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おっさん不思議体験記  作者: やまのもとのねこ


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おっさん不思議体験記番外編 トキさん地獄へ

挿絵(By みてみん)

おっさん不思議体験記番外編 トキさん地獄へ




「お待ちしておりました『十姫武蔵大奈良原地母神トキムサシダイナラノハラノチボシン』様

閻魔大王配下の青鬼でございます

今後『青鬼』とお呼びください

以後お見知りおきお願いいたします」

と丁寧な口調で紹介されたわ、しかし私のフルネーム久しぶりに聞いたわね本人でも忘れていたわ


 青鬼の格好は黒スーツに身を固めていて現世のSPみたいな恰好をしているわ 鬼と言えば虎の腰巻のイメージしかないわよね


 私は今地獄の入り口にいるわ

死んだから来たわけじゃないわよ 

私の祠は霊界に続いているの、更にそこから進むと地獄の入り口にも行けるのよ


「ここに来るのは何十年ぶりかしら?ここはあまり変わらないわね」


「はい、ここは地獄でもかなり中心から離れた場所なので、ほぼ昔と変わりありませぬ

中央はもう少し近代化しておりますが現世と比べると見劣りしてしまうかもしれませぬ」

なんか妙に堅い言葉ね


「ねぇもう少し砕けた話し方はできない?現世の鬼さんは対等に話してくれているわよ

さすがに『十姫武蔵大奈良原地母神』様はやめて、むずかゆくなっちゃうから…何ならトキでもトキちゃんでもいいわよ」

と砕けて話すように言ってみたわ


「ではトキちゃん様」


「待って待って、ちゃんに様はおかしいでしょ『トキさん』でお願い、様はつけないで『トキさん』よ」

わかってくれたかしら?


「ではトキさん、こちらにお乗りください最新式の霊動車にございます」

と言うと黒塗りの現世の高級車のような車の後部座席のドアを開けてくれたわ




「へぇ乗り心地いいわね、霊動車ってことは動力は霊力なの?」


「はい、亡者や悪霊から純粋な霊力を抽出し霊力を結晶化し霊力エンジンを動かしています

地獄は悪人しかいないため普通に霊力を抽出しても負の霊力しか集まらないのですがそれを浄化し結晶化することに成功したのです

現世にも負けない技術が地獄にもあるのですよトキさん」

少し誇らしげね


「ところで青鬼さん、閻魔大王はなぜ私を呼んだの?もしかして例の悪霊に関係ある?」


「さぁ?私はただのお迎えですので詳しくはわかりませぬ

閻魔大王から直接お聞きくださいませ

あと中央の閻魔庁到着まで数刻かかると思うので少しおやすみになられると良いかもしれませぬ

この霊動車『防振対策』は完璧ですのでゆれることはほぼありませぬ、快適におやすみになれますよ」

まじめに静かに寝てくれと言われた気がするわ


 観光に来たわけでもないし寝ていても良いのだけどなんか癪よね、もう少し情報を聞き出せないかしら?


「その閻魔大王はどうしてるの?うちの鬼さんに悪霊の捕縛依頼出すぐらいだから現世のことよく見ているんでしょ?」


「そうですね、閻魔様は亡者どもの罪を浄玻璃鏡じょうはりのかがみを見ることによって裁いてるのですが

その鏡にトキさんたちが映ったらしくて懐かしくなったとかで周りを調べていたらしいですよ

その時に悪霊の影を見て鬼さんに捕縛または討伐の依頼を出したんだとか

あ、少ししゃべりすぎてしまいましたね

お疲れでしょう?少し眠ってください」

なぜこの青鬼は私を眠らせたいのかしら?直接聞いた方が早いわね


「青鬼さん、私眠くないのよ

なんで私を眠らせようとするの?眠ってもらわないと困ることでもあるのかしら?」

少し嫌味っぽく言ってみたわ、どういう反応するかしらね?


「いえ、ただ私の運転は荒い部分がありまして寝ていただければもう少し早く中央につけるのですが…」


「どういうこと?寝てくれたら早くつける?いいわこのままで良いから早くついてみて」

と私は言いましたよっと


「よろしいのですか?後悔はしませんね?ではいきますよ!」

と言うと青鬼は


「アクセル全開!ヒャッハー行くぜ!飛ばすぜ~はははははっやっぱこうでないとな楽しいぜ!」

と人が変わってしまったの…


 これが妙に堅い言葉使っていた正体なのね…やばい奴だったんだ…


 この霊動車確かに揺れにくいわ、でもこの運転は酔う

景色が目まぐるしく動きすぎるの、私は言った手前『止めて』とも言えずに耐え続けたわ

もう人を煽るようなことはしないと心に誓おうと思ったわ


 道中『ぎゃー』とか『きゃー』とか言ってしまった気がするけど青鬼は関係なく運転していたわ


「トキさん、もう着くぜ!早かっただろ?」

青鬼は言ったわ


 早いなんてもんじゃなかったわ数刻かかると言っていたのに半刻ぐらいしかかからなかった

中央に入ると速度を落としてくれたけど止まることはなくそのまま閻魔大王のいる閻魔庁まで直行してくれたのだけど……




「トキさん、閻魔庁に着いたぜ!」

と言うと霊動車から降り後部座席のドアを開けてくれたわ意外と紳士ね…


 気丈にふるまい何でもないように霊動車から降りたわ

閻魔庁は私が昔見たおどろおどろしい雰囲気と変わり現代風の建物に変わっていたわ

昔私が来た時には亡者が列を作っていたけれど今はそれもないのね


「あちゃぁ誰も来ていないな少し早く着きすぎちまったかな?

トキさん、俺は霊動車を駐車スペースに入れてくるな

すぐ戻るんでここか中に入って待っていてくれ」

そう言うとまたすごい勢いの運転で行ってしまったわ


 青鬼が見えなくなると私は地面に座り込んでしまったの

う~~軽く吐きそう、でもこんなところで吐くわけにはいかないの

スッと立ち青鬼が戻って来るのを待つことにするわ


 青鬼は戻ると


「『十姫武蔵大奈良原地母神』様お待たせいたしました、閻魔大王はこの時間大王の執務室にいらっしゃいます

どうぞ閻魔庁の中へ」

青鬼は初めに会ったときの感じに戻っていたわ


 閻魔庁に入るとお客様用の待合室に通されたの

待合室は彫刻や絵画や豪華な調度品が飾られていてちょっとした美術館みたいな感じになっていたわ


 閻魔大王が亡者に判決を下すときに使う『浄玻璃鏡じょうはりのかがみ』『人頭杖じんとうじょう』のレプリカなんかも飾られていたのレプリカとはいえ素晴らしい出来栄えで見いってしまいそう…

中央にふかふかの黒いソファとピカピカの黒いテーブルがあり「そちらにお座りください」と言われたのですぐに座わりに行くと女の鬼さんがお茶を淹れてくれたの、一口含み喉の渇きをうるおし一息つくと

やっと体も落ち着いてきたわ


青鬼は私がソファに座るのを見ると

『十姫武蔵大奈良原地母神』様がおいでになったことを伝えてまいりますのでもうしばらくお待ちくださいませ」

と頭を下げると部屋を出て行ったの

まだ待つのね…



待つこと十数分…


「『十姫武蔵大奈良原地母神』様、大変お待たせいたしました

閻魔大王がお会いになられるそうです

敬語等必要ないということですので気軽にお話しくださいませ」

と青鬼が呼びに来たわ


 待合室からほど遠くない場所に閻魔大王の執務室はあったわ

扉は大きく装飾を施し縁に金細工を用いた観音開きの扉の先が閻魔大王の執務室らしいわ


 青鬼はコンコンとノックし


「『十姫武蔵大奈良原地母神』様をお連れいたしました閻魔大王」

と言ったわ、恥ずかしいからその名前言わないでほしいのに…


「入ってこい今は目が離せん」

と低い低音の声が響いたわ


 青鬼がガチャリと扉を開けてくれると部屋の奥に装飾の施された机がありそこに小柄な男が座っていたわ

横にはモニターがありそれを小柄な男がみているわ


「あいかわらず小さいわね閻魔大王」


「うるさいなトキ、小さいのはお前も一緒だろ!

今は黒猫ちゃんの映像見てるんだ少し黙っててくれ!」

と言いやがりましたのよ


「あ、青鬼さがってよいぞ!トキなら問題ない心意の仲だからな」

と閻魔大王


「はい!承知いたしました

何かございましたら御呼びください

では失礼いたします」

と青鬼は部屋を出て行ったわ、どこで待機するのかしらね?少し気になるわ


「ところで今黒猫ちゃんの映像と言ったかしら?何で見れるのよ、まさか浄玻璃の鏡使ってるとか言わないわよね?」


「まさかそんなことしたらさすがに怒られちゃうよ、この間赤鬼に『映像の宝玉』を送っておいたんだ

現世のキャメラみたいなもんだよ

その宝玉にうつったものがこの『映像投影装置』つまりモニターに映し出されているというわけだよ

ただまだ問題があって声とか音がまだ再生できないんだ、地獄もだんだん近代化してきているだろう」

モニターを見ていて私のことはちらりとだけ見て話す閻魔大王、失礼しちゃうわねでも


「本当にすごい変わりようね、あの霊動車もすごかったわよ

運転には問題があったけど…」

思い出すだけで気分が悪くなるわね


「そうか?青鬼の運転はすばらしいだろう、快適すぎて我はすぐに寝てしまうんだ

そういえば起きてるときは移動に時間がかかっている気がするな」

知らなかったのね青鬼のあの運転を…


「今度青鬼の本気の走りを体験してみなさい、楽しいと思うわよ」

閻魔大王もあの走りを味わうがいい!




「見終わった、黒猫ちゃんかわいいなぁ」


「あたりまえじゃない、私の黒猫ちゃんよ

かわいくないわけがないじゃない」

私のじゃないけどノリで言っちゃったわ


「お前のじゃないけどな、はははっ!」

切り替えされたわ、やるわね閻魔大王


 しばらく黒猫ちゃんの話をした後

「そろそろ本題に入ってくれないかしら?私も暇じゃないのよ閻魔大王」

と私から切り出したわ


「そうだね、本題にうつろうか」

と急に真面目な顔になったわ




「そちらに座ってくれ」

と閻魔大王は腕を回して示したわ

大王の執務室にも豪華なソファとテーブルがありそこに移動して座ったわ


「何か飲むかい?」と言われたけども「先ほどいただいたから要らないわ」と返したわ


「今回トキに地獄に来てもらったのは例の悪霊のことを少し聞きたくてね

あの悪霊少し問題があって、この地獄に来ても直ぐには浄化しきれそうにないんだ

時間をかければできるとは思うんだが相当力をため込んだみたいでね

何か原因を知らないかと思って君に来てもらったんだ」


 原因ね…

「思い当たる節がひとつだけあるわ

黒猫ちゃんの主さんがあの悪霊に呪われていたわ」


「ほほぅ、例のあるじ君がかい?」


「えぇ、直接確認したわけではないのだけど主さんの配信で呪われたときの話をしていたのよ

小学生の時だったらしいから45年ぐらい前の話ね」

これぐらいしか思い当たらないのよね…


「45年か、それにしては少し強すぎるな他には何かないか?

たとえばトキの土地以外でのうわさとかなんでも良いから気が付いたことを教えてほしい」

気が付いたことと言われてもね?


「今のところそんな話は聞かないわね、もう少し時間を頂戴、こちらでも少し調べてみるわ」

しかし情報が少なすぎるわね現世で色々調べてみましょう


 「そうだトキ、これを渡しておくよ

『通信機』だ、君の祠なら声も送れると思う

活用してくれ」


 私は通信機を見て『はぁ~~~』と大きいため息をしてしまったわ


「あのね閻魔大王さま、通信機があるならなんで鬼さんに宝玉と一緒に送らないのよ?

鬼さんの住んでいる場所はお寺の一画よ

私の祠ほどじゃないけど霊道につながっているわよ」


「え、だってこれすごい手間かかってるんだよ

映像の宝玉より霊力もかかるしさ赤鬼に送ったら壊されちゃうかもしれないじゃん」

頭痛がしてきたわ

だってとかじゃんとか子供か!見た目は小さくてもあなたは大人でしょう閻魔大王


「わかったわ、じゃ私にその『映像の宝玉』と『映像投影装置』と『通信機』を頂戴

私の祠に置けばその『通信三種の神器』でこことすぐに連絡取れるようになるからとても便利になるわ

さっきの話の報告もここに来なくてもよくなるわよ」

閻魔大王ちょっと疲れているのかしらね?




 ジャリンジャリン

閻魔大王が鬼の金棒を模した鈴?のようなものを鳴らすと青鬼がドアを開けて入ってきたわ

「閻魔大王御呼びで?」


「話は聞いていたな?新しい『映像の宝玉』と『映像投影装置』をすぐに用意しろ

それと例の物も持ってくるのだ」

例の物って何かしらね?


「はっそれではすべてここにお持ちいたします、少々お待ちを」

と言うと青鬼は部屋を出てものの数分ですべて運んできたわ



「トキよ映像の宝珠と映像投影装置の操作の仕方は説明書を見てくれ、トキなら簡単に使えるだろう

通信機はこの霊力の結晶を持ちながら使うのだがトキなら結晶なしでも使えるかもしれぬ

が、無理はするなよ

予備で結晶も渡しておく、通信機は絶対に赤鬼には触らせるなよ

やつなら確実に壊すだろうからな」

鬼さんの脳筋具合しってたら渡したくなくなるのもわかるわ…


「それとこれを黒猫ちゃんに渡してほしい」

と『宝石のついたアクセサリ?』を渡されたわ


「その首飾りは黒猫ちゃん専用だ、サイズも多少なら調整できるようにしてある

その首飾りは霊力を増幅してくれてな、現世の人間にも姿を見せられるようにできるものなんだ

身に着けていると任意に見てほしいと思えば見え見てほしくないと思うと見えなくできる優れ物なのだぞ

黒猫ちゃんはまだそういったことはできないだろう?ちょうど良いと思ってプレゼントだ

どう使うかは黒猫ちゃんに任せるがな」

なかなか使えそうなものをくれたわね


「ありがとう閻魔大王、黒猫ちゃんも喜ぶと思うわ

それで私には何もないの?」

ここまで来て手ぶらじゃ帰れないわよ


「トキよ何が欲しいというのだ?通信機だけでも充分に役に立つものなのだ!

その他にも宝玉や投影機まで渡したではないか?」

確かにそうだけどね…


「それって全部こことの連絡用の道具じゃない、何かお土産ちょうだいって言ってるのよ

たとえばそこの鬼の金棒を模した鈴とか地獄土産にちょうどいいじゃない」

ちょっとほしかったのよね


「こんなものでよければくれてやる持っていけトキ」

黒猫ちゃんのお土産にしよ♪




「それではすべての品はお帰りの車に積んでおきます

お帰りの際はお声をおかけください『十姫武蔵大奈良原地母神』様」

と言い荷物を持っていってくれたわ

でも本名言うの本当にやめてほしい…


「トキどうする、すぐに帰るかそれとも地獄見物でもしていくか?見物していくというのなら泊まる場所ぐらい用意するが?」

と閻魔大王


「黒猫ちゃんに会いたいからすぐに帰るわ!」

即決よね


「わかった、では帰る準備ができ次第青鬼を呼ぶ…」

声を遮り私は


「じゃ今すぐお願い!」

とかるく微笑むの




「トキさん、今回もぶっ飛ばしていくかい?それとも眠るまではゆっくり行くかい?」青鬼は砕けた会話をしてくれたわ、約束を覚えてくれていたみたいね


「そうね、今回は眠れそうよ、その後はお任せするわ」

もうあの運転はこりごりよ

そういうと私は黒猫ちゃんのことを思いつつ眠りにいざなわれていったわ…




おっさん不思議体験記番外編 トキさん地獄へ 終




姫武蔵大奈良原地母神トキムサシダイナラノハラノチボシン一生の不覚、通信機とか宝玉とか投影機とか祠に送り届けてもらえばよかったわ

重くはないけど持ちにくいのよ『通信三種の神器』

地獄の入り口までしか霊動車で移動できないの忘れていたわ

しかたないわ、鬼さんにあとで運んでもらおうかしら…


トキさん回です

かなり楽しく書けました

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