魔法で出来ること
魔法ランクが高いと魔力消費が激しくなるが強い。
ランク3の水魔法とランク3の火魔法が当たると水が勝つ。しかしランク3の水魔法とランク4の火魔法は火魔法が勝つ。
「the廃墟だな」
「そうね。先の大戦の爪痕を残しておこうと言いたかったそうよ」
俺とリリスは決戦の舞台になるはずの場所、東の廃墟に来ていた。下見と、トラップを仕掛けに。
「リリスの魔法ってなんだっけ?」
「熱気と纏うのと冷気を纏うのよ」
「ああ、姿を消せるってやつか。じゃあ一緒に来れるな」
「もとより行く気マンマンよ」
ここは南が海に面している。大戦前はさぞかし賑わっただろう。
「帰るか」
一通り見たしトラップを仕掛けた。
「ええ」
「ね、ねえヒルガ」
「何だ?」
「き、今日宿はどうするのよ」
それで全てを察した。こいつ、寂しいのか。
「宿屋かなー」
「そう……」
あれ?引き下がっちゃった。推しの強いリリスならグイグイくると思ったんだけどな。意外と奥手なのか。可愛いな。
「でも空いてるかわかんねぇんだよな」
「ほんとっ!?」
「!?」
びっくりした〜。
「じゃあ家にこない?」
「お、助かるぜ」
「あたしね、料理には自信あるのよ」
「じゃお手並み拝見かな」
「はい、どうぞ」
熱々のシチューが出てきた。ご丁寧にチーズが乗っかってる。
「…………」
「どうしたのよ」
「俺が知ってるリリスは絵本を一気に2ページめくる不器用な奴だったんだけど」
「そんな昔のことはどうでもいいじゃない!」
「美味しそうだ……」
「そ、そう……///」
「…………」
「…………」
「いただきます」
「いただきます」
さっきの無言の間は何だったのだろう。そういえばリリスはジペンに来た事ないのにいただきますと言う。昔に1回教えただけなんだけどな。
「ごちそうさまでした」
「ごちそうさまでした」
「いや、あのね。すげぇ美味かった。俺は真っ黒な肉とか食わされると覚悟してた」
「あ、あり…がと……///」
「…………」
「…………」
この空気の原因はリリスの照れだ。断定した。こいつ、褒められるといい反応するな。
「そ、そういえば」
「ん?」
「お風呂、どうするの?」
「あー風呂か……一緒に入るか?」
「消えろ!変態!」
「昔は一緒に入ったこともあったろう!」
「何年前の話よ!」
「12年くらいか。まだ覚えてるぜ。リリスの―」
「それ以上言ったら存在を消してあげるわ」
「わかったわかった。じゃ先入っていいか?」
「ええ」
「しかし、こんなボロっちいアジトに風呂があるとは」
温まる〜。さて、今だいたい8時半。かといって相手の戦力が分からないので戦略が立てられない。
「一華なら別なんだろうな」
一華の強さは天才的な槍さばきと体術の強さ、そして戦況判断の速さと的確さだ。さらにあの魔法と武器で遠距離にも対応するのだ。まさに鬼神だと思った。
「今は俺の事だ」
さあ、どう戦おうか―。
リリスも風呂に入り、午後9時半。ここでミスに気付く。
「風呂意味ねぇじゃん!」
廃墟に向かって歩く。俺は携帯端末に目を落としていた。
「何やってるの?」
リリスに聞かれてこう答えた。
「つぶやいてる」
画面には『廃墟なう』。
「馬鹿じゃないの?」
ちなみにもうリリスは姿を消している。
「それと、その左目のバイザー何?」
「これはサーモグラフィー内蔵バイザーだ。これでリリスを見られる訳だよ」
「成程。ただのカッコつけではないのね」
「……」
無言で愛銃に弾を込める。
「それがヒルガの武器なの?」
「そうだ。かっけぇだろ」
「もっと剣!とか槍!とかなかったの?」
槍……。
「さて、ついた訳だが。もう喋るなよ」
肩を2回叩かれる。OKのサインだ。
廃墟への門をくぐる。その瞬間―。
「うぉら!」
「ぐふっ!」
バイクで跳ねられた。吹っ飛ぶ。
「がはっ……」
壁に叩きつけられる。しかし前から別のバイクが。
「調子に乗るな!」
そのタイヤに弾を撃ち込む。バランスを崩したバイクは俺の左側に突っ込んだ。壁を突き破り中に。
建物の中には俺が仕掛けた地雷が大量に。ドーン。
「てめぇら裏ギルドの者だろう?」
「それがどうした!」
独り言のつもりだったのだが隠れていたチンピラが答えてくれた。そこにグレネードを投げる。
「離れろぉ!」
「手榴弾だ!」
「ぐぁ!」「ぎゃあ!」
投下地点に向かうと1人意識のあるやつがいた。
「おいお前」
「ひぃ!な、なんでしょう」
銃を向けて質問する。
「旗はどこだ?」
「リ、リーダーが……」
「そいつはどこだ!」
その顔がニヤッとした。イラッときたので手を離す。少し距離を置くとー
「何っ!」
「うわぁぁ!」
上から釘バット持った奴が降って来た。そいつは衝撃をの魔法か何かで無効化してるのかそのまま立つ。しかしさっきまで尋問してた奴は下敷きに。
「うぉら!」
バットを振り下ろしてきたそれを避けるとそいつは上にいた。
「ふんっ!」
ただの的だった。撃ち込む。すると相手は吹っ飛んだ。
「成程。自身の重さを無くす魔法か」
奴が飛んでった方向にグレネードを。炸裂するとこっちに戻ってくる。それを掴み地面に叩きつける。眉間に銃口を突きつけ、
「リーダーの居場所は?」
「一番高いビルの屋上……」
ボソッと言った。用がないので放し、そのビルへ向かう。
後ろで爆発音が。横を見るとリリスがピースしてる。笑いかける。
何度かの戦闘を行いビルに着く。どうせ最上階にいるのだろう。しかしこちらは旗さえ回収出来ればいいのだ。
ビルの1階の南側を爆破する。海に近いこのビルなら倒れれば海に入るだろう。そうすればリーダーとやらも倒せるんじゃねえかと考えた。
現実は倒れているビルの中、上から下に移動する火の玉がでた。
そしてビルは倒れ俺の目の前に2人の人影。
「やってくれたな」「やってくれたな」
「な、なにものだー」
面倒なので棒読みで。
「俺はサザンクルスのギルド長、オーレンだ!」
「俺はサザンクルスの副ギルド長、アップだ!」
あー兄弟の設定か。
「俺達の妙技、とくと見よ!」
そう言うと彼らは―オーレンが火に包まれアップが水に包まれる。と言うよりー
「自身がそれに変化した、か」
「ご明察!俺は体が火なのだ!」
「ご明察!俺は体が水なのだ!」
リリスに旗を取りに行くようサインを出す。わかった、と走っていった。
「「さあ、死ね!」」
試しに銃を撃つ。もちろん当たらない。しかし突っ込んでくる。とりあえず西側に走る。
「逃げるのか!」
「ああ」
何処ぞの路地裏に入る。
「アップ!回り込め!」
「わかった!」
オーレンは壁を燃やしながら突っ込んでくる。後ろからはアップが。前は行き止まり。
「終わりだ!」
アップが突っ込んでくる。さすがにヤバいか。だが―
「うおおおお!」
オーレンがこっちにたどり着いた。そしてニヤッとした。(炎が揺らいだから多分そう)
「絶体絶命だな」
「そんなことない」
グレネードを奴らの後ろに投げる。
「どうしよう!兄さん!」
「落ち着け!アップ!」
爆発する。それにアップとオーレンが揺らぐ。アップの方がすぐに体勢を立て直せなかった。オーレンと接触してしまった。
「うあ!」
「アップ!大丈夫か!」
介抱しようともっと近づく。こいつら馬鹿だな。
「兄さん離れて!」
「俺はどうなろうと構わない!お前が……」
「いや、違くて!あっ……」
蒸発が始まった。これはちょっと意外だ。兄の方が魔法ランクが高いのか。
「アップ!アップー!」
「にい、さん……」
完全消滅した。怒りで火がでかくなる。周りの建物が燃えて倒壊する。
「この野郎!よくも!」
「お前馬鹿だろっ!」
ツッコんでしまった。とりあえず左側―南側に出られそう。
こいつに勝つには海に落とすしかない。
「まだ逃げるかぁ!」
燃えてる建物の中を通る。大通りっぽいところに出るとリリスがいた。手を掴み、海に向かって走る。大きな音を立てつつオーレンが走ってくる。
「うおおおおおお!」
横からバイクが突っ込んでくる。それを撃ち、止める。するとオーレンはそれを爆破させた。
リリスは俺と同じスピードで横に並んでる。
崖が見えてくる。その下は海。
「うらっ!」「っ!」
大ジャンプ!それに続いてオーレンがジャンプ。あいつ馬鹿だ。水柱を2つ立てて俺たちは落ちる。水蒸気と煙を立ててオーレンが落ちる。
「計ったなぁ!貴様!」
「いやいやいや」
本当は崖の上で立ち往生してる奴にリモコン式の車をぶつけるつもりだった。爆発でこっちに落とす作戦だったのだが。
「ぎゃあ………」
「旗は?」
「これよ」
ちょっとエッチな所から旗を出す。なぜそこに?大きく見せたかったのか?
「はい。これでリリスを頂いていきます」
ドサッ。
「………」
「では失礼します」
朝一で渡してやった。
「さぁ!これで来てくれるよな?」
「ええ」
「いよっしゃあ!」
早速一華に自慢しなくては。電話をかける。が、繋がらなかった。
「なんだよ……」
「これからどうするのよ」
「フローランスに帰るぞ」
「はぁい」
リリスは少し楽しそう。
「しかし、よく旗見つけたな。ありがとな」
「なっ……。べ、別にアンタの為じゃないんだから///」
おいマジか!
戦いを文章にするって難しいですね。
否流我編終わりです。次からは一華と否流我が合流します。
読んでいただけるとうれしいです!