第9話:覚醒する山の巨人
異変の原因
ノクスが山から戻り、緊張した様子でデミウルゴスの肩に舞い降りた。
「……状況は最悪です。山の奥深くで、あなたがかつて破棄した『巨人』が目覚めています」
「巨人か……そういや、あれも失敗作だったな」
デミウルゴスは思い出すように呟いた。
「その巨人、具体的にどんな力を持ってるんだ?」
リックが不安げに尋ねると、ノクスが厳しい声で答えた。
「大地の魔力を吸収して無限に成長する力を持っています。放置すれば村どころか周囲一帯が壊滅します」
「それ、なんで破棄したんだ?」
アリシアが恐る恐る聞くと、デミウルゴスは肩をすくめた。
「最初は防衛用に作ったんだよ。でも、あまりにも制御が難しくてさ。面倒だから封印して捨てたんだ」
「面倒って……」
リックは頭を抱えたが、それ以上言うのをやめた。
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巨人との初対峙
山の麓に到着したデミウルゴスたちは、遠くにそびえ立つ巨人の姿を目撃した。その体は岩と木々でできており、まるで山そのものが動き出したかのような威容を放っている。
「でかいな……もっと小さかった気がするんだけど」
デミウルゴスが呆れた声を漏らす。
巨人はゆっくりと村の方向に進み始めていた。その足音が地響きとなり、空気を震わせる。
「急がないと村が危ない!」
リックが叫ぶと、デミウルゴスは気だるげに手を挙げた。
「分かってるって。あー、もう面倒くさいな」
彼は地面に手を当て、大地に眠る魔力を吸い上げるように集め始めた。すると周囲の空気がピリピリと震え、魔力の奔流が彼の体を中心に広がっていく。
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制御の難しさ
「巨人って言っても、俺が作ったんだから弱点は知ってるさ。あいつは中心核を壊せば止まる」
デミウルゴスは巨人を睨みながら言った。
「じゃあ、その核を壊せばいいんだな!」
リックが意気込むが、ノクスが即座に警告を発する。
「核は巨人の最も防御が固い部分にあります。無策で近づけば逆に飲み込まれる危険があります」
「……それってつまり、俺がどうにかしないといけないってことか」
デミウルゴスは頭を掻きながら、ため息をついた。
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戦闘開始
巨人がデミウルゴスたちに気付き、巨大な腕を振り下ろしてきた。その一撃で周囲の木々が薙ぎ倒され、地面が陥没する。
「危ねえな!ちょっと本気出さないとやばいかもな」
デミウルゴスは片手を上げると、空間に魔法陣を展開した。そこから放たれた光の矢が巨人の腕に命中し、一瞬だけ動きを止める。
「よし、今のうちに!」
デミウルゴスは飛び上がり、巨人の背中に乗り込んだ。
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巨人の核
巨人の背中に到達したデミウルゴスは、中心部に埋め込まれた赤黒い核を見つけた。その核が脈動するたびに、巨人の動きが活発化していく。
「これが問題の元か……」
デミウルゴスは核に手をかざし、破壊するための魔力を練り始めた。しかしその瞬間、核が赤く輝き、デミウルゴスを弾き飛ばした。
「ちっ、抵抗してくるのか。俺が作ったくせに生意気だな」
地面に落下したデミウルゴスを見て、リックが駆け寄る。
「おい、大丈夫か!?」
「平気だよ。ただ、ちょっと本気を出さないとダメみたいだな」
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最後の一撃
デミウルゴスは立ち上がり、再び巨人に向き直った。そして、両手を広げて空中に複雑な魔法陣を描き始める。
「ノクス、援護しろ。リック、お前らは近づくなよ。巻き込むかもしれない」
「分かった!無茶するなよ!」
リックが叫ぶ中、デミウルゴスは完成した魔法陣を巨人の核に向けて放った。
光の奔流が巨人を貫き、核を包み込む。巨人は断末魔のような轟音を上げながら、その体を崩していった。
やがて巨人は完全に動きを止め、大地に崩れ落ちた。
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村への帰還
「終わったな……あー、疲れた」
デミウルゴスは肩を回しながら呟いた。
「お前、ちょっとは反省しろよ。これもお前の適当な管理が原因だろ?」
リックが怒鳴るが、デミウルゴスは薄く笑った。
「まあ、反省はしてるよ。でも、次に何が起きるか分からないのが人生ってもんだろ?」
「それをお前が言うのか……」
呆れ顔のリックを横目に、デミウルゴスは静かに夜空を見上げた。
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