第24話:揺らぐ塔の真実
デミウルゴスたちは、終焉の塔の最深部で守護者を倒した後、広間の奥へと進んでいった。先ほどの激しい戦闘で一行は疲労していたが、気を抜くことなく慎重に歩みを進める。
「この奥に、本当に奴らの計画の核心があるのか?」
リックが剣を握りながら尋ねた。
「ここまで来て、何もなかったら笑い話だな。でも、俺の直感が正しければ、何か大事なものがあるはずだ」
デミウルゴスは冷静に答えながら、奥の扉に目を向けた。
アリシアが不安そうに言う。
「でも、この塔の雰囲気……何かがおかしい気がします。すごく不安定というか……」
ノクスが翼を広げながら補足する。
「その通りです。この塔全体に流れる魔力が、先ほどの戦闘をきっかけに乱れ始めています。崩壊の危険性も否定できません」
「崩壊って……冗談じゃないぞ!こんなところで死にたくない!」
リックが声を上げると、ゼルクスが静かに言った。
「崩壊を防ぐには、恐らくこの塔を制御する中心装置を安定させるしかない。その装置をローブの男たちが操作しているのだとすれば……」
「そいつらを止めればいいってことだな」
デミウルゴスは軽く頷き、奥の扉に手をかざした。
突然、扉が震えながらゆっくりと開き、奥の部屋が露わになった。そこには巨大なクリスタルが浮かんでおり、その周囲には複雑な魔法陣が光を放っていた。
「これが塔の中心装置か……なるほど、確かにいじられてるな」
デミウルゴスがクリスタルを睨みつける。
すると、その前に黒いローブをまとった男が一人立ち上がった。彼は不気味な笑みを浮かべながら一行を見下ろしている。
「よくここまで来たな、創造主デミウルゴス……だが、これ以上進ませるわけにはいかない」
「出たな。またローブの奴か。お前たち、なんでそんなに俺の邪魔をしたがるんだ?」
デミウルゴスはあくびをしながら尋ねる。
「邪魔をしているのはお前だ。私たちは、この世界を新たな形に変えるために行動しているだけだ」
「新たな形ね……崩壊させて何を作り直す気だ?言っとくけど、そんなの面倒でしかないだろう」
「お前には理解できまい。この世界を創造した者が、その欠陥を知ることなくただ怠け続けてきたことが、どれだけの苦痛をもたらしたか!」
「欠陥って……お前、俺に文句言いたいだけだろ」
デミウルゴスは肩をすくめると、手に魔力を溜め始めた。
「文句ではない。これは正当な裁きだ!」
ローブの男が叫ぶと、彼の背後に黒い影が広がり、その中から無数の触手のようなものが現れた。
「うわっ、気持ち悪いのが出てきたな……」
リックが剣を構えながら後ずさる。
「全員気をつけろ!あれは普通の魔法生物じゃないぞ!」
ゼルクスが鋭い声で警告を発する。
「分かってる。だから俺が先に片付ける!」
デミウルゴスは空中に巨大な魔法陣を描き、触手に向かって雷を落とした。
しかし、触手はその攻撃を吸収し、勢いを増していく。
「何だと!?効いてないのか?」
アリシアが驚きの声を上げる。
「いや、効いてる。だが、奴は吸収した魔力を別の形で使うつもりだ!」
ノクスが鋭く観察しながら説明する。
「なるほど、なら吸収されない方法で攻めるしかないな」
デミウルゴスは考えを巡らせながら次の魔法を準備する。
ゼルクスが突進し、剣で触手を斬りつけるが、それもすぐに再生されてしまう。
「再生能力があるのか……時間をかけるのは得策ではないな」
「時間をかけずに終わらせる方法……いい案があるぞ」
デミウルゴスが不敵な笑みを浮かべながら言った。
「どうするんだ?」
リックが振り返りながら尋ねると、デミウルゴスは軽く指を鳴らした。
「簡単だ。奴の魔力の供給元を切ればいい」
「供給元って……あのクリスタルか!」
アリシアが驚きの声を上げる。
「その通り。あれが奴らを支えてる核だ。だからあれを壊す!」
デミウルゴスは魔法陣を完成させ、クリスタルに向かって強力な光の矢を放った。
光の矢がクリスタルに命中し、周囲の魔法陣が次々と崩れていく。それに伴い、触手も動きを止め、ローブの男が膝をついて崩れ落ちた。
「これで終わりだな……」
デミウルゴスは肩を回しながら言った。
「やっと……終わったのか?」
リックが剣を下ろし、深いため息をついた。
「いや、まだだ。この塔の制御を完全に取り戻す必要がある」
ゼルクスが冷静に答える。
「全く、やることが多いな……まあ、仕方ないか」
デミウルゴスは最後の仕上げに取り掛かり始めた。
一行は再び気を引き締め、塔を崩壊から救うための次の行動に移る準備を進めていた。




