第25話:崩壊の危機
デミウルゴスたちは塔の中心装置であるクリスタルを破壊し、触手やローブの男を打ち倒した。しかし、塔全体が不安定な状態となり、揺れが徐々に激しくなり始めた。
「おいおい、これってヤバいんじゃないか!?この揺れ、ただ事じゃないぞ!」
リックが天井のひび割れを見上げながら叫ぶ。
「……その通りだ。この塔自体が崩壊を始めている」
ゼルクスが剣を納め、冷静に状況を判断している。
アリシアが心配そうに言う。
「どうするんですか!?私たちも巻き込まれるんじゃ……」
「落ち着け。俺がここを安定させる方法を考える。とりあえず、全員はぐれないようにしろ」
デミウルゴスは塔の構造を見上げながら、魔力を周囲に広げて状況を探り始めた。
ノクスが羽を揺らしながら報告する。
「主様、塔全体の魔力が暴走しています。このままでは数分以内に完全に崩壊するでしょう」
「数分ね……まったく、ギリギリの展開ばっかりだな。なんとかするしかないか」
デミウルゴスは地面に手をつき、魔法陣を描き始めた。
「なんとかって、具体的にどうするんだよ!?」
リックが声を張り上げると、デミウルゴスは軽く肩をすくめて答える。
「簡単さ。この塔を作ったのは俺だ。だから暴走した魔力を一時的に封じるくらいの仕組みは用意してある……ただし、少し手間がかかるけどな」
「少し手間って、どれくらいの時間が必要なんですか!?」
アリシアが焦りながら尋ねる。
「大体……五分くらいか?それまで、この揺れに耐えてくれ」
「五分って……そんなの持つわけないだろ!」
リックが叫ぶが、デミウルゴスは集中を切らさず魔法陣を展開し続けた。
ゼルクスが静かに前を向き、剣を抜きながら言った。
「周囲の崩落や残りの罠が襲ってきた場合、それを防ぐのが私たちの役目だ。全員、気を引き締めろ」
アリシアが弓を構えながら頷く。
「分かりました!何があってもデミウルゴス様を守ります!」
塔の振動はさらに激しくなり、壁の一部が崩れ始めた。その隙間からは新たな触手のような魔法生物が現れる。
「おい、また出てきたぞ!あいつら、しつこすぎる!」
リックが剣を構えて走り出す。
「分かってる。まずはあいつらを片付けろ。こっちは任せろ!」
デミウルゴスは魔力の操作に集中しながら叫ぶ。
ゼルクスが素早く触手に斬りかかり、その動きを封じる。
「リック、アリシア、こちらは任せろ。お前たちは崩落した瓦礫を避けながら魔物を抑えろ!」
「分かった!」
リックが剣を振り下ろし、触手を引き裂く。アリシアも素早く矢を放ち、次々と魔物を撃ち抜いた。
「こいつら、数が減らないぞ!」
リックが焦りながら叫ぶ。
「いいから時間稼ぎだ!あと少しで魔法が完成する!」
デミウルゴスが声を張り上げながら、さらに魔力を注ぎ込む。
ノクスが空から警告を発する。
「主様、上部から巨大な崩落物が落ちてきます!」
「なんだと!?」
デミウルゴスが振り返り、空中に新たな魔法陣を展開する。「仕方ない、緊急防御だ!」
魔法陣が発動し、巨大な崩落物を受け止める光のバリアが現れる。その間にリックたちが魔物を押さえ込み、戦況は一時的に安定した。
「よし、これで……」
デミウルゴスが最後の魔法陣を完成させると、塔全体が一瞬静寂に包まれた。
「やったのか!?」
リックが剣を納めながら振り返る。
「まあな。一時的にだけど、暴走を抑え込んだ。これで崩壊は止まるはずだ」
デミウルゴスは立ち上がり、疲れた様子で笑った。
アリシアがホッとした表情で言う。
「本当によかった……でも、完全に安心はできませんよね?」
「その通りだ。この塔の問題を根本的に解決する必要がある。それまでは気を抜けないな」
ゼルクスが鋭い目で塔の奥を見据えながら言った。
「全く、まだ続くのかよ……せっかく休みたかったのに」
デミウルゴスはため息をつきながら、塔の出口に向かって歩き出した。
一行は次なる行動を決めるため、慎重に塔を後にする準備を進めていた。




