで待とうぜ」

「有り得ません!」

 俺―一華が何故ナホにここまで怒られているのか。それは携帯端末を自宅に忘れてきたからだ。

「殿方と付き合ったことのない女性がID教えてと言うのにどれほどの勇気がいると思っているのですか!」

「俺だって好きで忘れたわけじゃない。少しでも軽くしようとしたんだ」

 今俺とナホはドルルとフローランスの国境辺りにいる。自転車を二人乗り仕様にしてナホを後ろに乗っけている。密着してわかるが胸が大きい。少し大人びた顔つきからしても否流我のどストライクだなと今更思う。

「それに所持金少なすぎです。旅ナメてるんですか?」

「それに関しては誠に申し訳ない」

 自転車の改造料金はナホが出してくれた。少しでも安くするため俺がやるハメになるし散々だった。

「あ、川ですよ!」

「この橋越えたらフローランスだ……」

「ファイトです!」

「おう!」


「何であんた馬車なんか使ってるのよ」

 俺―否流我は文句を言われていた。おかしい。女性は皆馬車に憧れてると思ってた。

「時代遅れか?」

「そうじゃなくて……。わざわざ馬車?少し恥ずかしいんだけど」

「フローランスまで歩くか?」

「何年かかるのよ!」

「数十日だな」

「……馬車、嬉しいけど……」

 それでいいんだ。そういえば一華は自転車だったな。アホだ。

「べ、別にアンタの為なんだからねっ///」

「意味がわからないしキモいわ……」



 その3日後。

「「あ」」

 二人は学校前でバッタリ―とは行かなかった。二人の間にエリナ先生が。

「一華君!端末全く繋がらなかったんだけど!」

「あー……」

「ほら。全世界の女性は携帯端末持ってない男性は有り得ないと思ってるんですよ」

「ヒルガ、あれは?」

「あれは俺の友達だ」

「ん?否流我か!」

「気付くよ遅ぇよ。おお!べっぴんさん連れてんじゃねぇか!」

「そういうお前は……!ょぅι”ょか!」

「ローズ・アマリリス・バルサよ。よろしく。ローズかリリスと呼んで頂戴」

「ナホ・サーシスです。ナホって呼んで頂けると嬉しいです!」

「グハッ!」

「ヒルガ!?」

「否流我にクリティカルヒットだな」

「……置いてかないでください( º言º)」

「せ、先生……」

 その後、だいぶ怒られた。


「さて否流我」「ところで一華」

「「俺とパーティ組まないか?」」

「見事なハモリ……」

 ハイタッチをする。これでパーティは4人。条件クリアだ。

 ここは俺の部屋。でもって今から俺達の拠点。

「メンバー書いちゃうから名前言ってって」

「否流我」

「ローズ」

「ナホ」

「そして一華、と。おっけ!これで2学期暇人だぜ!」

「パーティ作ったら特別クエスト受けるんじゃなかったか?」

「(((゜Д゜;)))」

「優等生とはいえそれは無いとは思わないのですか?」

「い、いや……ねぇ?ローズちゃん」

「あたしに振らないでよ。学校なんて行ってないし」

「んまっ!」

「あと、ローズはいいけど[ちゃん]はいらないわ」

「それは譲れないな」

「譲ってくれてもいいじゃない!」


「今日は泊まろうじゃないか」

「どこに?」

「俺の家」

 メンバー表をエリナ先生に提出した。俺達が1番遅かったらしい。皆近辺で済ませたとか。あと、携帯みたら100件くらいメールと電話があった。おなご、恐るべし。

 その帰りの会話である。

「親睦会的な」

「いいと思うわ。あたしもナホと話してみたいし」

「そうですね。話には出てきた一華さんの相方も気になります」

「そうなのよ。あたしはイチカって人がロリコンとしか聞いてないのよ」

「正しいと思いますよ」

「待って!否流我も何言ったの?」

「済まない。我が身が可愛かったのだ」

「くっ……」


 と、いうわけで午後8時ぐらいからパーティーだった。ナホも飯作るの上手かったがローズちゃんは次元が違った。

 夜になり寝ることに。ここで思春期女の子のナホの提案により俺とローズちゃん、否流我とナホで一緒の部屋になった。

「…………」

(何だ、何を警戒してる……? )

「ん〜……」ジッ

(( ゜∀゜)o彡°幼女!幼女!)

「帰るわ」

「お前俺の心が読めるのかっ!?」

「冗談よ。ねぇ、さっきナホと話したのだけど、あの子、何があったの?」

「要約すると友達を虐めから助けようとしたら全校生徒が死んじゃったんだ。ナホ以外ね。」

「壮大な何かがあったのね」

「そういうローズちゃんはどうして否流我と組んだの?」

「婚約を破棄してもらったのよ。とある国の王様とのね」

「政略結婚ってこと?つまりローズちゃんはお姫様なの?」

「まぁ、ね。血の上ではそうよ」

「へぇ……否流我はいつ知り合ったの?」

「子供の頃ね。今から13年くらい前じゃないかしら」

「否流我がフローランスに行ってからすぐか……」

「行く?」

「知らない?あいつジペン人だよ」

「………知らなかった」

「これから仲間だからな多分知っておいて欲しいとあいつも思ってる」

「何があったの?」


「否流我さんは過去に何があったんですか?」

「唐突だな。どうした?」

「いえ……一華さんの目と似てたので何があったのかな、と」

「一華の過去を聞いたのか?」

「教えてくれませんでした」

「だろうな。まぁ俺の話だったな。んー……」


「否流我は本当の親を知らないんだ。ジペンに今の親が来た時―確か[空切り]って言う刀の納品だったかな―、拾われたんだよね。あいつの右眼が義眼なのはその時にカラスとかに襲われた。って聞いてる」


「……」

「重かったよな、話。悪いな」

「いや、いいのよ。じゃあイチカは何があったの?」

 そう来るか。まぁそうだよな。否流我だけ話して俺の話さないってのも変だな。あんま話したくないけど、仕方ない。

「えーとな―」


「……だいたいこんなかな」

「……すみません。何か、無理矢理聞いちゃって」

「仲間なら知らなきゃいけない事だと思うよ」

「じゃあ、一華さんの過去を教えて下さいませんか?」

「そうなるよな〜。ん〜とな……」


「俺、昔―小2ぐらいからもう親がいなかったんだ。で、隣のすげぇ仲良かった家が引き取ってくれたんだよ。そこの娘さんが俺と同い年で。

 名前は雪希(ゆき)っていった。あまり活発ではなかったな。静か目の女の子だった。でも俺と雪希はすげぇ仲良かったんだ。はっきり言って好きだった。雪希も可愛い方だったからモテたしな。

 雪希は頭が滅茶苦茶よかった。小4で小6ぐらいの問題まで解けたんだ。それが気に食わなかったんだろう。クラスの女リーダーに虐められ始めた。家に帰ると凄い辛そうな顔して雪希が座ってた。問い詰めたら仲間外れにされることが多くなった、って。すぐに俺は先生に言った。けど、相手にしてもらえなかった。小4じゃ虐めなんてないと思ってたらしい。親もそこまで酷くないと思ってたらしい。それはずっと続いた。どんどん雪希のものは無くなっていく。アザが増え始める。先輩やリーダーの息のかかった後輩、ついには全校から虐めを受けた。

 さすがに親が動いた。でも向こうの親の方々は否定した。うちの子は虐めなんてしない、って。親が争ってる間に雪希は追い詰められる。

 でも彼女は前向きだったんだ。俺に『仲直りして見せるから』って言った。俺はそれを支えようと思ったんだ。色んなプレゼントして喜ばせたりとか、愚痴聞いたりとか。

 で、ある日、エスカレートしたそれが頂点に達した。家が放火されたんだ。俺はその時、漫画を買いに行ってた。雪希が好きな漫画の発売日だった。家には雪希しかいなかった。

 雪希の焼死体は手足が縛られてる状態だったそうだ。クラスの奴の話は『手足を縛って暴力を振るっていたら焦げ臭くなってきた』『家を燃やしたら嫌がると思った』だった。裁判した。こっちの要求は全部通った。何億もの金をもらった。それでも俺は許せなかった。両親には土下座して俺を捨ててもらい引っ越してもらった。

 今更だけど雪希の魔法は時間魔法で『時間を48時間まで戻す。記憶は自分のみ引き継がれる』っていうのだった。なのにあいつは使わなかった。最後に、折れたんだと思う。

 1人になった俺は学校を壊してやろうと思ったんだ。

 それは激しく暴れた。校舎が吹っ飛んでいた。死体は全部ミイラにしてやった。俺は死体が蒸発すると聞いていたから、残念だったんだ。

 次に目が覚めたのは燃えた家の中だった。街に出て日にちを確認すると1週間経ってた。1週間寝てたんだ。ランク6の怖さを知った。テレビでは学校消滅のニュースが流れてた。でも、犯人は不明と。重要参考人として俺の名前が出てた。

 で、警察に行って何も知らないと言い続けた。その中には嘘をついているか分かるという魔法を使うやつがいた。でも俺は俺には嘘をついてない。だから引っかからなかった。

 数年後の中学の時、俺の燃えた家に訪問者が来た。そいつは意味が解らなかった。急に一発芸やり出したり踊り出したり。そいつは毎日来た。新聞持ってきたりエロ本持ってきたり。フィギュア持ってきたり。鬱陶しいから『何なの?』って聞いた。したら『元気出せ』って返してきた。イラッと来たからぶん殴った。そいつは立ち上がって来るなり蹴ってきたがその足をとってぶん投げた。帰ってって言った。もう来ないでって言った。でもそいつは毎日来た。

 ある日『俺だって辛かった!何も出来ないで襲われたことがあるか!?』と言ってきた。『何があったか知らないけど、俺は楽しくいきてる!』と。とりあえず泣き顔でなんか喚いていた。でも嬉しかった。何百人も殺してしまった俺に、話しかけてくる奴がいることが。そいつの名前を聞いた。『否流我』変な名前だなって言った。

 1ヶ月後ぐらいに『フローランスに一緒に行こう』って言われた。で、否流我と友達になって、俺も頭良くなって今に至る。」


「……まだユキのこと好きなの?」

「恋愛感情は無いかな。でも今でも申し訳ない気持ちでいっぱいだ。その証としてこの服を着てるんだ」

「パーカー?」

「家の中から出てきた数少ない遺留品。その中で俺は服をもらったんだ。」

「ヒルガ……」

「あいつがすげぇのはジペンにいる間1回も魔法を使わなかったんだ。俺は人を慰めるのに魔法を使っちゃうと思うけど、否流我はただの人として俺と向き合ってくれた」


「そんな、ことに……」

「その涙を一華にみせてあげたいよ」

今回は過去を書かせて頂きました。

これから彼らを渦中に物語が進行していきます!

次回からも楽しんでください!

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