【メタいホラー】バヌアツのクリスマスに起きた怪事件
「Hahahaha! Merry Christmas! 」
サンタクロースがモーターボートに乗って、エメラルド色の海の上をやって来る。
ここは南半球の島国──バヌアツ。12月は蒸し暑さの真っ盛りだ。
街路の火炎樹にはクリスマスツリーの装飾が施され、褐色の肌のひとたちは、みんなでローストされた豚肉を囲んでいた。
「みんなの大好きなものをプレゼントしに来たよ!」
サンタクロースが船の上で立ち上がり、背負っていたおおきな袋の中から、それを取り出して見せる。
「ほぅら、エロマンガだ!」
バヌアツにはエロマンガ島という、エロマンガの名産地があるのである。男も女も老いも若きも、だからエロマンガが大好きだった。
「たんきゅー!」
それを受け取った無垢な幼女が笑顔でお礼を言う。
「あたち、クリムゾンたんの作品が大ちゅき!」
こうして眩しくあかるいクリスマスの日中は過ぎていった。
☼ ☼ ☼ ☼
夜、最初に異変に気づいたのは浜辺の見張り役の少年だった。波打ち際に、ありえないものが並んでいたのだ。
――白い影。
近づいてみると、それは貝殻でも流木でもなく、無数の「歯」だった。人間の歯が、祈るように円を描いて砂に埋められていた。
騒ぎはすぐに村中に広がった。だが長老は、歯を数えることを禁じた。
「数えた者は、夜に呼ばれる」
誰も理由を聞かなかった。クリスマスの夜、海からは低い歌声が聞こえ始めていたからだ。讃美歌とは似ても似つかぬ、喉の奥で鳴るような声。波に混じって、名前を呼ぶ。
深夜、教会の鐘がひとりでに鳴った。村人が駆けつけると、祭壇の上にはサンタクロースの衣装が置かれていた。赤い帽子の中身だけが、不自然に重い。
中に詰まっていたのは、濡れた歯だった。
その時、装飾の施された火炎樹が、名前の通りに炎を噴き上げ、言った。
「これぞバヌアツに伝わる『入れ歯の怪』!」
「……ちょっと待て」
コロンが言った。
「しいな……。おまえ、バヌアツに行ったことがないだろう?」
私はムキになって反論した。
「イマドキ行ったことがないところの話でもAIさんを頼れば書けるんだよ!? 実際、『☼ ☼ ☼ ☼』からあとはしばらく100%、AIさんの文章なんだから! 『中に詰まっていたのは、濡れた歯だった』までは!」
「自分の体験したことを書けよ」
コロンが私に3回平手打ちをした。
作画:コロン画伯
「それにこれ、冬ホラーじゃねーだろ? 舞台が12月でも、南半球なら12月は夏真っ盛りだろ? 『ホラーは夏だけのものじゃない』ってキャッチフレーズはどうした? あとメタいのやめろ」
「だって私、幽霊も妖怪も怪奇現象も見たことないもん! UFOは最近見たけど──!」
「だからってAIに書かせるのかよ!? おまえ、物書きのはしくれとしての矜持はないのか? 自分の体験を元に、そこから想像力を膨らませてファンタスティックなホラーを書けばいいじゃんかよ!?」
冬の寒風が、私の背中を震わせた。
コロンはバカだと思った。
幽霊を見たことないのに、幽霊が描けるものかと思った。
バヌアツに行ったことがないどころかつい最近までどんなところかもネットで調べたことすらなかったというのに、バヌアツの物語が書けるもんかよと思った。
さて──
この作品、じつはすべてAIさんが書いたものだと言ったら、怖くはないであろうか?
もちろんですが、登場する人物は実在のなろう作家さんとは断じてまったく関係がありません




