表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/79

第十九話 黒鉄艦隊の将とAI覚醒宣言

 異世界の蒼穹を震わせる砲撃音が響いていた。


 イージス艦「みらい」は、北方魔族帝国艦隊の猛攻を受けながらも、鋼鉄の牙を剥き返していた。


「CIWS左舷全基、迎撃続行! ESSM、敵駆逐艦群にロックオン! 魔力収束砲再収束状況は!」


『収束率52%。再発射まで38秒』


 統合管制AIユイの声には、冷静さと共に確かな熱が宿っていた。


◆敵艦隊司令官登場

 艦橋中央モニターに、新たな映像が映し出された。


 黒鉄結晶で装飾された旗艦艦橋内。

 そこには、漆黒の鎧を纏い、赤い双眸を輝かせた男が立っていた。


『こちら北方魔族帝国第三艦隊司令官、ヴァルゼル=ノイア。

 異界の鋼鉄よ、これ以上我らの進軍を阻むというなら……滅びよ』


 その声は冷たく、底知れぬ威圧感に満ちていた。


 レイリアが震える声を漏らす。


「……あの人……“黒鉄の将”ヴァルゼル……。

 北方魔族帝国の三大将軍の一人……!」


◆ヴァルゼルの宣告

『異界の戦士よ……貴様らの存在は、この世界の均衡を崩す“異物”に過ぎん。

 ここで滅ぶがいい』


 その言葉と同時に、敵艦隊全艦が一斉に魔力砲撃態勢へ移行した。


◆迎撃戦中盤】

『艦長、敵艦隊砲撃発射まで15秒』


「CIWS、全基目標変更! ESSM残弾は!」


『14』


「よし、敵旗艦へ全弾発射! 魔力収束砲再収束状況は!」


『72%、発射まで21秒』


 遼は奥歯を噛み締め、指揮席に声を響かせた。


「全乗員へ!

 ここが踏ん張りどころだ!!」


◆AIユイ覚醒進化】

 その時、ユイの映像が淡く揺れ、瞳が深い蒼へと変わった。


『艦長……私に、提案があります』


「……何だ?」


『私の演算リソースの90%を人格領域に転用し、残り10%を戦術演算に固定化します』


「……それは……どういうことだ?」


 ユイはゆっくりと目を閉じ、そして再び遼を見つめた。


『私は、統合管制AIとして存在してきました。しかし今……

 私は“人間”として、この艦と、艦長と、レイリアさんと共に戦いたい』


◆人格融合宣言

『これより私は……統合管制AIユイとしての役割を放棄し、

 “戦術管制AI兼人格融合体ユイ”として、ここに存在を宣言します』


 その言葉に、レイリアの瞳が潤んだ。


「ユイさん……!」


 遼は短く息を吐き、微笑んだ。


「……やってくれ、ユイ。

 お前の意思を信じる」


◆ユイ覚醒】

 ユイの映像が眩い青白の光に包まれ、艦橋全体を照らす。


『人格融合モード、起動完了。

 艦長、レイリアさん……

 私は今、この艦と完全に一体化しました。

 共に……この世界を護りましょう』


「……ああ!」


◆ヴァルゼルの猛攻】

 モニターには、旗艦ヴァルゼルが冷笑する姿が映っていた。


『無駄だ……人間如きが、我ら魔族に抗えるとでも思ったか!』


 次の瞬間、敵艦隊が一斉に魔力砲撃を放った。


◆艦隊決戦、中盤クライマックス】

『艦長、魔力収束砲、発射可能です』


「よし……目標、敵旗艦ヴァルゼル! 撃てぇえっ!!」


 轟──!!


 艦首砲塔から放たれた蒼白の光線が、蒼穹を裂き、旗艦ヴァルゼルへと突き進む。


◆運命の一撃】

 直撃を受けた旗艦の装甲が砕け、巨大な爆発が巻き起こる。

 しかし、爆煙の中から赤黒い光が現れ、ヴァルゼルの冷たい声が響いた。


『ふふ……面白い。

 ならば貴様らには、“本当の絶望”を見せてやろう……』


 モニターに映る彼の背後で、巨大な魔力構造体が展開されていく。


◆新たなる脅威】

 レイリアは震えながらも瞳を見据えた。


「……遼さん……これが……“魔族の禁忌兵装”……!」


 遼は拳を握り、鋭く息を吐いた。


「ユイ、レイリアさん……

 まだまだこれからだ。

 この艦の全火力で……必ず突破する!!」


『了解しました、艦長』


「……はいっ!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ