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モンスターとか盗聴とか

ギルド法モンスター項においてA級モンスター以上と許可なく触れ合ってはいけない。それを破った場合そのモンスターの階級に比例して罰せられる。

SSS級になるとギルドメンバーなら永久除名。一般人なら禁固刑10年以上。なおこの世界に懲役刑は無い。

 誰が信じられるだろうか。

「いや〜……はっはっは」

「「……」」

「どれだけ心配したと思ってるの!?」

 あれから30分以上戻らない俺を皆が心配した。

 が。

「歩いてたら時間かかったんだよ。なー」

「ヴァル」

 なんと俺はSSS級を手懐けてしまった。ビーハイブ戦の時にポケットに入れていた餌がいい感じになっていて、それが気に入ったらしい。更にSSS級ともなれば知能が高い。俺が敵じゃないと分かったようだ。

「しかしどうするんだ。こんなでかいの飼えないぞ」

 普通にしてて人間より大きい。じゃれようとすれば大怪我だ。

「まぁ森に帰らせるよな。仕方ない」

「ヴァル」

「おー可愛ーなぁ」

 頬ずりする。

「……とにかく。帰してこい」

「分かったよ」

 背中に跨がる。

「「「……」」」

「どうした?」

「いや、SSS級に跨がるってどういう事か分かってますか?」

「かっこいいだろ」

「もしかしたらギルド法に引っ掛かるかもしれないんだぞ」

「その時はその時だ。行こうぜ」

「ガルルル……」

 森へ戻ってった。



「お前、どうして俺達のこと襲ったんだ?」

 思わず帰り道に聞いてしまう。

「……」

 無言の数秒。

「……直前に我が家を荒らされかけた」

「っ!?」

 転げ落ちそうになる。

「ちょ、ま、おま……!」

「我の能力は電気系だ。主の脳に直接話しかけておる」

「そ、そうか。いやビビった」

「済まない。今の人間の言語は難解でな。時間がかかった」

「お前頭いいんだな」

「人間は昔から自分が1番頭が良いと思っている。それは良くないことだ」

「そうだな。だがこれならどうだ?お前は《人間より頭良かったんだな。》これなら俺が無知だってことも言えるだろ」

「……もうそれでよい」

「そうだろ。そういえば家を荒らされかけたって、どういうことだ?」

「人間がこの周辺一帯を焼き尽くそうとしていた」

「それはまた。何で?」

「それがわからんのだ。そして徐々にモンスターが殺されていくではないか。その人間が燃やしにきた奴だと思い攻撃した。実際は別の人間のようだったのだが」

「悪いな。そのモンスターを迷惑だと思ったやつがいたんだ。ってここ燃やされるの!?」

「そうだ」

「じゃあここ危ねぇじゃねえか!?」

「主と戦っている最中に妻が仲間を呼びに行った。今頃はその人間らは退散しているだろう」

「すげぇな」

「これくらいしなくては人間には勝てん」

 人間には勝てん、か。全力を出して初めて自分の家が守れるような厳しい環境に生きてるんだ。厳しい環境になる要因は人間だ。

「……なんかごめんな」

 思わず謝る。

「……。

 主は弱かったからな。楽だった」

「てめぇ!」

 謝った俺がバカみてぇじゃねえか!


「また会うかもな」

「その時は主の力になろう」

 ライオンの家の近くまで来た。こいつは戦線に合流するからここまででいいと言ったのだ。

「俺はお前になんもしてないんだけどな」

「まぁ、そうだな」

「じゃあな、ライネ」

「ライネとな?」

「俺が考えたお前の名前だ。《雷音》。読み方を変えるとライオンにもなる。

(σº∀º)σドヤァ」

「……我以外はどう呼ぶつもりだ?」

「( ゜д゜)ハッ!……雷音α、β、γ(ry」

「はぁ……そろそろ戦線に戻る」

「頑張れよ」

 森の奥へ消えていった。

「帰るか」

 蜻蛉切は部屋に置いてきてある。


「次の世代がもう覚醒しているとはな。我も随分と永く生きたものだ」

 ライネの呟きは勿論一華には届かない。


「ただいま」

「きゃあ!……いきなり現れないでよ!ビックリしたじゃない!」

 帰ってくるとローズちゃんが蜻蛉切を眺めているところだった。

「悪いな」

「心臓が霧散するかとおもったわ」

「しないだろう」

「するのよ。こう、シュワ〜っと」

 どうなるんだ。

「それより一華。今エレナ先生が来て貴方を探してたわ」

「何?」

「SSS級のことじゃない?」

「え、マジかよ……。とりあえずギルドに行ってくる」

「賢明ね」

 部屋を出る。

「うわっ、一華!お前いたのか」

「おう否流我。ギルドに行ってくる」

「そういや、さっきエレナ先生が探してたぞ」

「今から会いに行くさ」

「そうか。頑張れよ」

「ナホは?」

「買い物だ」

「そうか。じゃ、行ってくる」

「おう」

 憂鬱だ。どうせ怒られるのだ。


 事態は思いの外深刻だった。

「許可されてないモンスターと触れ合うなんて言語道断です!ましてやSSS級なんて……!」

「いや、あれは―」

「とにかく!来週から始まる特別授業は謹慎するように!」

「特別授業って……!?」

「それすらも覚えてないのですか。来週から1ヶ月に渡って国軍の大佐以上の方々が授業をしてくれるのです」

「んなっ!?」

そんな事聞いてない!聞きたかった……。

「それに出ることは許されません。貴方だけで済んだのです。良い方だと思いますよ」

「……」

 本当だったら否流我もナホもローズちゃんも謹慎になるそうだ。あれ?

「ナホとローズちゃんはラクレス学園に編入されてるんですか?」

「そうね。ちょうど特別授業からですね」

「そうなのか……」

「とにかく貴方は1ヶ月の謹慎。いいですね?」

「はい……」


「お帰りなさい。一華さん。って、どうしたんですか?」

「俺、1ヶ月謹慎処分だって」

「長いですね。でも除名とかじゃなくて良かったです」

「そう言えばナホとローズちゃん編入したって聞いてる?」

「ラクレス学園にですか?」

「そう」

「はい。楽しみです!」

 そうか……。なら授業はどうにかなるかもしれない!


「諸君!」

 夜飯時。皆に呼びかける。

「なんですか?」

「なによ?」

「なんだ?」

「この俺はかのSSS級を手懐けた!」

「長そうだし、手短に頼むわ」

 ローズちゃんに冷たいツッコミを受ける。

「……。来週から始まる特別授業って知ってる?」

「軍人が来るってあれか?」

「そう。でも俺謹慎処分受けちゃって出られないんだ。でも聞きたいじゃん」

「それで、どうするのよ」

「誰かに盗聴器をつけて俺がここで聞くんだ」

「アホですね」

「それしかない。ついでに素の皆も見てみたい」

「「「…………」」」

「誰についているから分からないから。よろしく」

「よろしくじゃねぇよ!恐ェよ!!」


 当日になった。当日は手始めに否流我に着けた。部屋の机に座りイヤホンを耳にはめる。

「さぁ。どうだ?」

『……ザザ……か……』

「ん?波長が合わねぇな。えーと……」

『い……か!…………か!』

「?」

 耳を澄ます。

『一華!一華!一華!一華!一華!一華!』

「うわあぁぁあ!」

 椅子から転げ落ちた。その拍子にイヤホンがジャックから外れる。

『一華!好きだよぉ!聞こえてるかな?一華〜!大好きだ!』

 大音量でスピーカーから流れる。最悪だ!

「誰か!止めてくれぇ!」

 無情にもその声は聞こえ続ける。

『一華の■■■■とか■■■■■を■■したいなぁ。聞こえてたら返事してよー!俺の■■■が受信するから!』

「でりゃあ!っはぁ……はぁ……」

 コンセントを抜いてやった。

もう疲れた。


「今日は誰に着けたんだ?」

「聞かないでくれ……俺が悪かったんだ」

「どうしたのよ……」


 次の日。今日はローズちゃんにしよう。ローズちゃんならまともなはずだ。

 昨日と同じポジションで耳を澄ます。

『あ〜!転校生じゃん!昨日話せなかったんだよね〜』

『あたしも〜名前聞かせて?』

『ロ、ローズです』

『可愛い〜!』

『いやっ!そんなところ触らないで』

『いーじゃーん』

『あああぁん!』

『可愛い声だね〜』

『ひやっ!そ、そんなろこぉ……』

『ほらほら〜』

『ら、らめぇ……』

『みんなもローズちゃんのことくすぐってよ』

『いやぁ!来ない―ひゃあん!』

『それそれ〜』

『こ、来ないれぇ……あ、や、あぁん!』

『ここは?』

『そこは―』

 イヤホンを外した。いいもの聞いたがこれ以上はやばい気がする。

 しかしいいもの聞いた。


「ローズちゃん。辛かったら相談してね」

「そうさせてもらうわ……」



 最終兵器。ナホだ。ナホは未知数だからな。どうなるか見ものだな。見ないけど。

 椅子に座ってイヤホンをはめる。

『おはようございます』

『ナホちゃん早いね』

『早起きは気持ちいいものです』

『年寄りくさいんだね〜』

『えっ!?そうですか?』

『早起きはいいことだけどね』

 お。いい調子だ。今までとは違うな。平和だ。授業開始まで待つか。

 数10分後にもう一度イヤホンをはめる。

『はぁ……』

 いきなりため息か。悩み事でもあるのか?

『一華さんと否流我さん。何故あんなこと言って私たちを突き放したのでしょう』

「俺達のことだったのか」

 確かにうやむやになったよな。

『私たちは許して貰えたのでしょうか』

「今日言ってやるか。気にしてるんだしな」

『……そこに本当は一華さんが座っているんですよね。でもどうして……』

 今更だがこの盗聴器じゃ授業が聞き取れないぞ。ナホの独り言を聴くだけだ。

『どうして一華さんは私を助けてくれたのでしょう』

 ん?なんの話だ?……最初のやつか?

『あんな無理矢理な事。一華さんは優しいですね』

 まるで俺が聞いてるのを知っているかのように話すな。いや、否流我は酷かったが。

『私のことを何事も無かったかのように受け入れて。リリスちゃんとも仲良くなって。否流我さんのようなパートナーがいて。

 私は一華さんのことが―』

 反射的にイヤホンを外した。何となく聞いてはいけない気がした。



「今更だがローズちゃんとナホを改めてこのパーティに加えよう」

「異論は無い」

「ありがとうございます!」

「よろしく頼むわ」

「そしてこれは教卓に仕掛けてくれ」

「……元々そうしておけば良かったんじゃないの?」

「気がつかなかったんだよ。頼むわ」



 授業はめっちゃ聞きやすくなった。

最近絵を描くことにハマりました。

上手く描けるといいですね。気持ちいいです。

あとパズド〇にもハマりました。サクヤ使ってるんで良かったら@rori120をフォローしてください。

次からも読んでいただけると幸いです。

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