第22話「塔の試練」
デミウルゴスたちは塔の中へと足を踏み入れた。そこは薄暗く、天井まで伸びる石壁に古代文字が刻まれている。奥へ進むたびに空気が重くなり、一行は無意識に足を止めた。
「ここ……雰囲気が違うな。ただの塔って感じじゃないぞ」
リックが剣を握りしめながら言った。
「当然だ。ここは単なる建物じゃない。世界そのものを支えるための装置が組み込まれているんだからな」デミウルゴスは壁を指でなぞりながら答える。
「装置って……そんな危険なものがここにあるんですか?」
アリシアが不安そうに聞くと、デミウルゴスはため息をついた。
「危険どころの話じゃないぞ。ここをいじると、下手すればこの世界全体が消える。でもな、ローブの連中がそんなことを気にするタマだと思うか?」
ゼルクスが冷静に補足する。
「彼らの狙いは世界の崩壊。それを止めるために、この塔を封印したのだろうが、その封印を解こうとしている今、ここが戦場となるだろう」
「戦場ね……全く勘弁してくれよ」
デミウルゴスは頭を掻きながら前に進んだ。
突然、床が震え、奥の壁が音を立てて開いた。そこから出てきたのは、巨大な騎士の姿をした魔法兵だった。
「また守護者か……本当にどいつもこいつも、俺の邪魔をするのが好きだな」
デミウルゴスは苦笑しながら構えを取る。
「どうする、倒すのか?」
リックが剣を抜きながら聞く。
「当然だ。こいつを倒さないと先に進めないだろうが」
アリシアが弓を引きながら叫ぶ。
「それにしても大きすぎます!普通に攻撃して効くんですか?」
「弱点を狙え。こんなデカブツは動きが鈍いから、狙いやすいはずだ」
デミウルゴスは魔法陣を描きながら指示を出した。
ゼルクスが騎士の前に立ちふさがり、剣を構える。
「私が奴の注意を引く。その間に攻撃しろ」
リックが力強く答える。
「分かった!任せとけ!」
ゼルクスが騎士の足元を切りつけると、騎士は大剣を振り下ろして反撃を試みる。しかし、ゼルクスはその一撃を紙一重でかわした。
「よし、今だ!」
デミウルゴスが魔法を発動させ、騎士の背後に炎の槍を放つ。それが命中し、騎士の動きが鈍くなった。
「よくやった!もう少しだ!」
リックが叫び、全力で剣を振り下ろして騎士の膝を攻撃する。
騎士がバランスを崩し、地面に膝をついた。アリシアが弓を引き絞り、胸の中心部を狙う。
「これで終わりにします!」
放たれた矢が騎士の胸を貫き、その体が崩れ落ちた。
「終わったな……」
リックが息をつきながら剣を納める。
「まあな。でも、これで全部じゃないぞ。まだ奥に何かあるはずだ」
デミウルゴスは先を見つめながら言った。
アリシアが心配そうに聞く。
「次は何が待ってるんでしょうか……?」
「そんなの分かるわけないだろ。ただ、一つだけ言えるのは――俺がいる限り、何が出てきてもなんとかなるってことだ」
デミウルゴスは不敵な笑みを浮かべながら答えた。
ノクスが羽を広げ、静かに報告する。
「主様、この先に非常に強力な魔力の反応があります。恐らく、ローブの男たちが待ち受けているのでしょう」
「やっぱりか……まあ、面倒でもやるしかないな」
ゼルクスが剣を握り直しながら言う。
「準備を整えろ。次が最も厳しい戦いになるだろう」
「分かった。じゃあ、さっさと終わらせるか」
デミウルゴスは気だるそうに歩き出したが、その背中には確かな決意が宿っていた。
塔の奥で待ち受けるものとは――それはまだ誰にも分からない。




