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1 突然の告白

よろしくおねがいします!

「ジネット・ベルジエ嬢! 私は貴女の姿を見たその瞬間、雷撃を受けたように身体が震え、全ての時が止まった。輝く君を絶対に幸せにすると誓う。どうか私、レオ・バルベを生涯の伴侶となってほしい」


 突然、彼は私の手を取り、跪きそう告げた。


「……はっ?」


 会場は彼の言葉で周囲は一瞬にして静まり返り、視線は私に集まった。

 この空気の重さにばくばくと私の鼓動は速くなり、動くことができずにいる。


 レオ・バルベと名乗った方は細身でキラキラと輝く金色の髪に意志を感じる切れ長の目で王子然としていて令嬢たちに好まれる容姿をしている。


 えっ!? まさか、こんなところで告白されるなんて。みんなが私を見ているわ。


「えっと……」

 ここでどう答えを出さないようにすべきか、思いを巡らせる。


 周りにいた令嬢たちは興奮し、興味津々に視線を送りながらひそひそと話をしている。するとマリーズ・ミュール公爵令嬢が私の代わりに答えてくれた。


「レオ様、この場でプロポーズだなんてあり得ませんわ。ここが何処だと思っているのかしら?」


 腕を組み、少し怒った仕草をしているマリーズ様は今日のお茶会を主催した方だ。すると彼は立ち上がり、マリーズ様に礼を執った。


「マリーズ嬢、大変申し訳ない。だが、この場で私は彼女を見つけることができたのだ。貴女にはとても感謝しきれない。後で我が家から謝罪とお礼に伺います」


 周りにいた令嬢たちは彼の仕草に浮足立っている様子だ。


「だ、そうですわよ? ジネット様、どうされるのかしら?」


 彼女を不快にさせるのは私としても不本意だし、マリーズ様に謝罪するしかない。


「マリーズ様、お騒がせして申し訳ありません。まさか、初対面でプロポーズされるとは思ってもいなくて」


 私がそう言うと、マリーズ様は先ほどとは違い、クスッと笑った。


「ふふっ、そうね。ジネット様は普段領地から出ないから彼と会ったことがなかったのは仕方がありませんわね。レオ様、ジネット様とお話したいのなら、後ほど改めて時間を設けます。まず席にお戻りになって」

「マリーズ様、感謝致します」


 こうしてバルベ伯爵子息は席に戻り、お茶会は平静を取り戻すように優しい雰囲気のまま進んでいった。


 私が今日、領地から出てマリーズ・ミュール公爵令嬢のお茶会に参加したのはマリーズ様と会うためなの。


 私達は学生時代から仲が良く、お互いに婚約者が決まらず焦っていた。けれど卒業してからお互い領地の手伝いで忙しくなるうちに私もマリーズ様も結婚なんて興味が薄れていたのだ。


 マリーズ様は最近になって婚約者候補の男性が浮上し、私に見定めてほしいと手紙を送ってきていた。


 今日は報告を兼ねてお茶会に参加しただけなのに。


 どうしてこうなってしまったのかしら。


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