第26話:帰還と新たな疑念
崩壊の危機を乗り越えたデミウルゴスたちは、塔の出口へと向かっていた。瓦礫が散乱する中、一行は慎重に足を進める。
「まったく、こんな目に遭うなんて思ってもみなかったぜ……もう塔なんかゴリゴリだ」
リックがぼやきながら剣を肩に担いでいる。
「気を抜くなよ、まだ完全に安全になったわけじゃない。何が起きるか分からないぞ」
ゼルクスが冷静に周囲を見渡しながら歩いていた。
アリシアが疲れた表情で声を上げる。
「でも、外に出られたら少し休めるでしょうか?もう体がヘトヘトです……」
「休むのは外に出てからだ。それに、俺たちをこんな目に遭わせた張本人がいるからな、何か言いたいことがあるだろう?」
リックがデミウルゴスを睨みながら皮肉っぽく言った。
「なんだよ、俺のせいみたいに言うな。全部お前らのために動いてやったんだぞ?」
デミウルゴスは軽く肩をすくめながら答えた。
「いやいや、そもそも塔が崩壊しかけたのはお前が手を抜いて作ったせいだろ!?」
リックが食ってかかる。
「まあ、それは否定しないけどな。とはいえ、ちゃんと止めただろ?感謝くらいしてもいいんじゃないか?」
デミウルゴスは飄々とした態度で返す。
「感謝ねぇ……どの口が言うんだか」
リックは不満そうに呟いたが、それ以上追及することはしなかった。
ノクスが翼を広げながら冷静に話し始めた。
「しかし主様、今回の出来事で明らかになったことがありますね。あのローブの男たちの目的、そして塔を暴走させた意図……明らかに計画的でした」
「そうだな。あいつら、ただの愉快犯ってわけじゃなさそうだ。何か裏がある」
デミウルゴスが真剣な表情で答えると、ゼルクスが意見を述べた。
「ローブの男が言っていた“新たな形”という言葉が気になる。奴らの計画の核心を知るには、さらに情報が必要だ」
「でも、そのためにはまたどこか危険な場所に行くことになるんじゃ……?」
アリシアが不安げに尋ねると、デミウルゴスは微笑みながら言った。
「危険な場所に行くかどうかは、奴ら次第だな。ただ、今は一旦休憩が必要だろう。お前たち、もうヘトヘトなんだろ?」
「それを言うならお前もだろ。全然疲れてないように見えるけど……」
リックがじっとデミウルゴスを見ながら呟く。
「俺は創造主だからな。この程度のことで疲れるわけないだろ?」
デミウルゴスは笑いながら胸を張った。
「いやいや、さっきの戦いで結構真剣に魔法使ってただろ?少しは消耗してるはずだぞ」
リックが突っ込むが、デミウルゴスはそっけなく返す。
「消耗してるって?そんなの気のせいだ。俺にとっては遊びみたいなもんだからな」
「遊び……ねぇ。ほんと、創造主様は気楽でいいな」
リックが呆れたように頭を振った。
一行が話をしながら進むうちに、ようやく塔の入り口が見えてきた。外の光が差し込むと、アリシアが思わず感嘆の声を上げた。
「やっと外だ……!空気が違いますね!」
「ようやく終わったか。でも、本当に終わったわけじゃないな」
ゼルクスが厳しい表情で呟いた。
「その通りだ。この塔の件は終わったけど、奴らの計画はまだ続いてる。次の手がどこで来るか分からない以上、油断はできない」
ノクスが翼を閉じながら付け加える。
「まあまあ、今はそんな深刻に考えるな。少し休んでからでいいだろ。疲れてるときに何を考えてもいい案は出ないもんだ」
デミウルゴスが軽く言うと、リックがため息をついて言った。
「その余裕がどこから出てくるのか分からないけど……まあ、確かに休憩は必要だな」
「そうそう。じゃあ、どっか適当な町にでも寄って休むか?」
デミウルゴスが提案すると、アリシアが嬉しそうに言った。
「いいですね!温かいご飯とか、ふかふかのベッドとか……考えただけで元気が出てきます!」
「じゃあ決まりだな。近くに町があるか調べてみるか」
デミウルゴスはそう言って魔力で周囲の地形を探り始めた。
すると、ノクスが首をかしげながら言った。
「主様、近くに町はありますが……奇妙な魔力の反応も感じられます。少し注意した方が良いかと」
「奇妙な魔力?何だそりゃ?」
リックが眉をひそめる。
「分からない。だが、塔の中で感じたものとは少し違う……何かがおかしい」
ノクスが慎重に言葉を選びながら説明した。
「……面倒ごとじゃないといいんだけどな。とりあえず、行ってみるしかないか」
デミウルゴスが歩き出し、一行は再び新たな旅路へと足を進め始めた。
次なる町には、何が待ち受けているのだろうか――。




