スキルの正体
魔法能力について
・1人1つか2つ使える人もいる。
・魔法には1〜7までのランクがあり高いほど魔力消費が激しい。
・魔力は休んだり食べたり寝たりすると回復する。
・魔法ランクが高いと魔力消費が激しくなるが強い。
例えばランク3の水魔法とランク3の火魔法が当たると水が勝つ。しかしランク3の水魔法とランク4の火魔法は火魔法が勝つ。
・魔法にはいくつか種類がある。
代表的なものは造形や結界、召喚や再生、纏着や放出。さらに特殊魔法がある。飼育魔法や時間を戻すものは特殊に入る。
ナホとリリスは纏着、一華は放出、否流我は造形に値する。
・結界魔法とは空中あるいは物体にそれぞれ決められた魔法陣を張りその円に相手を触れさせて発動させる移動魔法である。自分が構築した空間に相手を連れ込むことで戦いを有利に進めることが出来る。
また移動せずにその場にその効果を発揮する結界ものもある。
ギルドについて
・10年間の教育を終わらせるとギルドか就職や学部に進まされる。
・ギルドはモンスターの討伐や他国間の戦争に介入するなど何でも屋のような存在。
モンスターについて
・モンスターはH G F……A S SS SSS Zにランク付けされている。
・モンスターには属性があり火 水 雷 土 風 聖 無の7種類に分かれている。
登場人物
・小鳥一華:この作品の主人公。フローランスのとある学校の優等生の一人。気圧を自在に変える魔法を使う。ランクは6。専用の槍「蜻蛉切」を支給されている。
・否流我:一華と同じ学校。優等生。フローランスの有力な貴族鍛冶屋の息子。3cmほどの鉛の塊を生成できる。ランクは3。銃火器の扱いが得意。少しBL。
・ナホ・サーシス :17歳の女子。優等生の1人で銃剣を与えられている。母親がジペン人でアニメが大好き。
「物体に電気を流す(生物には流せない)」というランク4の魔法を使う
・ローズ・アマリリス・バルサ:スポリンの首都ボルソルソの王の娘。今は盗賊業を営んでいる。
魔法は自分の周辺に冷気と熱気を纏う。ランクは2。
・エレナ:一華のクラスの担任。そして一華のギルドのマスター。能力は不明。
・トーケン:何百年前かに寿命を無くす永久魔法を使った仙人みたいな人。
今更ではあるが一華の所属している学校兼ギルドの名前は《ラクレス》である。
「ねぇ一華」
「何?」
「他の人ってどうなってるんかな」
「どういうこと?」
「あたしは皆ロボットだと思うの」
その女の子は少し関西なまりで凄い事を言いだした。
「だってな、あたしが戻すと皆同じ動きをすの」
「うん」
話を聞く。それだけが俺の生きる楽しみだった。この女の子はいつも他人とは違う目線で話をする。
「でもな、一華だけは違うの」
「そうなの?」
ここに来て俺が話題に上がる。
「一華は不思議そうな顔してすぐに自分の世界に潜るの」
「……」
自分の世界に入る訳じゃない。他人と話しても得ることがないのだ。
少し恥ずかしいことだが俺は雪希とだけ話せればいい。それ以外の人間は興味がない。例え1日が50時間になっていても、世界に飽きても俺は雪希と一緒に居られればいい。
「なんで一華はあたしに付いてくるの?」
そんなの1つしかないじゃないか。
「-雪希が好きだからだよ」
目覚める。なかなか懐かしい夢を見せてくれたじゃないか。時計は10時を指す。午前か午後かは不明だが。
あの後に雪希は顔を真っ赤にして慌てた。「うちのこと、い、一華が!?うちの何処がええねん!?」とか言ってた。「全部」と答えた。小3でよくもそんな言葉が出たなとは思う。
さて、起きるか。布団から這って出る。
何ということだ。誰もいないじゃないか。夢じゃないかと考えて頬をつねる。まぁ痛かった。夢じゃないようだ。カーテンを開けると日が差していた。時間は午前10時6分。
玄関に行くが靴は皆の分ある。
ここで1つ気付く。
「もしかしてまだ寝てるのでは?」
某検索サイトになってしまった。部屋は他にもあるのだから寝てるんじゃないかという考えはなかなかに正しい気がする。
「だったら待ってよう」
椅子を2つ繋げてベッドっぽくする。ベッドで寝ればいいじゃないかとおもうかもしれない。そう思う奴は1度やるといい。コツは尻を椅子と椅子の間に落とす。
「ふあぁ……」
椅子の冷たさが心地よい。眠気が脳に浸透してき-。
「おはようございます。あ、一華さんでしたか」
「……あぁ」
起きる。脳を覚醒させる。何というタイミングだ。
今更思い出したのだが片脳だけ寝るというのは失敗に終わったみたいだ。
「たまには、早起きをしてみた」
「早いのか遅いのか分からないですよ」
「早いだろ」
休みの日なら次の日起きることもあるのだ。午前中に起きるのは異例だ。
「1日、経ってますよ」
……あれ?
「キキマシタ?( °Д°)《゜Д゜》エエオクサン」
「1人で何してるんですか。まあ昨日は私しか起きてなかったんですけど」
「否流我とローズちゃんはどうした」
「寝ていましたよ」
「疲れてたのか。まぁ仕方ない。2人とも頑張ったからな」
「逆だったらどうだったんですか?」
「逆?」
「私達が初めからアベイユに行ってたらということです」
「んー……。ローズちゃんが死んだかな」
「……」
ナホは青ざめているが続ける。
「そして否流我の火薬が切れローズちゃんは魔物の餌になり腕が-」
「ストップ!朝から重過ぎます!」
「分かった分かった。ご飯作ってくれないか?」
「はい」
ナホは台所へ。今日の午後に帰るつもりだ。それまでに起きてくれればいいが。起こしたくないからな。起こされると朝からイライラするからな。
食べ終わると俺は図書館へと向かった。《スキル》について調べたかった。まぁ載ってる訳がない。載ってたら教科書にも書いてあるだろう。
「なんなんだスキルって!」
叫んだら痛々しい目で見られた。
帰るとナホとローズちゃんが帰る支度をしていた。支度といってもそんなに荷物がある訳ではなく。
「ただいま」
「おかえり。どこ行ってたのよ?」
「図書館だ」
「また珍しいですね」
「たまには行くさ。否流我は?」
「あっちの部屋で準備してるわよ」
「ありがとね」
「否流我」
「おお一華。心配させたな」
「まぁたまにゲッソリ凹むよな」
「もう大丈夫だ」
「そうか。準備出来次第帰るぞ」
「了解した」
午後2時17分。ギルドの馬車が来た。さぁ帰ろう。
「あれ?一華君に否流我君?」
エレナ先生に会った。
「他にもいますけどね。ビーハイブのクエストクリアしたんで帰ってきました」
「本当ですか?」
「いやいやいや。トラバイユとアベイユを送ったでしょう」
「送られてきましたけど……これじゃ大人と変わらないタイムですよ……」
「戦力に歳は関係ないんです。偉い人には分からんのです」
「……。とりあえずギルドで成功手続きを済ませてはどうですか?」
「そうですね。では」
「また後で会うんですか?」
「およそ会うことになりますよ」
「では、また後で」
ギルドで成功手続きをする。報酬金を受け取ると嬉しくなるなこれ。
「口元にやけてるわよ」
「いやらしい事考えてるんじゃないんですか」
「当たり強くない?」
「俺少し出かけるわ」
「どこに行くのですか?」
「ギルドにちょっとね」
「いってらっしゃい」
「お気をつけて」
「おう」
もちろん《スキル》について調べる、というよりトーケン爺さんに聞きたかったのだ。
いるかな……?
居た居た。巨乳ねーちゃん4人をはべらせてる。「虚乳」だったら混ざったのに。とりあえずお取り込み中なので近くにいたエリナ先生に聞く。
「エレナ先生」
「何ですか?」
「聞きたいことがあるのですよ」
「はあ。一華君がとはめずらしいですね」
「もう突っ込みませんね。……《スキル》ってご存知ですか?」
その時、トーケン爺さんがこっちを向いたのを見逃さなかった。とか言おうとしたそのときにはこっちに来ていた。
「一華、来い」
すごい剣幕でいつもの数倍の力で引っ張られる。
「どこでそれを知った?」
マスター室に連れてかれた。
「敵が言ってました」
「………」
「改めて聞きますが、《スキル》って何ですか?」
「そんなものはない。敵の虚言だ」
「……」
黙ってみる。
「そんな目で見るな……。あまり口にしたくない事なのだ」
どんな目をしてたんだろう。
「《スキル》とはな……。魔術の例外だ」
「……詳しく説明してください」
「魔法のランクは分かるな?」
「まあ、はい。1~7に分かれてるぐらいですが」
「スキルは無理矢理当てはめるなら効果はランク8、更に魔力消費が0の魔法の総称だ」
「ランク8?」
俺がランク6だから……その2つ上か。ん!?
「それで魔力消費0!?」
「そうだ。そしてスキルには属性がある。火 水 雷 土 風 聖 無の7種類だ」
「それって、モンスターと同じですよね?」
「そういうことだ。だが1番の問題はそれじゃない。問題は、
『スキル持ちの共通点は人生のうちで必ず大量の人の死に関わっている』ということだ」
「……?」
「文献のまま読んだらこうなるな。つまりは大量虐殺の首謀者や実行犯、あるいは被害者、ということだ。心当りがあるんじゃないか?」
「っ!」
古傷を思いっきり抉られた気分だ。気分ではなく実際抉られたのだが。
「虐殺犯あるいはこれから虐殺犯になる者をギルドが放っておくわけがない。簡単に言えば世界の敵だ」
「じゃあ……」
「我々が黙っていればギルドも知る由もないだろう。くれぐれも他言無用だ」
「……ええ」
帰り道はブルーだった。人を殺したことについて反省も後悔もしなかったからだろうか。
こういう時は気持ちを整理するといいと心理学の本で読んだことがある。やってみよう。
まず俺はスキル持ちと言われる人種のようだ。そしてスキル持ちはギルドの敵だ。つまり俺はギルドの敵だ。それがブルーになる理由か?
違うみたいだ。そこで1つの気持ちがふっと出て来た。
「雪希……」
俺は雪希の死を思い出していたのか。
わかったので少しはスッキリした。
しかしドアの前で立ち止まる。俺がギルドの敵なら否流我もナホもローズちゃんも巻き込む事になるんじゃないか?それなら今からでも1人で-。
突然ドアが開いた。
「ぐあっ!」
額にクリティカルヒットした。
「大丈夫ですか!?」
「何とか……」
しかしお陰で悩むのがアホらしくなった。いざとなったら言うさ。
「ナホ」
「何ですか?」
ナホと一緒に鍛冶屋に行くことに。蜻蛉切の飛距離を伸ばすためにどうにかならないかという相談をしたかったのだ。ナホは弾を買いに行くみたいで一緒に行こうとなったわけだ。
デートならもっとマシな所に行くさ。
「悪いな」
「何がですか?」
「急に謝りたくなったんだ」
「変ですね」
「いつものことさ」
「そうですね。いっつも変ですよね」
「…………」
「おお!一華に電姉ちゃん!」
「電姉ちゃん…って私ですか?」
「電磁砲姉ちゃんってことか」
「がっはっは。そう言う事だ。さて、何の用だ」
「蜻蛉切の飛距離をもうちょっと伸ばせねぇかな」
「ふん………。羽でも付けるか」
「ゑ……?」
「なんですかその字」
「ゐやゐや特に意味はない」
「はぁ……?」
「しかし羽ですか。大胆ですね」
「羽っつっても飛行機の羽みたいなもんだ。揚力を付けるためのものだな」
「成程納得です」
「電姉ちゃんはどうした」
「いつものです」
「おうそうか。……っとあったあった。ほいよ」
ドサドサァとレールガンの弾を袋に入れて渡してきた。いつものですって何だよ。
「じゃあ一華のは今日中に終わるからな。夜にでも取りに来てくれ」
「はい」
「では失礼します」
「おうよ!」
「どこに行きます?」
時刻11時40分。今から帰ればちょうど飯の時間。
「帰るだろ」
「ええー」
「ん〜……」
何が不服なのだろうか。飯と睡眠はスタイルをよくする原則だと思うのだが。見ろこの185の身長を!
落ち着け。どうやらナホは飯に不服があるわけでは無さそうだ。じゃあ俺と出かけたいのか?なるほど……。
「飯食ったら買い物でも行くか?」
「はいっ!」
当たりだったようだ。
という訳で買い物に来ていた。服屋に。
俺は知っている。女の服選びは暴動を止めるほどのストレスがかかることを。俺は顔では笑ってたが内心ヒヤヒヤしていた。いつ俺が限界になるか分からなかったからだ。
「これどうですか?」
「似合うんじゃないか?」
そう。ここが問題だ。ただ似合うでは女性は怒るのだ。だからなにか、なにか言わねば-!
「ただもうちょい鮮やかな色合いでもいいと思う」
「そうですか?」
「俺個人の意見だ。ナホが気に入ったのを買えばいいさ。自腹でな」
「最後かっこ悪いです……」
クリアだな。
俺の中の辞書をフル活用してアドバイスし続けた。
……2時間後。
「どれが良かったですかね」
「4番目のとかどうかな」
途中からもう楽しくなってきた。
「あと………」
結果ナホは4着買った。
「満足か?」
「はいっ」
「なによりだ」
家に戻り17時05分。特にやることがないので寝ることにした。
「どうしたの?」
「一華……!なんでも、ないの」
「その腕……?」
「こ、これは……近所の猫に……」
力ずくで見る。みみずばれになったその跡は見覚えが。
「誰に引っかかれたの?」
「……」
うつむいてしまう。
「ねぇ雪希。ちゃんと話して」
顔を上げた雪希は泣いていた。
「一華ぁ……嫌だよ……。もう学校行きとうない……!」
あんなに心を動かされた一言は相当ないだろう。まだ心という概念すらなかった頃の俺にそんなことを思わせる言葉。
「話して」
強く言った。
「……先輩にな、『邪魔』『死ねばいい』『いっつもかわいこぶってるくせに』『あんたさえいなければ』って言われて…。それで『少しは醜くしてやるよ』って言って……」
驚いた。いつも笑ってる雪希がこんなことをされていたとは。なにより悔しい。
でもどうしたらいいんだろう。敵は女とはいえ先輩だ。魔法なら-?だめだ。
「ごめんね」
「え?」
「ウチがこんなんじゃダメだよね。もう大丈夫」
そんな悲しい顔しないでよ-。
「だからもう-っ!?」
「……っはぁ…///」
「なぁ……///」
「考えよう。対抗策」
「う、うん」
「一華さん」
「……ん?」
起こされる。
「ご飯ですよ?」
「ご飯の上にかけるあれか?」
「ご飯抜きにしますよ?」
「行きます。すみませんでした」
夢の内容に俺がまだ引きずられている。
今は目の前の事に集中しよう。俺には、ナホも、ローズちゃんも、否流我もいる。いつスキルのこと言おうかな。
突然ですが自転車で転びました。
大変です。腕が、腕がァァァ!
ということで宜しくお願いします。