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メリーさん・4



 メリーさんに狙われたので部屋を飛び出したらヤンキー集団とすれ違ってビビってる俺だったが勇気を振り絞ってここまで来たら、

「め、メリー、さん?」

「ええ、そうよ」

 メリーさんがどう見てもヤンキーでしたの巻。

 絶対嘘だろマジかよ。ギャップあり過ぎだろ。格好はヤンキーなのに、声はアニメ。喋り方は、何だろう。ちょっとしたお嬢様みたいな感じで。

「邪魔者も片付けた事だし、ようやくあなたを殺せるわね」

「ちょ、ちょっと!?」

 とんでもなく物騒だなおい。メリーさんって人を殺さないんじゃなかったのかよ。いや、俺が怒らせ過ぎちゃったのか?

「お、おち、おちおち、落ち着いて、は、はな……」

「あなたが落ち着きなさいよ。言っておくけど、話し合いなど無意味よ。あたしはあなたを殴り飛ばして蹴り潰して捻って投げて捩って折って畳んでボロボロにしてあげたいんだから」

 目が据わってる……。

「う、うあっ」

「なっ、待ちなさい!」

 逃げろ! 逃げるんだ! ヤンキーの二の舞になっちゃいけない。つーか俺はそれ以上の被害を受けちまう!



 逃げてから一分ぐらいだろうか。何て言うの? ほら、家ってさ誰も住まないとすぐに朽ちていくじゃん。人間も同じでさ、使わない筋肉とかは衰えていくもんなんだよ。部活やってる時に言われたんだけど、トレーニングサボったらその分取り戻すのに三日は掛かるんだってよ。

「足は速いけど、疲れるのも早いのね」

 まあつまり万年自宅警備員。所詮、引きこもりの体力なんてこんなもんだ。俺は路地裏を抜けて、次の、その次の路地裏に逃げ込んだところで捕まってしまった。いや、限界。もう走れない。

「……ご、ごめん、なさ、い……」

「はあ?」

 息が苦しい。そんな中、俺は頭を下げて許しを請う。さっきまで馬鹿にしていた相手と言うのも忘れ、ただ一心にごめんなさいと呟く。

「そんな言葉で許してもらおうと思っているの? 言葉だけで許してもらおうと思っているの?」

 メリーさんがしゃがみ込んだ。とてもじゃないが、その顔を見る事は出来ない。

「言葉は重いわ。それだけで誰かを傷付け、あるいは痛め付けられ、間違った方向へと迷わせる。でも、あなたの言葉は軽いの。ペラッペラ」

 かちりと微かな音がした。次に煙が流れていく。……煙草吸いながら説教かよ。つーか、やっぱ吸うんだ煙草。何だかもうメリーさんのイメージ無茶苦茶じゃん。

「あなたはあたしを傷付けた。責任は取ってもらうわ」

 う。く、ずるくねえ? 女がそういう言い方したらずるくねえ? いや、待て俺落ち着け聡明。こいつは性別的には女かも知れないけど都市伝説なんだ。人をボッコボコにする存在であってホモサピエンスなんかじゃない! 気を遣うな気を許すな負けるな。良いか俺。目の前のこいつを人間と思っちゃダメなんだ。猫か犬……いや、もっとこう命のない無って、無機物をイメージしろ。そう、マシンだ。ロボットだ。俺はーメリーさんを何とも思わない。ロボットだからーマシンだからーダダッダー! そうだ! 空き缶とか空き瓶とかそういうレベルの奴なんだよこいつは! 誰が空き缶に気を遣う。蹴り飛ばしたり悪口を言って謝ったりするってんだ。

「顔を上げなさい。まずは一発ぶち込んでやるから」

「…………は、はい」

 頷いちゃったー。無理無理。そんなハートの強い人間だったら引きこもりとかしてないっすよマジぱねえっすよメリー先輩。

 顔を上げ、メリーさんと目が合う。にやりと、サディスティックな笑みを浮かべていやがった。つり上がった口角が更に歪んでいく。ああ、今から俺は殴られるのか。

 見える。狙われているのは腹だ。絶対、痛い。もらったら痛い。吐くかもしんない。そんなの嫌だ。

 瞬間、

「は?」

「あ、え、あ……」

 先に殴り返していた。

「い、いたっ。え、嘘? 痛、いたっ、え、おかしい。おかしいな、痛いんですけど?」

 メリーさんは腹を押さえ、信じられないといった表情を浮かべている。俺はと言えば、火種の落ちた煙草が地面をころころと転がるのを眺めていた。

「え、あの、どうしてあなたが殴っているのかしら?」

 やべえ、殴られると思ったら勝手に手が出てやがる。

「そ、その、ご、ごめんなさい……」

「謝って済む訳ないじゃない! お、女の子殴っといて許されると思ってるの!?」

 そうなんだけど、先に手を出したのはそっちだし。

「大人しく殴られなさいよ!」

 少し咳き込みながらメリーさんが拳を振り上げる。なので、俺は彼女の拳を跳ね上げ、上がった顎にフック気味のパンチを打ち込んだ。

 あ。しまった。また咄嗟にやってしまった。

 メリーさんは今度は顎を押さえて黙り込んでしまう。溜め息を吐いて、その場にしゃがみ込んだ。

「あ、あのう……」

「あなた、弱いんじゃなかったの?」

 えーと。

「どう見たって弱そうじゃないのよ。細いし、長いし、白いし、気が弱いんなら腕っ節も弱くしときなさいよ……」

 まさか、俺もこんな事になるとは思っていなかった。ただ、体が勝手に動いただけ。昔取った杵柄とでも言うのだろうか。人間相手の空手だったけど、しかも中学で齧った程度だったんだけど。いやいや、都市伝説なんてトンデモな存在にも通じるとは思っちゃいなかったぞ。

「だ、大丈夫、ですか?」

「な、何よその目は。その、哀れむような目はぁ!」

「う、わああ!」

 スイッチが入っちまったのか、メリーさんは立ち上がって俺に飛び掛る。半身になって彼女を避け、背中に向けて裏拳を叩き込んだ。確かな手応えを感じる。うん、満足。

「あ」

 じゃ、ない。満足してる場合じゃない。本来なら俺はメリーさんに殴られて叱られて怒られてしかるべき奴なのだ。いやー、けどー、体がー、勝手にー?

「わ、わざと! 絶対わざとやってる!」

「え、や、その、や、やっていない、です」

 しっかしなあ、このままじゃ夜が明けても埒が明かないぞ。何だかすげえ弱いんだけどメリーさん。かと言って、俺から仕掛けるのも何だかなって感じだし。だけど殴られたりするのはもっと嫌だ。逃げるのが一番なんだろうけど、こいつ追い掛けて来そうだし。

「あ、あの……」

「何よ」

「ど、どうして人を、お、襲うんですか?」

「はあ? あなた頭に虫でも沸いているの? 決まっているじゃない、あたしがメリーさんだから、人を襲うのよ」 

 何だそりゃ。訳が分からないぞ。

「分からないの? これがあたしの存在理由なの。こうしなきゃいけないの。そう、決められているのよ」

「で、でも、無差別に、人を、おそ、襲うのは……」

「無差別?」

 メリーさんは怪訝そうに眉を顰め、俺を睨む。何かおかしな事を言ってしまったのだろうか。

「無差別じゃないわ。あたしは、自分のルールに従ってターゲットを決めているもの」

「ルー、ル……?」

 でも、くだんはランダムに誰かが狙われると言っていた。誰が狙われるなんて分からないとも言っていたじゃないか。

「あなた、もしかしてあたしの事を勘違いしているんじゃないの。あたしはね、この町を気に入っているの」

 はあ? はあ!? 気に入ってる町で好き勝手に暴れてんだぞお前はよう!

「こんな中途半端な存在だけれど、あたしを呼んでくれた町だから。だから、あたしはここが気に入っているの」

「は、はあ……」

 何を言っているのかはわかんねえけど、何を言いたいのかは良く分かった。

「許せないのよね、ここで悪い事をする奴が。特に、携帯電話を使って悪い事をする連中がね。あ、あと、軽々しくナンパとかしてくる男も嫌い。しつこいのはもっと嫌い」

 ああ、そうか。あのヤンキーたちは運悪くメリーさんに声を掛けてしまったのか。見た目だけなら、まあ、悪くないもんな。格好はモロヤンキーだけど、ヤンキー同士通じるところがあるんじゃないかと思ってしまったのではないだろうか。バーカ。ざまあみろ。あんだよ、結局のところ自業自得じゃねえか。大方相手にされなくて詰め寄って、んでもってボコられたんじゃん。

「あなたはもっと嫌いだけどね」

 ……さいですか。嫌われるのには慣れてるけど、でも、俺は一体何をしてメリーさんに狙われてしまったんだろ。だってさあ、今の今まで携帯なんてろくに使ってなかったし、使おうとも思ってなかったんだぜ。

「……じゃ、じゃあ、襲われた人は……」

「酷い話よ。神聖な携帯電話を使って誰かをいじめようだなんて相談、あたしが許せる筈ないじゃない。最近の女学生はマナーやルールってものを知らないから困るわ。特に、悪戯電話で他人の安眠を妨げるような奴」

 あ。え。あ、え? 嘘、だろ? 嘘だよな。いや、確かに大口にやっちゃったけど、でもそれはあいつが先に仕掛けたんだと思ったからで。え、マジ? それだけの理由で俺は狙われたのか?

「は、はあ?」

 良くある話じゃねえか。つーか、あってしかるべきだろ。高校生やら中学生。最近なら小学生だって持ってて当然の携帯電話。他人の悪口で友達と盛り上がるのがある意味マナーで、ローカルなルールってもんだろう。第一、いじめ、だあ? それぐらいでガタガタ抜かしてんじゃねえぞ偽善者が。んなもん大して珍しくもねえじゃんかよ。

「はあ、じゃない。百歩譲って、あたしの知らないところで何をしてくれようが構わないの。けれど、ここはあたしが知ってる場所で、気に入っている場所なの。言わば、部屋ね」

 部屋?

「あなただって自分の部屋を踏み荒らされれば気分を害するでしょう? それと同じ。ただ、あたしの部屋の規模があなたよりも大きいだけ。言っている意味、分かるかしら?」

 やべえ、超分かる。何だか詭弁を弄されている気分だが、すげえ分かる。わからいでいか。

「悪い事をしているのは向こうなんだから。言葉は時に薬にも、毒にもなる。刃物にもなれば傘にもなるの。軽々と使って欲しくはないのよ」

「だ、だから、殴ったんですか?」

「殴っただけじゃ済まなかったけれど、そうね。そうなるわ」

 これっぽっちも自分を悪いとは思っていない。そんな風にメリーさんは悠然としていた。けどさ、おかしいだろ。そりゃ、さっき言ってた事は俺にだって理解出来る。でも、言葉言葉って大事そうに、真実そうに言うのなら、どうしてこいつは殴ったんだ。手を出したんだよ。骨を折り、内臓を潰し、そうしていられる。刃物振り回している人間に対して、メリーさんは同じく刃物を持って向かっていった事になる。説得しろよ。宥めろよ。問答無用で殴ってちゃしょうがないんじゃないのか? あんただって、同じだ。言葉どうのこうのと言っちゃあいるが、やってる事と矛盾しているんじゃないのか。

「言わば正義の味方ね」

「ち、違う……」

「……何よ?」

 正義の味方なんかじゃない。お前は自分が気持ち良くなりたいだけなんだ。

「何よ、その目。あなた、うじうじとしていて苛々するわ。言いたい事があるのならハッキリと言えば良いじゃない。……何なら、どこか遠くに消えて鳴らない携帯電話に向かって話し掛けていれば?」

「あ、あなたは、ただの、乱暴者なんだ。ひっ、人を、殴りたいだけなんだ」

「あなただってあたしを殴ったじゃない。そんな事を言える資格があるのかしら?」

 ……確かに、俺は最低の屑だ。他人にどうこうと口出し出来る資格なんか持っちゃいないんだろうし、これから先手に入れる事もねえだろうよ。でも、お前にだって言う資格はねえぞ。

「本当、電話でも腹が立つし、実際会っても鬱陶しいわね」

 こっちの台詞だ。そっくりそのまま返してやる。

「本気で殺してやろうかしら」

 メリーさんは拳の骨を鳴らし、肩の骨を鳴らし、煙草に火を点けた。紫煙がたなびき、苦いような、とにかく不味そうな臭いが鼻を突く。

 やる気かよ。けど、お前みたいなカスには絶対殺されてやらねえ。もう、助けなんて来ないんだ。自分一人の力でこの場を切り抜けるしかない。昔を思い出せよ。都市伝説のメリーさん、規格外の存在にだって負けてねえじゃねえか。いやむしろ勝ってる。……勝ってる? 勝ってるから、なんだってんだ? 勝ってたら、殴っても良いのか? 暴力を振るうなんて、どうしようもない奴のする事じゃねえのかよ。そう思って、思ったから、俺は……!

「……? あなた、どこを見ているの? 良いわ、ちょっと拍子抜けしちゃったけれど、あなたにその気がなくても、あたしには!」

「そこまで」

「――――っ!?」

 見上げれば、ビルの屋上にぼんやりとした影が見える。その影は躊躇いと言う言葉を知らないのか、頭から飛び降り、くるりと体を捻り、

「きゃあああっ!?」

 俺とメリーさんの間に、音もなく着地した。

「やっと見つけた。やっと捕まえられる。……ソーメイ、生きてる?」

「く、だん……?」

 背中に浮かぶ『無』の字。相変わらずエキセントリックなくだんに驚いたのは俺だけではない。メリーさんは腰を抜かして地面にへたり込んでいる。

「なっ、なっ、何? 馬鹿じゃないの死んじゃうわよあんなところから飛び降りるなんて……」

「くだんはこれぐらいでは死なない。それよりも、メリーさんは自分の心配をするのをおすすめする」

「え、え?」

 くだんは背後に視線を遣った。

「話は聞かせてもらった。メリーさんの標的となった者には、標的になり得る理由があったらしい。しかし、いささかやり過ぎではないかとくだんは判断する」

「くだん……? 何よ、突然出てきたと思ったら電波っぽい事を振り撒いて。あなた、あたしに文句でもあるの?」

「鳥が飛ぶのに、魚が泳ぐのに文句を言う者は存在しないとくだんは思う。実際、くだんは文句などない」

「は? あ、あなた何を……」

 くだんは他人の話を聞こうとしないきらいがある。多分、今だってメリーさんの話を聞いちゃいないだろう。なんたって、くだんにとって都市伝説とは対話するような相手じゃない。都市伝説を問答無用で消去するのが彼女のやるべき事で、取るべき手段なんだ。

「いじめは良くない事かもしれない。けれど必要悪でもある。あなたが好悪を持ち出すのは自由。しかし、善悪を持ち出し、当人同士の問題に介入すべきではなかった」

「あっ、あたしはこの町の為になるのを思っただけよ」

「ならばやり方はあった筈だとくだんは思う。……くだんは、あなたに対してのやり方が一つしか思い浮かばないけれど」

 形勢は逆転。展開は終盤に向けて収束していく。そうだ。メリーさんは消される。肉が飛び散り、血は吹き出し、木っ端になって微塵と散華するんだろう。

「いっ、嫌。嫌よ、あたし消えたくない……」

 メリーさんは怯えて後退りする。何をされるかは分からないが、何かされるのかは分かっているんだ。

「……ソーメイ。今の時間を教えて」

 俺は無言で携帯を開く。時間は、確認した。けど。

「ちょっと、あなたたち何をする気なの……?」

 暴力ってのは最低だ。確かに、言葉が原因で喧嘩にもなるし、国同士の戦争にもなるかもしんない。実際、なるんだろう。でも言葉を使えるのに、それを使わないまま、別の使い方を知らないまま消えてしまうのは、あまりにもな話じゃないのだろうか。

「ソーメイ?」

「く、くだん。おっ、俺は……」

「ソーメイ、先に言っておくけれど、くだんの目的、行動原理は都市伝説の撲滅にある。それを曲げろと言うのならば相応の理由を提示して欲しい」

 当然だ。俺だって人間なんだ。理由もなく、人間の害になるものを放置する道理なんかない。

「め、メリーさんは正しくないと、思う」

「……うぅ」

「でっ、でもっ、間違ってもないと、その、思う。ん、だけど」

 くだんがこちらに振り返る。その目は、変わる事のない色を宿しているように思えた。怒ってはいないだろうけど、俺が何を言っているのか不思議がっている感じ。

「じ、じ、自業自得なんだよ」

 今更ながら、今にして思えば、馬鹿な話だよな。俺は、引きこもりだ。友達はいなくなっちまったし、家族とだってまともには話せなくなった。そんな俺が他人に関してどうこう言える訳ねえし、言いたくもなかっただろうがよ。ヤンキーがボコられたからなんだ。誰かがボコられたからどうした。全員が全員自業自得じゃねえかよ。自分が良い目見ようとして、他人にそのツケ払わせようとしたからメリーさんに狙われた。ざまあみろ、なんだよ。

「やり過ぎだったかも、し、しれない。け、けど……」

「メリーさんの思いは間違いではないとソーメイは思う?」

 俺は頷く。だってそうじゃないか。そうじゃなきゃ、メリーさんも俺も一生救われないままだ。

「……ソーメイは都市伝説に更正の機会を望む?」

「く、くだん。お願いだ……」

「ならばくだんは再度問う。時間を教えて欲しい」

 自分勝手な事だとは思う。自覚してる。

「あなた、あたしを助けてくれるの?」

 違うんだ、メリーさん。俺が助けたいのはお前じゃない。助かりたいのは、救われたいのは俺なんだよ。

「ろ、六月十六日、三時二十八分……」

「うん、君に感謝を。では、くだんは予言する――――」

 だから、そんな目で見ないでくれ。



 改めて考えるに、俺は割と凄い事をやっているんじゃないかと思う。町の平和を脅かす都市伝説に出会い、生き残り、時にはその結末に介入しているんだから。それこそ正義の味方ではないが、誰か一人ぐらいは褒めてくれたって構わないんじゃあないだろうか。

「おらあっ!」

 眠らせてくれても良いのではなかろうか。

「あんた昨日からうるっさいのよ! 一人でぶつぶつ呟いたり叫んだりしてさ! 何なの、夢遊病なの? ビョーキなの? ヒッキーのくせに静にどんだけ迷惑掛けるワケ? あっ、もしかして誰かと話してるのかなあなんて一瞬考えちゃったけど、あんたみたいなどもりのグズと話してくれる人間なんてこの世には存在しない筈だもん。気持ち悪い妄想を現実世界にまで広げてエア彼女やら脳内友達とお花畑で踊るのはやめてくれない? つーかやめて! 色々とやめなさいよ! こっちは恐くて寝られなかったじゃない! どうすんのよ今から学校なのよっ、寝不足で授業中に居眠りしちゃってセンコーに目ぇ付けられたら! あんた静の代わりに謝ってくれるの? 『生まれてきてごめんなさい』って! 謝れっ、今すぐに謝りなさいよ!」

 ところで、俺の電話帳には大口以外にもまた一件追加された。そいつはメリーさんと言って、この町をより良いものにする為、努力すると息巻いている。

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