婚約破棄
不正を働いたギルドは社会から追放を受ける。
その中で不正を働き続けるものを裏ギルドと呼ぶ。
婚約破棄できるのか?
「戯けっ!」
色々な作戦を練ったさ。綿密な練習もした。リリスとの息はバッチリ合ってた。でも駄目だった。娘さんを僕にください!って言った次にこれを言われた。泣きそうだ。
「武器商人の息子如きに我が娘を渡せるか!」
「しかしっ!私達は両想いです!訳の分からない男と結婚なんて嫌です!」
「黙れリリス。………用件はこれだけかな?」
「だけって……我々の最も大切なことです!」
「帰れ」
くぅ……。
「あんなこと言わせておいて失敗ってなんなのよ!」
「俺だって恥ずかしかった!お互い相手を責めるのはやめよう」
「そうね。これからはどうするの?」
「ん〜……もっかい行く。何度も行く」
「もぉ嫌よ!」
「仕方無い。他に方法あるのか?」
「私が諦めるとか?」
「すると俺の目的が果たせない」
「はぁ……そんな自分勝手な。付き合わされてるヒルガの友達が可哀想だわ」
「ロリコンだけどな」
「どうでもいいのよそんな事ヽ(`Д´)ノ」
「顔文字……」
「また来たのか……」
「この気持ちは本当なんです!」
「帰れ」
バタン。閉め出された。
「くっそ〜何が悪いんだ!」
「状況が悪いのよ。諦めなさいよ」
「これはお前の為でもある。アルパカとキスとかしたくないだろう」
「とかってなによ」
「次の作戦に出よう」
「言えないような事を想像してるわけね」
「情報収集だ」
「成程。父様の弱みを握るのね」
「これならいけるんじゃないか?」
「じゃあ街に出ましょうか」
「おう!」
「これはバラバラに行動しよう」
「そうね」
「じゃあ午後4時にこのアジトで」
「了解だわ」
リリスは走っていった。当てがあるのか?
さて、人の心配をしている場合ではない。どこに聞き込みに行くか……。
「RPGなら宿屋、酒場だよな」
かといってこの時間に酒場は営業してないだろう。
「宿屋か……」
その方向に向けて足を進めた。
「そこの美しい貴婦人方」
超いい声で言い放った。
「「「えっ?」」」
宿の中にいた3人の女性が振り向いた。
「私はドレイクと申します。実はこの私、有りもしない罪により王から罰を受けました。なので、王を言いくるめるべく情報収集を行っているのです」
「そ、そんな事急に言われても、ねえ?」
「そ、そうよね」
「貴女方の!」
「「「!」」」
「貴女方の一言が、唇の動きが、私の知となり力となるのです」
「そういえばあの王様、いい噂聞かないわよね」
「そうね。何でも、やらしいギルドとつながってるとか」
「やらしいギルド、ですか?」
「裏ギルド、っていうらしいのよ」
「ありがとうございます!」
俺はその女性の手を取る。そしてその隣、また隣の人の手を取る。
「貴女方のことは一生忘れません。このドレイクの胸に誓います」
「そ、そんな大げさな///」
宿を出た。その瞬間俺は否流我に戻っていた。何がドレイクだ。
「さてダメ元で酒場かな」
そこに着くと―
「やってるじゃねぇか!」
何と営業中の看板が。
「すげぇな。お邪魔します」
「はーい」
空いてる席、カウンターに座る。
「どうしたの?若いのにこんな昼から飲んじゃダメだぞ☆」
ここのマスターは女性のようだ。
「マスター、少し話を聞きたい」
ここは素で行く。マスターなら口説きになれているはず。
「へぇ。若いのに大変ね」
「若いからこそです。この街の王について聞きたい」
「なに、国盗りでも考えてるの?」
「国盗り!?」
そう捉えられるとは。でも見えるよな ……。
「言ってみただけよ。」
「そうでしたか」
「気に入ったわ。今日は私の奢りね。さて、王様についてよね。彼は裏ギルドと繋がってるらしいわ。それも大規模な。」
「街人は知ってるのですか?」
「ええ。でもあの王様の政治は街人中心のものなのよ」
「どうだった?」
時計は午後4時過ぎを指す。
「皆同じこと言ってたわ。裏ギルドとつるんでる。でもいい王様、って」
「こっちもだ。その裏ギルドが付け込む穴だな」
「帰れ」
何ということだ。俺が王室に入った瞬間の一言だ。
「帰りません。何度でも言います。ローズさんをください」
「何度でも言う。帰れ」
「ところで、あなたは良くない噂が流れてるそうですね」
「ほう?」
「何でも不法ギルドと繋がってるとか」
「それで?」
「そのギルドの名は―」
「貴様!王に向かって戯言を!」
近くの兵に銃を向けられる。あの構えでは当たらないだろう。一瞥して王の方を向く。
「……」
「……………ではこうしよう。この街の東に廃墟がある。そこに夜の10時に来るといい。そこで我が旗をとってこれればリリスを譲ろう。リリスは連れていくのは禁止だ」
「了解した」
城を出た。
「いいのですか?」
「あれは確実に殺さなければならない目をしている。奴らの縄張りに放り込めば殺ってくれるだろう」
「よっしゃあ!」
「何を喜んでるのよ!このままじゃあんた死ぬのよ!?」
あんなの俺を殺すための罠だと気付かない訳が無い。それでも不法ギルド如きに負ける俺じゃねぇ!
「作戦会議だ。アジトに戻るぞ」
「あたしのアジトなんだけど……」
リリスの一人称が[あたし]になった。これは楽しい時に出るリリスの癖だ。
燃えてきた!
読んでいただきありがとうございます。
否流我のほうが楽しい物語になりそうです。
一華はシリアス担当っぽいですね。
これからも読んでください!