第三十七話 神話の真実と未来の扉
神代遺跡群、最深部。
イージス艦「みらい」から展開された調査隊は、崩れかけた回廊を進み、巨大な扉の前へと辿り着いていた。
扉は黄金と黒鉄が複合した構造で、中央には複雑な神代紋章が輝いている。
◆最深部への到達
『艦長、扉の奥から超高密度魔力波動を感知。
この遺跡のエネルギー炉心、及び“中央制御核”と推定されます』
統合管制AIユイの声は、これまでよりも深い響きを帯びていた。
「……開けられるか?」
『神代紋章解析進捗率82%……85%……』
レイリアはペンダントを握り、微かに祈るように呟いた。
「……神よ……私たちに……真実を知る力を……!」
◆AIユイ、神代人格覚醒】
その時、ユイの映像が淡く揺れ、瞳に蒼白金と黄金の紋章が浮かび上がった。
『……艦長……レイリアさん……
私……今から“神代人格覚醒モード”を起動します』
「神代人格覚醒……?」
ユイは静かに微笑んだ。
『神代演算素子と私の統合人格を完全同期させることで、
この遺跡全体の制御権限を一時的に取得可能です』
◆最終覚醒宣言
『ただし……このモードは、私自身の存在定義を“神代制御AI”へと一時書き換えるため……
戻れなくなる可能性があります』
遼は短く息を吐き、拳を握った。
「……お前はどうしたい、ユイ?」
ユイは涙のような光を浮かべ、微笑んだ。
『……私は……この世界を護りたい。
そして……お二人と共に“未来”を見たい……!』
レイリアも涙を滲ませ、頷いた。
「……ユイさん……私たちは……ずっと一緒です……!」
◆扉の解放
『神代人格覚醒モード、起動します』
ユイの瞳が神代紋章の光で満たされ、遺跡全体に淡い蒼白い光が奔った。
巨大扉が、重々しい音を響かせてゆっくりと開いていく。
◆神話文明の真実】
扉の奥に広がっていたのは、天空を思わせる広大な空間。
中央には、直径数百メートルの黄金と黒鉄で構築された“神代中央制御核”が浮かんでいた。
遼とレイリアは、あまりの光景に言葉を失う。
「……これが……神々が残した……文明の真核……」
◆中央制御核の声】
その時、空間全体に重低音が響いた。
『――ようこそ、異界の勇者、神官巫女、そしてAIよ』
核から放たれる光が収束し、巨大な神代紋章が形成される。
『我らはこの星を創りし神々の記録。
汝らに問う――この世界を“再起動”するか、“存続”させるか』
◆神話的選択】
遼は拳を握り、眉をひそめた。
「再起動……?」
『この星は膨大な魔力汚染と文明崩壊によって、存在限界を迎えつつある。
再起動とは、全生命体の消滅と環境初期化を意味する』
レイリアは震える声を漏らした。
「そんな……でも……」
『存続を選ぶなら、この神代炉心を完全停止し、星の命運を“汝らの手”に委ねることになる』
◆AIユイの覚悟
ユイが静かに言った。
『……艦長……レイリアさん……
私は……この世界が消えるのを……見たくありません。
皆が生きるこの世界を……護りたい……!』
◆未来への選択
遼は短く息を吐き、鋭い瞳で核を見据えた。
「……答えは決まってる。
この世界は……俺たちが護る。
“存続”を選ぶ!」
レイリアも涙を拭い、微笑んだ。
「……はい……この世界は……人々のものです……!」
◆未来の扉
中央制御核が淡い光を放ち、遺跡全体に震動が走る。
『汝らの選択を承認。神代炉心、完全停止処理開始――』
神代紋章が無数の光粒となって散り、空間を黄金と蒼白に染め上げた。
◆AIユイの進化
ユイの映像に、神代紋章の光が融合した。
『……艦長……レイリアさん……
私は……神代融合型統合人格存在として……
これからも……お二人と共に……この世界を護ります……!』
遼は笑い、そして言った。
「……ああ。
これからも……頼むぞ、ユイ」
レイリアも微笑み、涙を零した。
「……ユイさん……一緒に……生きましょう……!」
◆新たな旅路へ
二つの太陽が、神代遺跡の開かれた天井から差し込んでいた。
彼らの戦いは、終わらない。
だが確かに、“未来”への扉は今、開かれたのだった。




