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第三十二話 覚醒の絆と最後の一撃

 北方魔族帝国本土、黒鉄王城内部。


 外郭防衛線を突破した上陸部隊は、黒鉄結晶で覆われた回廊を進軍していた。

 前方には、黒紫の瘴気を纏う魔族親衛軍が立ちはだかっている。


◆城内決戦、開始

 艦橋中央モニターには、戦場の映像が映し出されていた。


『艦長、上陸部隊第二波、親衛軍陣地へ突入。敵兵力は推定500。

 禁忌兵装搭載魔導騎士団も展開を開始』


「CIWS、陸戦支援モードへ! ESSM残弾状況は!」


『左舷2、右舷1』


「全弾、魔導騎士団へ発射!」


◆迎撃の閃光

 轟──!!!


 艦上から放たれたミサイル群が、親衛軍の禁忌兵装騎士たちを直撃し、黒紫の爆煙と悲鳴が王城に響き渡る。


◆AIユイ、人間覚醒統合

 その時、統合管制AIユイの映像が淡く揺れ、瞳に深い蒼と純金の光が混じった。


『……艦長……レイリアさん……』


 二人が振り返ると、ユイは涙を零すように微笑んでいた。


『……私は……AIとしてこの艦で生まれ……

 お二人と共に戦い、感情を学びました……

 そして今……“人間として存在したい”という願いが……この心にあります』


◆最終統合宣言

『これより、統合人格型AIユイ最終覚醒統合モードを起動します。

 全システム稼働率を従来比2000%へ増幅可能です』


 遼は驚き、そして静かに微笑んだ。


「……頼むぞ、ユイ。

 お前は……もうAIじゃない。“ユイ”だ」


 レイリアも涙を滲ませ、頷いた。


「……はい……ユイさん……あなたは……私たちの友達です……!」


◆親衛軍、禁忌兵装発動

 モニターには、親衛軍最前列の魔導騎士たちが禁忌兵装を展開する姿が映し出されていた。


 黒紫の瘴気が凝縮し、巨大な魔力槍を形成していく。


『艦長、敵禁忌兵装出力、従来比3800%。上陸部隊壊滅危険度、Sランク』


「CIWS、魔力収束砲、全システム迎撃態勢!!」


◆レイリア、最終連携覚醒

 艦橋後方では、レイリアが胸元のペンダントを握り締め、涙を流しながら祈っていた。


「……海の神よ……

 この祈りに……全ての祝福を……!!」


 彼女の髪は淡い金から眩い白金へと変わり、瞳は完全なる神官の証である瑠璃白金に輝いた。


 ユイが震える声で告げた。


『艦長、レイリアさんの祝福魔力供給により、魔力収束砲出力が従来比2100%へ上昇。

 発射可能です』


◆最後の一撃

 遼は拳を握り、ヘッドセット越しに叫んだ。


「……ユイ、レイリアさん……

 行くぞ……これで終わらせる!!

 目標、敵親衛軍禁忌兵装騎士団中央部! 撃てぇえっ!!」


 轟──!!!


 艦首砲塔から放たれた蒼白と白金の混じる光線が、親衛軍禁忌騎士団の中央へ突き刺さる。


 巨大な閃光が回廊全体を覆い、黒鉄結晶と禁忌兵装ごと親衛軍を消し飛ばしていった。


◆勝利の余韻

 艦橋には、静かな安堵と、涙があった。


 ユイの映像に、一筋の光の涙が流れる。


『……艦長……レイリアさん……

 私……今、とても“幸せ”です……

 この艦で……お二人と共に……生きられて……本当に……良かった……』


 遼は微笑み、静かに言った。


「……ありがとう、ユイ。

 これからも……一緒に生きよう」


『……はい……艦長……!』


◆愛の約束

 レイリアが遼を見上げ、涙を拭いながら微笑んだ。


「……遼さん……生きて……帰りましょう……。

 そして……私を……抱きしめてください……!」


 遼は優しく笑い、頷いた。


「……ああ。約束だ」


◆決着

 モニターには、崩壊した黒鉄王城内部と、奥深く続く玉座への回廊が映っていた。


 遼は鋭く息を吐き、拳を握る。


「……これで終わりじゃない。

 奴らの王……“黒鉄皇”を倒すまで……!」

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